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“これでいい”から“これがいい”へ。マランツがオーディオを身近にする「MODEL 70/CD 70」。CDの良さ再確認
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- マランツ
2026年8月20日 08:00
“これでいい”から、“これがいい”へ
かつてのオーディオ業界には、「本格的なオーディオを始めてみたい」という人に向けて、各社が“エントリーモデル”を用意していた。上位機に搭載されている豊富な機能を省いでシンプルにして、搭載するパーツのグレードも下げる代わりに、手頃な価格を実現した2chアンプなどだ。
もちろん、現在のオーディオ業界にも“エントリーモデル”は存在する。しかし、音楽配信サービスの普及や、Bluetooth機器の増加など、ライフスタイルが変化したため、単に機能をシンプルにするのではなく、“今のライフスタイルにマッチする機能が欲しい”というニーズも高まっている。もちろん、価格は抑えつつ、本格的なオーディオ機器として高い音質を備えている事が一番重要だ。
つまり、今までよりも満足度の高いエントリーモデル。「これでいいや」という製品ではなく、買ってみたら「これがいい」「これ最高じゃん」と思えるコンポが求められている。メーカーにとっては大変な時代だが、逆に言えば、“腕の見せ所”でもある。
8月28日に、まさにそんな「新時代のエントリーコンポ」が登場する。マランツの「70シリーズ」だ。薄型筐体が特徴で、HDMI ARCやBluetooth送受信も可能なプリメインアンプ「MODEL 70」(143,000円)と、CDプレーヤー「CD 70」(110,000円)だ。
結論から言えば、「この2モデルでオーディオ生活が始められたら幸せだなぁ」と思える機能やデザインと、「これ買ったらもう上のモデルを気にしなくてもいいのでは」と思える音質を備えている。
パーツを見ると本気度がわかる「MODEL 70」
音を聴く前に、MODEL 70とCD 70を詳しく見ていこう。
外形寸法は、MODEL 70が442×375×109mm(幅×奥行き×高さ)、CD 70が442×351×109mm(同)と、どちらもピュアオーディオの単品コンポとしては薄型で、設置しやすいだけでなく、シルバーゴールドの気品あるカラーも手伝い、インテリアに溶け込みやすい。黒くて大きなアンプだと、どうしても存在感が出てしまうが、MODEL 70とCD 70は良い意味で主張が少なめだ。
だが、薄型であっても中身は超本気なピュアオーディオコンポだ。
例えばMODEL 70には、音質や駆動力にとって重要であり、アンプの心臓部とも言える電源部分に、大容量のトロイダルトランスを搭載している。
一般的に、AVアンプなどで採用されるEIコアのトランスは、鋼板をプレス機で打ち抜いて大量に製造できるためコストが安い。一方で、トロイダルトランスは、ドーナツ型のコアに、手作業や特殊な専用巻線機で隙間なく銅線を巻いて作るため、手間がかかり、コストも高くなる。
しかし、トロイダルトランスは継ぎ目がないため磁気効率が高い。周囲へのノイズ漏れも少なく、微細な信号を扱うピュアオーディオにおいては、SN比を良くするために採用される。つまり、電源のパーツを見るだけで、MODEL 70が“本気のアンプ”である事がわかる。
さらにMODEL 70のトロイダルトランスは、磁束漏れを抑える珪素鋼板シールドとシールドケースによる2重シールドも施した豪華な仕様だ。
平滑回路には、MODEL 70のために専用に開発された15,000μF/63Vのカスタムブロックコンデンサーを採用。様々な箔、電解紙、電解液の組み合わせを試した末に完成したもので、大容量を活かし、大電流、低周波の通過時に発生する電圧降下を抑え、高速かつ安定した電源供給能力を実現している。
AB級アナログ方式のアンプであり、パワーアンプ部分には、マランツ・オリジナルの高速アンプモジュール「HDAM-SA3」の最新型を採用したフルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路になっている。これもMODEL 70が“本気のアンプ”である証拠で、ハイスピードでSN比が良く、低歪率という特徴がある。
ドライブ能力で鍵となるパワートランジスタには、上位機「MODEL 60n」と同じ大容量のものを使った。音楽信号は、おだやかな部分から急に激しい流れになったりもするが、そうした状況になってもスピーカーを理想的に駆動できるよう、瞬時電流供給能力にもこだわった結果だ。
