SNS連動のTV視聴「JoinTV」が、スマホやTwitterに対応
ヱヴァ新劇場版の11月放送で、ヤシマ作戦に電力供給!?
東京・汐留の日本テレビ本社ビルで開催された |
日本テレビは16日、同社らが手掛けるテレビのソーシャル視聴サービス「JoinTV」を中心に、テレビとSNSを取り巻く現状や今後の取り組みなどについて紹介する「JoinTV カンファレンス2012」を開催した。
JoinTVのサービスでは、2012年秋から「セカンドステージ」として、「スマートフォン対応」や「Twitter連携」といった施策を発表。テレビ連動の第1弾として、11月にテレビ放送される「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」のJoinTV企画に、スマートフォンなどで参加できることなどを明らかにした。
■ スマートフォンやTwitterでもログイン可能。HTML 5採用
JoinTVは、テレビ画面内でSNSの友達と一緒にテレビを楽しめるサービス。データ放送のBMLブラウザと双方向通信機能を使って、テレビ放送を見ながら、同じ番組を観ている友達を画面に表示できる。これまで、「金曜ロードSHOW!」のアニメ映画「サマーウォーズ」や、情報番組「iCON」、「PON!」で連動番組を展開してきた。
JoinTV | これまでのJoinTV番組 | 10月19日、26日の「金曜ロードSHOW! 20世紀少年 サーガ」でも実施予定 |
従来、地上デジタルテレビのデータ放送画面と連動した画面になっており、連動する放送でテレビのdボタンを押してデータ放送画面に移行する必要があったが、新たにスマートフォンによる“セカンドスクリーン”に対応。スマートフォンでJoinTVに参加でき、操作した内容がテレビのデータ放送画面にも反映されるようになった。
新しいスマートフォン版JoinTVは、HTML 5によるWebアプリを採用。スマホのブラウザからアクセスでき、アプリをダウンロードする必要は無い。なお、データ放送とスマホ版では利用できる機能に違いがあることから、今後は機能拡張の際にスマートフォン用のネイティブアプリ化も検討するという。
また、これまで対応するSNSはFacebookのみで、利用にはFacebookアカウントや、JoinTVへのログインが必要だった。しかし、2012年秋からの機能強化により、新たにTwitterアカウントからもJoinTVへログイン可能。また、「ゲスト参加モード」も追加した。日本テレビでは「拡散力の強いアカウントで、より多くの方へ連動企画の周知が期待できる」としている。今後は、参加者同士の独自の“友達グラフ”も構築していくという。
そのほか、JoinTVの開発には新たに広告コンテンツ制作のバスキュールが参加。テレビCMを含むブランドコミュニケーションや、ソーシャルメディアを使ったマーケティングなどを手掛けている同社が、日本テレビとフォアキャスト・コミュニケーションズの「TEAM JoinTV」に加わり、“ソーシャルTV”の浸透を図っていく。
スマホをJoinTVのセカンドスクリーンとして利用可能 | Twitterでも参加可能に | HTML 5のWebアプリを採用 |
■ ヱヴァ新劇場版2週連続放送と連動
11月9日、16日のヱヴァンゲリヲン新劇場版で参加可能 |
11月からのJoinTV番組としては、「金曜ロードSHOW!」において放映される「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」との連動企画「ムーヴィシンクロナイザ」を11月9日と16日に2週連続で実施する。
金曜ロードSHOW! では、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」が11月17日に公開されることを記念して、11月9日に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 TV版」を、16日に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版」を放送。さらに、劇場公開前の「Q」の冒頭6分38秒を世界初公開する。
JoinTVの新たな取り組みとして、データ放送やスマートフォンの画面に映画の名セリフが書かれた「シンクロボタン」を用意。例えば、「序」では(シンジのセリフである)「『逃げちゃダメだ』まであと○時間○分○秒」と表示される。そこで「シンクロする」を押すと、“チェックイン”が完了。SNSの友人がシンクロしたかどうかや、日本全国のシンクロ数がチェックでき、友人との「シンクロ率」が上がっていくという。
さらに、序のクライマックス「ヤシマ作戦」のシーンでは、JoinTVの「連打で発電ボタン」が連動。このボタンを押すことで視聴者で協力して発電量を上げ、参加者にはデジタルコンテンツのプレゼントも用意している。なお、11月2日からは、ヤシマ作戦に備えて“事前蓄電”できるという「連打で蓄電ボタン」を番組に先駆けてオープンする。
作品の「名セリフ」にシンクロ可能 | 友人らもシンクロすると、シンクロ率が高まる | 連打で「ヤシマ作戦」への電力供給に参加 |
