シャープ、映り込みを無くす“モスアイ”AQUOS XL9

“蛾の目”で画質向上の最上位AQUOS。46~80型


80型の「LC-80XL9」

 シャープは、映り込みや内部光の散乱をおさえる“モスアイ”パネルを採用した液晶テレビAQUOSのフラッグシップ「AQUOS クアトロン 3D XLシリーズ」を11月30日より順次発売する。46型の「LC-46XL9」、52型「LC-52XL9」、60型「LC-60XL9」、70型「LC-70XL9」、80型「LC-80XL9」の5モデルを用意し、価格はオープンプライス。店頭予想価格は28万~100万円前後。

 映り込みを抑える新技術「モスアイパネル」を採用し、テレビコントラスト1,000万:1を実現したほか、フラッグシップモデルとしての高級感と大画面の広がりを訴求するデザインを採用。アルミフレームを採用し、左右には黒の塗装を施して大画面の広がりを実現したという。

型番サイズ発売日店頭予想価格
LC-80XL980型12月15日100万円前後
LC-70XL970型11月30日70万円前後
LC-60XL960型38万円前後
LC-52XL952型12月15日32万円前後
LC-46XL946型28万円前後
AQUOS XL9シリーズLC-70XL9LC-60XL9
LC-80XL9AQUOS XL9シリーズアルミフレームを採用

■ “映り込み”をほとんどカットする「モスアイ」とは?

モスアイパネルを採用

 モスアイパネルは、映り込みを抑えるとともに、鮮やかな発色を再現し、高コントラストを実現するという新技術。液晶パネルの表面に、夜行性の蛾の目(モスアイ)のように、ナノ単位の微細突起が無数にある凹凸構造を有したシートを配置。このシートにより、部屋の照明などの外光や視聴者の姿などの映り込みをほぼ無くせるほか、内部からの光もパネル表面で拡散しないため、より艷やかで高コントラストな映像を実現できる。モスアイ技術により、AQUOS XLシリーズではテレビコントラスト1,000万:1を実現した。

 表面の小さな凹凸により、外光に対する表面の屈折率が変化。これにより反射界面がなくなり、低反射を実現できるという。可視光域全域にわたり、反射率で0.1%以下を実現。従来の低反射タイプ(0.5~1.5%程度)やクリアタイプ(4%程度)との比較では大幅に映り込みを抑えている。

 表面の光の散乱も減少するため、特に白色が他の像に色づかず、より正確な色再現が可能。また、斜め方向からの反射率も低いため、視野角特性も向上。斜めから見た場合もよりコントラストの高い映像を楽しめるとする。

モスアイとは微小な凹凸が表面の反射を無くすモスアイパネルの拡大写真
可視光域全域にわたり、反射率0.1%以下斜めから見ても低反射モスアイパネルの特徴

 モスアイの基本的な特許はシャープが20件以上取得しており、シートは大日本印刷(DNP)に生産委託。両社で協力し、テレビ向けの最適化に取り組んだという。表面に微細な突起を有するため、汚れが取りづらいなどの欠点があったが、製品化にあたりそうした問題も改善。指紋や油脂などが付着した場合でも、湿式のテレビ用クリーナーなどで拭き取れるとする。

 モスアイパネル有りと無しの比較展示においても、その違いは明白。明らかな映り込み低減と、それに伴うコントラスト感の向上が確認できる。

モスアイパネルと低反射パネルの比較。映り込みの低減だけでなく、黒の締りやコントラストにも違いが
モスアイを採用したウィンドー(左)では大幅に映り込みが低減している中央がモスアイ部。一見空いているように見えるが同じケース内で前面にモスアイシートを張るだけで、この違いがでる

 それ故、テレビだけでなく、タブレットやスマートフォンなど、他の用途への応用も期待されるが、最表面に微細な凹凸があるという構造上、タブレットやスマートフォンなど“タッチ操作”を前提とした製品での利用についてまだ課題があるとのこと。


■ モスアイ+クアトロン。2.1chオーディオも

XL9シリーズの特徴

 80/70/60/52/46型のいずれも4原色のクアトロンパネル/UV2A技術と、新開発の829万サブピクセル駆動システムを採用。映像シーンごとにサブピクセルを最適駆動させて、輪郭などのディテールを鮮やかに再現できるという。