配置も重要だ。パワーアンプの直近に、ブロックコンデンサーや整流回路、平滑回路をレイアウトすることで、高効率な電源配線を行なう「ショート・パワーライン・レイアウト」だ。大電流ラインを最短距離で結んでいるほか、左右チャンネルを対称に配置することで、瞬発力と優れた空間表現力を両立したという。
MODEL 70の設計を担当したエンジニアの中野綾氏は、「細かな部分ではあるのですが、実際に試してみると、経路の短縮する事で、音質はかなり改善できます」と語る。このこだわりは徹底されており、最終的にパワーアンプの出力は、基板パターンを使わず、ケーブルによって出力リレーにジャンプして、最短ルートで接続したそうだ。
こうした工夫により、瞬時電流供給能力の数値も、上位モデルMODEL 60nと同等の36.8Aを実現している。
内部全体を見ると、信号の流れにも無駄がない事もわかる。高精度の電子ボリュームを、入力のすぐ近くの、基板の裏側に配置。そこからパワーアンプへと流れる回路構成になっている。
アナログボリュームの場合は、ボリュームノブが正面についている関係で、前方まで信号を流して、また戻って……と、経路が長くなってしまう。電子ボリュームを使う事で、約30cmの経路短縮ができたそうで、SN比は8dBも向上。鮮度の高いサウンドを実現ししている。
機能面では、ARCに対応するHDMI端子を備えており、192kHz/24bitまでのリニアPCM(2ch)の入力が可能。テレビとHDMIで接続して、映像配信の映画やゲームなどの音をMODEL 70 + オーディオスピーカーで流したりできる。HDMI CECで、テレビとの電源連動や、テレビリモコンでMODEL 70の音量調整もできるので、機械が苦手な家族もMODEL 70を活用できる。
Bluetoothの送受信も可能。受信時はaptX Adaptive、aptX HD、aptX、AAC、SBCコーデックに対応。スマホで再生している音楽配信を、MODEL 70のスピーカーで聴ける。MODEL 70で再生している音楽を、Bluetoothで送信し、ワイヤレスヘッドフォンで聴くこともでき、その場合のコーデックは、aptX Adaptive、aptX HD、aptX、SBCに対応する。MODEL 70はフォノイコライザーを内蔵し、レコードプレーヤーも接続できるので、レコードの音をワイヤレスヘッドフォンで聴くこともできる。
HDMIやBluetoothといったデジタル系の基板は、アンプに内蔵するとノイズ源にもなるが、MODEL 70ではその対策もバッチリ。デジタル系を、メイン基板から独立した専用基板に配置し、スチール製のシールドを使って相互干渉や外来ノイズの影響を排除。電源回路やオーディオ回路と、物理的な距離を大きく取り、その間に巨大なヒートシンクを設置し、それをシールドにするなどの工夫もされている。
前述のフォノイコライザーも、かなり本格的。MM型のカートリッジに対応するもので、フォノイコライザーとして独立した基板にレイアウトすることで、繊細な音声信号の純度を損なうことなく増幅・伝送できるようにしている。MOS-FET入力回路を採用することで入力のカップリングコンデンサーを排除し、信号の純度も高めている。
専用プレーヤーだからこそのこだわりが光る「CD 70」
CD 70も、内部を見ると「これは豪華だ」とわかる。微妙に色が違うのでわかりやすいのだが、電源基板、デジタル基板、DAC/オーディオ基板、ヘッドフォン基板と、全部独立した基板になっている。
設計したエンジニアのユ・スンジン氏は、「シンプルなCDプレーヤーなので、筐体のスペースに余裕があったため、高音質化のための様々な施策ができました」と特徴を語る。
内部を見ると、左右チャンネル間のクロストークやレベル差を抑えるために、左右チャンネルのアナログ出力回路をシンメトリーにレイアウトしている。こうする事で、等長、平行配置となり、音質面では、チャンネルセパレーションや空間表現力を高められるそうだ。
さらに、アナログオーディオ回路、デジタル回路、モーター電源、ディスプレイ電源、スタンバイ電源それぞれに独立した整流回路、平滑回路、レギュレーター回路を配置。回路間の相互干渉を徹底して排除している。
DACチップは、サウンドマスターの尾形好宣氏がリスニングテストを繰り返して選んだ、最新世代の32bit対応の電流出力型DAC、ESS「ES9020Q」を採用している。
このDACチップは電流出力型なので、外付けのI/V(電流/電圧)変換回路が必須だが、だからこそ、その部分でマランツ独自のサウンドチューニングができる。
