ミニレビュー

低価格路線でライバルと勝負。軽量で高画質な「VITURE Pro 2」を試す

VITURE Pro 2。価格は49,880円

サングラス型ディスプレイの分野でXREALと競争を繰り返しているVITUREが新製品を投入した。

名前は「VITURE Pro 2」。同社が2024年に発売した「VITURE Pro」の後継製品である。

VITURE Pro発売時には同社CEOへのインタビューを交えて記事にしている。

2年前、この製品はハイエンドだった。だが今回、2年の時間を経て、コストパフォーマンスと軽量さを軸にした製品に変わっている。

すなわち、ライバル・XREALで言えば「xbx a01+」に近いものだ。

実機を使い、ライバルとも比較しつつ位置付けを確認してみた。

手前がVITURE Pro 2、奥がXREALの「xbx a01+」

過去のヒットモデルをシンプル化して安く

サングラス型ディスプレイは、数年の間に大きな進化を遂げた。最も大きな変化は「3DoF・6DoFへの対応」だ。カメラを搭載し、それで周囲を認識して、ケーブルから入力した映像を空間に「固定」する。XREAL Oneシリーズで採用されたものだが、VITUREはハイエンドモデル「VITURE Beast」から採用された。

機能としては3DoFがある方がいい。だが一方で、コストは高くなるし重量も増える。

この2年間で、サングラス型ディスプレイの光学系は進化した。そのため、視野角・輝度・像の品質(歪みの少なさ)などは大きく改善している。量産による低価格化も進んだ。

そこで、過去のモデルを見直し、機能をいくつかカットしつつ、低価格化したのが「VITURE Pro 2」だ。日本での販売価格は49,880円で5万円を切り、VITURE Pro(発売当時74,880円)から大幅に安くなっている。

機能の違いは以下の表にまとめた。

VITURE Pro 2と、他の主要なサングラス型ディスプレイを比較

最新の上位モデルに比べると機能では劣るが、表示面のスペックでは優る点も多いことがわかる。

上位機種とは異なり、VITURE Pro 2には、空中に画面を固定する「3DoF/6DoF」の機能がない。

正確には、PC・Macで動作する専用ソフト「SpaceWalker」を使うと、PCの画面を擬似的に3DoF的に配置できるのだが、頭の動きを認識するセンサーの精度が低く、上位機種で使ったときに比べて快適ではない。だから「画面は常に目の前に映り続ける」と考えた方がいい。不自然といえば不自然なのだが、「映像を高輝度・大画面で没入して楽しむもの」と割り切れば、これでいいだろう。

軽さを実測してチェック

最大の違いは「軽さ」だ。

せっかくなので、手元にあるデバイスで重量を実測し、比較してみた。細かな重量は、鼻当てなどの選択でも変わる。ここでの重量は、筆者に合わせて鼻当てやインサートレンズを入れた「実用上の重さ」とお考えいただきたい。

最も軽いのはxbx a01+で約62.5g。フレームを外すと約55.5gまで軽くなる。

xbx a01+。約62.5gで最も軽い

一方でVITURE Pro 2は約65.5g。xbx a01+よりほんの少し重いだけだ。

今回の主役であるVITURE Pro 2は、xbx a01+より少し重い

3DoFに対応した「VITURE Beast」が約96.6g、筆者の目に合わせた補正レンズを入れると100g前後になる。

VITUREのハイエンドであるVITURE Beastは、補正レンズ込みだと100g近くに

XREAL 1Sが約85.5gで、6DoFに対応するためのカメラ「XREAL Eye」を付けると約86.9gといったところだ。

XREAL 1Sは85g程度

両社の低価格モデルはどちらもかなり軽く、付け心地がいい。

ちなみに、筆者が日常的にかけているメガネ(Zoff製)は約23g、Even Realitiesのスマートグラス「Even G2」は約43.5gだ。「ずっと付け続ける」タイプのメガネに比べると、多少重いのは間違いない。

情報系スマートグラスで、ずっとかけ続ける前提である「Even G2」は43g台

VITURE Pro 2について特筆すべきなのは、ほぼ最軽量でありながら、度数-5.0から+5.0までの視力補正機能を内蔵している点だ。軽い近視なら、別途レンズを搭載しなくても補正できる。これは意外と大きな要素だ。もちろん、より強い度数の場合や、乱視などでは別途補正レンズを使うのが望ましい。

VITURE Pro 2には視力補正機能がある

輝度の有利さは発色にも。VITUREの美点は発色

肝心な画質はどうだろう?

主観的な印象で語るなら、VITUREはXREALより輝度が高めで、その分発色がいい。

その印象は今回も変わらない。

光学系をシンプル化し、輝度・発色を優先したxbx a01+とVITURE Pro 2を比較した場合にも、特に輝度はVITURE Pro 2に軍配が上がる。スペックは同様だが、体感ではけっこうな違いを感じる。輝度が高すぎると疲れる、という話もあるだろうが、明るさから来る発色は、この種の製品で映像を見る場合、重要な要素といえる。

VITUREは徹底して輝度を重視しており、そのことが効いている印象が強い。

どちらも上位機種より、2つの低価格モデルの方が画質がよく、その中でもVITURE Pro 2の画質が良い……というのが筆者の印象だ。

なお、VITUREもXREALも軽量化の代償として、光の透過度がコントロールできなくなった。サングラス型ディスプレイはその仕組み上、視界に外光が入って、周囲が透けて見える。安全性の面ではプラスだが、没入感を高めるにはマイナスだ。

上位モデルでは液晶を使った減光の仕組みが入っていて、下を向くと透過度が変わって手元が見える……という機能もあった。だがVITURE Pro 2もxbx a01+も透過度コントロールの仕組みはなくなり、外にシェードをつけて対応する形式になっている。

VITURE Pro 2には減光の仕組みがないので、シェードで暗くして没入感を得る。

低コスト化と軽量化のための変化だが、この点は注意しておきたい。ちょっとしたことだが、映画を見るときに向こうの風景が透けて見えるのはけっこう興ざめするものである。

画質は良好だが保守的な製品

使ってみると、シンプルな画質ではVITUREが良いように思える。

一方、設定やUIなどはXREALの方が良い。どちらも慣れないと戸惑うが、XREALの方が「こなれている」印象を受ける。

また、特に低価格機種においては、XREALは商品性そのものを変えてきている。ポップな外観で明確に若者向けを目指しているのだ。フレームを変更して自作できるようにしているのも、今までサングラス型ディスプレイを使っていない層を意識したものだろう。

VITUREはPro 2を安価にしたものの、デザインはほとんど変えていない。「サングラス型ディスプレイが欲しいと思っていた層にアピールする」製品という印象だ。

VITURE Pro 2とVITURE Beastのデザインは似ており、右肩にあるロゴの色で区別
VITURE Pro 2をかけてみた。今までの製品と印象はそこまで変化していない
以前掲載したxbx a01+をかけた時の写真。かなり好みは分かれるだろうが、従来の製品とは印象が大きく違う

両社の違いがどう市場で受け入れられるのか、少し楽しみだ。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、AERA、週刊東洋経済、週刊現代、GetNavi、モノマガジンなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。 近著に、「生成AIの核心」 (NHK出版新書)、「メタバース×ビジネス革命」( SBクリエイティブ)、「デジタルトランスフォーメーションで何が起きるのか」(講談社)などがある。
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