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V-Low放送「i-dio」、東京/大阪/福岡で'16年3月開始。対応スマホが年内発売
(2015/10/15 18:30)
地上アナログテレビ放送終了後のVHF-Low帯で行なわれる「V-Lowマルチメディア放送」が、'16年3月に東京、大阪、福岡で開始されることが決定した。また、コミュニケーションネームは「i-dio(アイディオ)」に決まり、初のi-dio対応スマートフォンとして、SIMフリーの「i-dio Phone」が、年内にコヴィアから発売される予定。
V-Lowマルチメディア放送は、地上アナログテレビ放送終了後に空いたVHF-Low帯(99MHz~108MHz)を使ったマルチメディア放送。音声だけでなく、映像やデータ放送も活用したもので、TOKYO FMとパートナー企業が設立したBICが、事業全般を推進。当初は11月に福岡からサービスを開始する予定としていたが、延期されることになる。
2010年に改正された放送法で新設された「移動受信用地上基幹放送」に定義され、「携帯性・移動性」や、「放送=一斉同報性」、「通信的=IPデータキャスト(IPDC)」の3つが大きな特徴。「真の『通信と放送の融合』を実現し、 放送のオープンプラットフォーム化を可能にする」としている。
従来の、放送コンテンツを通信の伝送路で配信するものとは反対に、通信に流れる映像や音声などを含むあらゆるデータを、放送波を使ってブロードキャストする「IPDC(IPデータキャスト)」技術を活用。チューナを内蔵した機器が、リアルタイムで、輻輳(ふくそう)が無く、プッシュで誰でも情報を享受できることなどを目指している。
放送局設備を提供するハード事業者のVIPと、 放送設備を借り受けて各地域ごとに基幹放送業務を行なうソフト事業者(東京マルチメディア放送など全国7ブロック6社)が分かれており、コンテンツプロバイダは、認定事業者が放送法上の許認可取得や設備投資により整えた全国の放送インフラを活用し、多彩なビジネスモデルを展開できるという。
現時点で参入を公表しているコンテンツプロバイダは、車/ドライバーに向けて、音声とデータを融合したテレマティクスサービスを提供するアマネク・テレマティクスデザインと、高音質オリジナルチャンネルや、データキャストを通じた通信と融合したビジネスモデルを提供するTOKYO SMARTCASTの2社。現在も、各地域のマルチメディア放送会社ではコンテンツプロバイダを募集している。
「i-dio」活用法として、防災情報配信システム「V-Alert」との連携が可能。V-Alertは、FMラジオが持つ緊急時の利点だけでなく、文字など様々なデータの一斉配信や、エリアコードにより局所的な情報を複数同時並行で配信することなどデジタルならではの特徴を持つ。さらに、J-Alert、 L-Alert(公共情報コモンズ)や自治体システムと接続することで、 自治体や公共機関からの緊急情報を瞬時に遅延なく一斉配信できるという。
i-dioで配信された情報は、 屋内の防災ラジオ、 スマートフォン、タブレット、車内のカーナビなどの対応機器で受信でき、防災行政無線などでは情報が届きにくかった家の中や車の中にも、より確実に緊急情報を伝達するという。
スマホや防災ラジオで聴取可能。'19年度には世帯カバー率78.3%へ
i-dioの市販第1号受信機として、 SIMフリースマートフォン「i-dio Phone」がコヴィアから発売予定。i-dioのほか、地上デジタルテレビとFMラジオにも対応した3波対応のAndroid搭載SIMフリースマートフォンで、発売日や価格は今後公式Webサイトで発表する。
また、i-dioの放送波をWi-Fiに変換することで、従来のスマートフォンでもi-dioを受信することができる「Wi-Fiチューナー」も、放送開始にあわせて配布予定としている。
前述の防災システム「V-Alert」を導入する自治体向けに、加賀ハイテックが発売する防災ラジオ「MeoSound VL1」を提供する。このほかにも、スマートフォンに直接接続するタイプのi-dioチューナユニットや、対応カーナビ、機器埋め込み型のi-dio受信モジュールの開発も、各社で進められているという。
'16年3月の東京・大阪、福岡でのサービス開始以降のエリア拡大予定についても案内。'16年度上期に名古屋・静岡・広島・兵庫・福島、 2016年度下期に関東・九州で放送を予定している。'19年度には世帯カバー率78.3%を目指す。