DAC以降のアナログステージに使っているのが、マランツ独自の高速アンプモジュールHDAM、HDAM-SA2を用いたフルディスクリート回路。ハイスピードで情報量豊かなサウンドを追求するためだ。
使用パーツについてもマランツ専用のカスタム電解コンデンサーを始め、尾形氏が選び抜いた高品質なオーディオグレードの電解コンデンサーやフィルムコンデンサー、金属皮膜抵抗などを投入している。
D/A変換で重要となるクロック回路には、CD専用の16.9344MHz(44.1kHz)、USB入力用の22MHz(44.1kHz系)、24MHz(48kHz系)と、3系統の超低位相ノイズ水晶発振器を搭載。ソースに合わせて最適なクロックに切り替えられる。クロックの伝送経路の抵抗には、高精度のメルフ型金属皮膜抵抗を採用した。ユーザーの好みで、デジタルフィルターの切り替えて音の違いを楽しむ事もできる。
CDドライブは、自社開発でオーディオ専用のもの。CDに加え、CD-R/CD-RWに記録したMP3、WMAファイルも再生できる。前面にはUSB-A入力もあり、USBメモリーやUSB HDDに保存した音楽ファイルの再生も再生可能。DSD 5.6MHzやPCM 192kHz/24bitまで再生可能だ。
見逃せないポイントとしては、ヘッドフォンアンプにもこだわっており、HDAM-SA2を使った出力バッファーと、高音質オペアンプを組み合わせている。マランツカスタムのコンデンサーやオーディオグレードコンデンサー、金属皮膜抵抗も使われており、3段階のゲイン切り替えまでできる。ヘッドフォンでCDを楽しみたい人には嬉しいポイントだ。
音を聴いてみる
MODEL 70とCD 70の組み合わせを聴いていこう。
まず、若手津軽三味線・民謡歌手の中村滉己のCD「民唄 -TamiUta-」から「津軽じょんから節 新節」を再生する。CD 70からはアナログ出力で、MODEL 70に接続している。MODEL 70が駆動するスピーカーは、音質検討に使用されたBowers & Wilkins「801 D4」だ。
801 D4は、ペア600万円を超えるハイエンドなフロア型スピーカー。約14万円のエントリーアンプで鳴らせるのか?という不安が頭をよぎるが、音が出た瞬間にそんなものは消し飛ぶほど、トランジェントの良い、パワー感のあるサウンドがユニットから吹き出してくる。
鬼気迫る三味線の演奏が繰り広げられるのだが、まず驚くのは音像が非常にクリアで、輪郭がシャープである事。「奏者がここにいる」というレベルではなく、三味線のバチのサイズまでわかりそうなほどの解像感だ。
さらに特筆すべきは、SN比の良さと、トランジェントの良さ。何も音が無い、静かな空間から、鋭い三味線の音がズバッと出て、サッと消える。立ち上がりの鋭さ、消える際の素早さが非常に気持ちが良く、音の生々しさにつながっている。
こうしたキレのあるサウンドは、アンプがしっかりとユニットを駆動し、余計な動きをさせない(=余計な音を出させない)能力がないとなかなか出ない音だ。MODEL 70に搭載した大容量トロイダルトランスや、HDAM-SA3、ショート・パワーライン・レイアウトなどの効果と言えるだろう。
ジャズ・ベース奏者ブライアン・ブローバーグの「WOOD」から、「Star Spangled Banner(星条旗よ永遠なれ)」を聴くと、ウッドベースの重い低音が、パワフルに張り出し、お腹にズンズンと響いてくる。パワフルなだけでなく、音にキレがあるため、間延びしたような音にはならず、体が思わずリズムを刻んでしまう軽やかさもある。重低音が響く中でも、指が弦をすべる時の「キュイ」というかすかな音が聴き取れる解像度の高さがある。
また、SN比が良いため、ベースの周囲や、特に背後の空間が静かで、そのため、ウッドベースの音像に、浮かび上がるような立体感・実在感がある。
この情報量の多さは、CDプレーヤーのCD 70が、電源基板、デジタル基板、DAC/オーディオ基板などを独立させる事で、相互干渉を抑えたり、左右チャンネルのアナログ出力回路をシンメトリーにレイアウトし、チャンネルセパレーションや空間表現力を高めた事などが効いていると思われる。
フルオーケストラのCDも白眉だ。アンドレア・バッティストーニ指揮・東京フィルハーモニー交響楽団による、イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲 バレエ音楽「春の祭典」から「第1部 大地への崇敬 敵対する部族の遊戯 ~ 賢者の行列」を聴くと、空間の広さがしっかりと描かれ、そこに各楽器の音が横並びする様子が見える。