 パネル解像度は1,920×1,080ドットのフルHDで、バックライトはエッジ型のLED。モスアイパネルの採用に加え、映像をシーンごとに分析し、液晶の開口量とバックライト光量を同時に調整する「LEDブライトネス」により、テレビコントラスト1,000万:1を実現した。視野角は上下/左右176度。3D表示にも対応し、別売のメガネ「AN-3DG20-B」を追加することで、Blu-ray 3Dなどを楽しめる。

 映像エンジンはデュアルコアの「高画質マスターエンジン プロ」。映像のフレームごとの輝度や周波数を解析し、コントラストやノイズ低減などの高画質化処理を高速化。動画性能を向上させる「240フレッドスピード」を搭載。液晶パネルとLEDバックライト点滅を高速制御することで、残像を低減し、16倍相当の動画性能を実現するという。

フロントユニット配置や密閉構造を採用したオーディオ部

 8cmウーファと3×15cmミッドレンジ、2cmツィータの3ウェイ5スピーカーによる、2.1chオーディオシステムを搭載。最大出力は7.5W×2ch+15W。左右スピーカーは独立した密閉構造を採用し、前方向にユニット配置することでクリアで聞き取りやすい音を実現。ウーファは、ディスプレイ背面に内蔵する。また、専用LSI「新・AudioEngine」をAQUOSのスピーカーシステムに最適化。周波数特性と位相の乱れをトータルに補正することで、クリアな音質と自然な音像定位を実現。同時に反響する仮想音を組み合わせる「HeX(エイチエックス)」で、低音感を拡張して高音質化する。


3ウェイ5スピーカーによる2.1chオーディオシステムを搭載

■ 地デジ3チューナでW録+裏番組視聴可能

側面。最薄部は4.3cm(46型)~4.9cm(80型)

 地上デジタルチューナを3系統、BS/110度CSデジタルチューナを2系統搭載。別売USB HDDへの録画に対応し地デジ2番組録画中でも裏番組の視聴が可能。約8倍の長時間録画や、AQUOSブルーレイへのネットワークダビングに対応する。

 ホーム画面は、番組情報とネット情報を同画面上に表示する「ビジュアルモーションガイド」を採用。リモコンの「ホーム」ボタンを押すことで、テレビ番組やインターネットの情報、AQUOS Cityなどの情報を一覧で確認でき、録画番組やおすすめ視聴番組、ネット動画、生活情報などにアクセスできる。

 おすすめ選局ナビは、視聴中番組や視聴履歴から番組をおすすめするほか、登録キーワードに関連する番組やネットの関連情報を表示。視聴中でも他のチャンネル画面(静止画)をタイトルと一緒に表示する新・裏番組表示も搭載した。


ビジュアルモーションガイドを採用USB HDD録画もHDMI入力は4系統
リモコン

 IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LANを搭載。「スマートファミリンク」によりAQUOS PHONEで撮影した動画や写真をフリック操作でテレビ画面に表示できる。DLNA対応機器内の動画や音楽、静止画を再生でき、AQUOSブルーレイの録画番組をAQUOS PHONEで選択し、テレビに出力することも可能となっている。

 4系統のHDMI入力などを装備。壁掛け金具は、80/70型用の「AN-80AG1」(48,300円)と70/60/52/46型用の「AN-52AG6」(26,250円)を用意する。


型番LC-80XL9LC-70XL9LC-60XL9LC-52XL9LC-46XL9
サイズ80型70型60型52型46型
画素数1,920×1,080ドット
テレビ
コントラスト
1,000万:1
視野角上下/左右176度
バックライトLED(エッジ型)
スピーカー
出力
7.5W×2ch+15W
入力端子HDMI入力×4、D5入力×1、コンポジット入力×1、
アナログRGB入力(D-Sub15ピン)×1、アナログ音声出力×1、
ヘッドフォン出力×1、光デジタル音声出力×1、USB×3、Ethernet
消費電力約349W約260W約210W約162W約144W
年間消費
電力量
184kWh/年155kWh/年127kWh/年103kWh/年87kWh/年
外形寸法182.5×45.5
×112.3mm
157.8×38.9
×95mm
137.8×38.9
×82.9mm
119.6×30.2
×76.9mm
106.1×30.2
×69.2mm
重量未定未定未定未定未定

(2012年 10月 25日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]