オーテク、ダイナミック型カナル1~2万円台の2機種
-14mmユニット搭載「ATH-CKM99」。インナーイヤーも
ATH-CKM99 |
オーディオテクニカは、カナル型(耳栓型)イヤフォンの高級モデル2機種を11月19日に発売する。価格は14mm径ドライバを搭載した「ATH-CKM99」が21,000円、13mm径ドライバの「ATH-CKM77」が12,600円。
さらに、上質な素材を採用した高級感のある「EARSUIT」シリーズ、初のインナーイヤータイプとして2機種を12月10日に発売。イヤーハンガーを備えた「ATH-EC707」を12,600円、シンプルな「ATH-CM707」を9,975円で発売する。
■ ATH-CKM99/77
それぞれ、2008年発売の「ATH-CKM90」、「ATH-CKM70」の後継モデル。「CKM90」はバランスド・アーマチュアユニットを採用していたが、「CKM99」ではダイナミック型になり、2機種ともダイナミック型ユニットを採用しているのが特徴。
大口径ユニットを搭載しているのも特徴で、「CKM99」は新開発の専用14mm径ドライバを搭載。広帯域再生を可能にしたという。「CKM77」も専用の13mm径ドライバを搭載している。
ATH-CKM99 | 装着イメージ |
筐体は、硬度の異なる2つの金属を組み合わせた“ハイブリッドメタルハウジング”を採用している。2機種で素材が異なり、CKM99はチタニウムとステンレス、CKM77はステンレスとアルミニウムを組み合わせている。高級感があると同時に、不要共振を抑え、中高域の明瞭度が向上しているという。
また、CKM99では、ケースダンパーによるフローティング構造も備えており、さらに中高域のクリアさを追求している。CKM99はそれに加え、高域特性を改善するというアコースティックレジスターも装備する。
ATH-CKM70 | 装着イメージ |
ケーブルの長さは60cmでY型。60cmの延長ケーブルが付属。イヤーピースはファインフィットイヤーピースで、サイズはXS/S/M/Lの4サイズ。キャリングポーチやクリーニングクロスが付属する。
出力音圧レベルは104dB/mWで共通。再生周波数帯域はCKM99が5Hz~28kHz、CKM77が5Hz~25kHz。最大入力は200mW、インピーダンスは16Ωで共通。ケーブルを除いた重量はCKM99が約10g、CKM77が約8g。
■ ATH-EC707/ATH-CM707
ATH-EC707の装着イメージ |
EARSUITシリーズのインナーイヤフォンモデル。EC707はスイングアジャストイヤーハンガーを備えているのが特徴。
ユニットサイズはEC707が14.8mm径、CM707は15.4mm径のものを搭載する。どちらも新開発のユニット。
EC707。ユニットサイズは14.8mm | 横から見たところ | スイングアジャストイヤーハンガーを備えている |
両モデルとも、精密切削アルミ合金を筐体に使用。EC707はハンガー部分が可動式になっており、高い装着性を実現。CM707は高弾性エラストマー素材も使っており、こちらも装着感を高めている。
ケーブルの長さは60cmで共通。Y型で、60cmの延長ケーブルも付属する。キャリングポーチやイヤーパッドが付属する。
CM707 | ユニットは15.4mm径 | 横から見たところ |
出力音圧レベルは104dB/mW、再生周波数帯域は10Hz~24kHz。最大入力は50mW、インピーダンスは16Ωと、仕様はほぼ共通している。ケーブルを除いた重量はEC707が約12g、CM707が約6g。
■ ファーストインプレッション
注目はダイナミック型にユニットが変更され、なおかつ14mmの大口径ユニットを搭載した「ATH-CKM99」と、弟分の「ATH-CKM77」。会場で短時間ではあるが試聴したので、印象をお伝えしたい。再生は第6世代iPod nano + ALO AudioのDockケーブル + ポータブルヘッドフォンアンプiBasso Audio「D2+ Hj Boa」で行なっている。
まず「ATH-CKM99」だが、大口径ユニット採用という事で低音寄りのバランスを想像するが、実際に音を出してみるとバランスが極めて良好。低域の量感は豊富だが、中高域を覆い隠すほど“派手”ではなく、価格なりのワイドレンジサウンドを味わわせてくれる。低域は量感の豊かさと、タイトな締まりを両立させており、アコースティックベースの芳醇さと弦の細かい描写が両立。ズシリと安定感のある、王道的なサウンドであり、ダイナミック型ファンだけでなく、アーマチュアイヤフォン愛用者にも聴きのがせないモデルと言える。
「CKM77」は「CKM99」と比べると低域の量感が若干下がり、高域寄りの爽やかなサウンド。両機種の特徴でもあるが、ステンレスとメタルハウジングならではの、ハウジングの付帯音の少なさや、抜けの良さなどが感じられ、プラスチックハウジングで音が安っぽくなるような機種とは一線を画す、高品位な中高域が楽しめる。約1万円という激戦区に投入されるモデルだが、ポテンシャルの高さは一級品で、市場を盛り上げる機種になるだろう。
EARSUITシリーズのインナー型は、どちらもインナー型ならではの、カナルと比べると頭内定位が少なく、広くて爽やかな音場が楽しめるモデル。全体帯域で音のクリアさが特徴と言えるだろう。また、インナー型は構造的に中低域が弱くなりがちだが、両機種ではなかなかタイトで力強い低音を楽しむ事ができた。
(2010年 10月 7日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]