ストリングスの弦の音など、細かな音まで聴き取れる解像感がありつつ、盛り上がる部分では、音が1つにまとまり、うねるようにこちらへ迫りくるスペクタクル感も味わわせてくれる。静かな部分は静かに、激しい部分は激しく、しっかりと描き分けができるアンプ + CDプレーヤーだと感じる。
サウンドマスターの尾形好宣氏によれば、2機種とも、チューニング時には「背景の静けさ、透明感をいかに進化させるかに注意しました。ただ、そこをストイックに追求すると、音がドライで、ヒステリックになりがちになってしまいます。ウォームさ、弾力さ、中低域の厚みなどを失わないように全体のバランスにも考慮しながら、チューニングしました」と振り返る。
マイケル・ジャクソンが1987年に発表した名盤CD「Bad」から、1曲目「Bad」を再生すると、「え、CDってこんなに音が良かったっけ!?」と驚く。ビートの躍動感、キレ味も鋭いが、ボーカルやコーラスには人の声のぬくもりが感じられる。鮮烈さと、ホッとする優しさが同居しており、CDの音の良さを再確認した。
MODEL 70はMM対応のフォノイコライザーも内蔵しているので、80年代にリリースされた「Bad」のアナログレコードも聴いてみたが、これも非常に楽しい。CDと比べると、音場は少し狭くなり、音像も中央に寄る印象になるが、中低域の肉厚さが強まり、まとまりの良いサウンドに体が包みこまれるような気持ちよさがある。
それでいて、コーラスやボーカルの口の動きも見通せる微細な描写力も備えているので、ナローになったという印象も無い。アナログレコードの美味しさを、キッチリ味わえる実力がある。
Bluetoothも聴いてみよう。ハイレゾ配信のQobuzアプリで再生しているBadを、BluetoothのAACコーデックでiPadから飛ばして、MODEL 70で再生してみたが、こちらもBluetoothとは思えない本格的な音だ。CDと比べ、音場のスケールはやや小さくなるが、MODEL 70のトランジェントが良く、高解像度で微細な音も描写できるため、CDからそれほど情報量が減ったとは感じない。BGM的な再生だけでなく、じっくり聴き込む時にもBluetoothが使えそうだ。なお、Bluetooth機能自体はOFFにする事もできる。
HDMI ARCの音もチェック。大野雄二の80歳記念ライブを収録したBlu-ray「大野雄二ベスト・ヒット・ライブ ~ルパンミュージックの原点~」から、ルパン三世のテーマを再生したが、トランペットの押し出しの強さや、ドラムの低音の細かさ、コーラスの表情など、細かな部分もしっかりと聴き取れる。
演奏が終了した際の、拍手の反響でホールの広さも味わえ、また、拍手の音の細かさにも驚かされる。2chアンプでの再生にはなるが、前方から音に包まれる感覚はMODEL 70でしっかり味わえるため、「AVアンプ無くても、MODEL 70だけで、十分ホームシアターが楽しめるじゃん」というのが、正直な感想だ。
“今、ピュアオーディオで楽しみたいこと”に柔軟に対応できるシステム
改めて機能を振り返ると、MODEL 70は、CD 70と組み合わせると音楽CDが再生でき、Bluetooth受信機能を使ってスマホと接続して、音楽配信も鳴らせる。内蔵フォノイコライザーを使い、レコードも楽しめる。“今、ピュアオーディオで楽しみたいこと”に柔軟に対応できるアンプだ。
さらに、HDMI ARCでテレビやゲームの音も再生できる。“2chのAVアンプ”のように使える。それでいて、トロイダルトランスを採用するなど、アンプとしては完全に2chアンプのクオリティに仕上がっており、そこが低価格なAVアンプと大きな違いだ。“ピュアオーディオを軸にしつつ、たまに映像も楽しみたい”という人に最適なアンプと言えるだろう。
また、音楽配信サービスを既に使っている人には同意してもらえると思うが、意外に「え、この曲が配信されていないの!?」という瞬間がある。筆者は、昔のアニメのサントラなども好きなのだが、そういったややマニアックな楽曲も、配信されていない事が多い。そうなるとやはり、棚からCDを引っ張り出してくる事になる。
音楽配信が当たり前になったからこそ、CDの重要性が再確認されており、それはレコードも同様だろう。生まれた時にはもう、家にCD再生装置が無かったという人も多くなっているし、かつてCDを楽しんでいたのに、いつの間にか再生できる機器が無くなっていたという人も多いはず。そう考えると、純粋なCDプレーヤーであるCD 70は、これから「オーディオを本格的に楽しみたい」という人にとって、新たな魅力を放っている。
MODEL 70は、CD 70の試聴を通じて、「CDってこんなに音が良かったんだ」と、魅力を再確認できた。これは、多くの人に体感して欲しい。