「熱狂ファンタジスタ」のスマホ画面 |
映画以外では、サッカーのソーシャル観戦企画「熱狂ファンタジスタ」を、12月6日~16日の「FIFA Club World Cup JAPAN 2012 presented by TOYOTA」の試合中継で実施。データ放送やスマートフォンのJoinTV画面に「GO!!」ボタンが表示され、試合の盛り上がりや感動のプレーに合わせてこれを押すと、ユーザーの称号が「見習いファンタジスタ」から、「平熱ファンタジスタ」へ、その後も「熱帯ファンタジスタ」→「熱狂ファンタジスタ」へとレベルアップ。友人の称号もリアルタイムで表示される。
■ 番組の盛り上がりを表示する「wiz tv」アプリも強化
wiz tvのデモ |
テレビ番組の盛り上がりをグラフ表示して、テレビでいま何が話題かが確認できるiOS/Androidアプリ「wiz tv」の新機能も発表。新たに「インタレストチャンネル」、「ランキング機能」、「投稿機能」を実装した。
wiz tvは、地上デジタル放送各局の情報を取得。現時点ではNHK総合と関東の民放キー局の情報が閲覧可能となっており、Twitterと連携した、「盛り上がりグラフ」を表示することで、テレビで何がいま話題になっているのかがわかるというもの。関連コメントのタイムラインと、番組情報により、何で盛り上がっているかが確認できる。
インタレストチャンネル機能は、「その時々のユーザーの興味を可視化する」というもので、ネットで話題になっている言葉などをwiz tvの特徴である盛り上がりグラフやタイムラインの形式で表現。“放送局”や“番組”という単位ではなく、簡単に興味のあるテーマに関するネットの情報を知ることができるという。この機能の最初の運用は、「ヱヴァンゲリヲンチャンネル」。前出の11月9日、16日に放送されるヱヴァンゲリヲン新劇場版でも盛り上がりのポイントを確認できる。
wiz tvの新機能など。既報の通り、テレビ音声の認識にも将来的に対応予定 |
ランキング機能は、デイリー/ウィークリーで一番盛り上がった番組ランキングを見ることができる機能。ソーシャル上での盛り上がりを示す「wiz指数」(Twitterのコメント数、RT数、wiz tv内でのいいね! 数などのデータ)の番組内最大値から算出している。
投稿機能により、TwitterやFacebookにコメントを投稿するほか、盛り上がりグラフを画像として投稿することも可能となっている。
「ヱヴァンゲリヲンチャンネル」の実施に合わせて、今後目指す方向性を“ヱヴァのサブタイトル風”に説明 |
■ 「テレビは新しい遊び仲間を探す時代に」
司会は日本テレビの鈴江奈々アナウンサーが務めた |
JoinTVや、wiz tvなどの取り組みは、日本テレビの編成局 メディアデザインセンター(MDC)が行なっているもの。同社におけるデジタルIT関連のセクションを1つにまとめて、2011年12月より設立された。
上記の発表以外にも、MDCの新たな取り組みとして、テレビ局で初という「LINE」の公式アカウントを10月16日よりスタートすることも明らかにした。このイベントが行なわれている間に、同アカウントの「友達」数は1万を超えたという。
日本テレビの取締役 常務執行役員 小杉善信氏 |
日本テレビの取締役 常務執行役員 小杉善信氏は、「テレビは“最後の護送船団”と言われ、コンサバだと思われているかもしれないが、PCからスマートフォンへ推移するとともにテレビとの親和性が高まった。特に、(SNSと)『お友達になれる』と思ったのは、去年のドラマ『家政婦のミタ』を見ている時。tuneTV(Twitter連動のスマホアプリ)を片手に観ていて、三田が油をかぶってロウソクを片手にしていた時、三田を止めに入った長女たちに対して視聴者が『火をフッと消すだけで終わるのに!』と一斉にツッコミを入れていたのを見て『これも(番組の)レコメンドだ』と思った。テレビという遊び道具が、今は新しい遊び仲間を探す時代になった。これからも新しい可能性にチャレンジしたい」と述べた。
イベントには、SNSサービスの提供事業者からも代表者がゲストとして登壇。LINEやmixi、Facebook、Twitterという大手事業者が一堂に会し、テレビ局/番組とそれぞれのサービスの関わりや、今後の可能性などについて語った。これらのセッションについては別記事で改めて掲載する。
さらに、パネルセッションとして、ジャーナリストの本田雅一氏やアスキー総合研究所の遠藤諭所長、バスキュールの朴正義代表取締役、日本テレビの中西太プロデューサーによるパネルセッション「~ソーシャル時代の到来~ テレビの明日はどこにある? 」も開催。JoinTVの仕掛け人であるメディアデザインセンターの安藤聖泰氏がホストを務め、各氏が“テレビの明日”について議論を交わした。
左から日本テレビの安藤聖泰氏、アスキー総合研究所の遠藤諭氏、本田雅一氏、バスキュールの朴正義氏、日本テレビの中西太氏 | デジタルネイティブ世代などにテレビの“同時体験”をどのように伝えるか、“セカンドスクリーンの活用”などについて議論された |
(2012年 10月 16日)
[AV Watch編集部 中林暁]