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ソニー、4K/HDR対応「α7 III」。「フルサイズミラーレスの新ベーシック」
2018年2月27日 10:18
ソニーは、ミラーレスデジタル一眼の新モデル「α7 III」を3月23日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はボディのみで23万円前後。ズームレンズキットとして「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」を同梱したモデルも実売25万円前後で用意する。
「フルサイズミラーレスのベーシックモデル」と位置付けられており、α7 IIと比べ、約1.8倍の高速処理を可能にした新世代の画像処理エンジン「BIONZ X」を搭載。センサーはフルサイズで、有効約2,420万画素の裏面照射型「Exmor R CMOS」を採用。ギャップレスオンチップレンズや反射を低減するARコーティング付きシールガラスを組み合わせることで、常用ISO感度を最高ISO 51200まで高め、拡張ではISO 204800を実現。
イメージセンサーからの読み出し速度を約2倍に高速化したフロントエンドLSIの搭載により、広い感度性能や解像とノイズ低減の両立による最大1.5段分の画質向上。低感度時約15ストップの広いダイナミックレンジを備える。
光学式5軸のボディ内手ぶれ補正も搭載。高精度な手ブレ補正ユニットとジャイロセンサーを搭載し、手ブレ補正アルゴリズムも最適化したことで、5.0段の補正効果を実現。静止画撮影中の手ブレ補正効果は、シャッターボタン半押しまたはピント拡大表示中にライブビュー映像で確認可能。動画撮影時も5軸手ブレ補正が活用できる。
4Dフォーカスに対応したAF性能を搭載。画像処理システムの刷新と、進化したAFアルゴリズムを搭載することで、AF速度・精度・追従性能が向上。撮像エリアの約93%をカバーする範囲に693点の像面位相差検出AFセンサーを配置したほか、コントラストAFを従来モデルα7 IIの25点から425点に多分割化し、検出精度が大幅に向上した。
AF速度は低輝度時に最大2倍向上。動体追従性能では、イメージセンサーからの読み出し速度の高速化により、連写中のAF測距・演算頻度を高め、最新の動体予測アルゴリズムも最適化して搭載。従来機比約2倍に向上したという。AFアルゴリズムの進化により、AF-SモードでのAF検出輝度範囲の下限値はEV-3(ISO 100相当/F2.0レンズ使用)を達成。
最新のシャッターチャージユニットと画像処理システムの刷新により、α7 IIと比べて2倍となる最高約10コマ/秒のAF/AE追従高速連写を実現。無音・無振動のサイレント撮影時にも、同様に最高10コマ/秒で連写でき、静粛性が求められる撮影シーンにも対応できる。
ライブビュー方式では最高約8コマ/秒の連写が可能。バッファメモリの大容量化に加え、システムの高速化とUHS-II対応のSDカードスロット採用などにより、最大約10コマ/秒の高速連写でJPEGスタンダード約177枚/圧縮RAW約89枚/非圧縮RAW約40枚の連続撮影に対応。フリッカーレス撮影にも対応することで、蛍光灯などの点滅によるちらつきを検知して適切なタイミングで静止画を撮影。速いシャッター速度や連続撮影時に生じる露出や色合いのばらつきを低減する。
なお、SDカードはデュアルスロットを採用。片方のスロットはSDとメモリースティック兼用となる。メディア間同時記録、リレー記録、振り分け記録、コピーも可能なUHS-II対応仕様となる。
動画撮影は4K(3,840×2,160ドット)の30pまで対応。HDR撮影にも対応し、HLG(Hybrid Log-Gamma)をサポートする。記録形式はXAVC Sで最大100Mbpsの記録が可能。S-Log2/Log3にも対応する。S-Log3設定時は14ストップの広いダイナミックレンジを実現。S-Log/HLG撮影時にモニタリングできるよう、ガンマ表示アシストも搭載する。また、AVCHDでの動画撮影も可能。
フルサイズ領域で画素加算のない全画素読み出しを行なう事で、4K映像に必要な画素数の約2.4倍の豊富な情報量を活用して4K出力し、より解像感の高い臨場感のある映像表現が可能。フォーマットは、フルサイズとスーパー35mmから選択できる。
フルHD/120fpsのハイスピード撮影も可能。最大5倍までのスローモーションと、最大60倍までのクイックモーション撮影機能も搭載する。4K動画と低解像度のプロキシ動画の同時記録にも対応する。
ファインダーは倍率0.78倍の約236万画素XGA OLED Tru-Finder。モニターはチルト可動式でタッチ操作対応の3.0型/92万画素。
バッテリも改良し、充電一回あたり、ミラーレスカメラとして業界最大という710枚の静止画撮影が可能。
無線LAN機能も備え、スマートフォンへの画像転送や、スマホアプリからのリモート操作にも対応。NFCもサポートする。外形寸法は126.9×73.7×95.6mm(幅×奥行き×高さ)、本体のみの重量は約565g。
また、アクセサリとして大光量ガイドナンバー(GN)60、発光間隔1.7秒、220回の連続発光性能を備え、電波式ワイヤレス通信に対応したフラッシュの最上位機種「HVL-F60RM」(68,300円)や、フラッシュ用外部電池アダプタ「FA-EBA1」(27,000円)、レインガード「FA-RG1」(2,500円)も4月13日に発売する。
CP+2018にも出展
ソニーショールーム/ソニーストア 銀座、ソニーストア 札幌、ソニーストア 名古屋、ソニーストア 大阪、ソニーストア 福岡天神にて、3月2日から展示を開始。
さらに、3月1日~4日までパシフィコ横浜で開催されるイベント「CP+2018」にも出展。スペシャルセミナーなども予定されている。また、全国5カ所のソニーストア内「αプラザ」で限定イベントも開催予定。
“ベーシック”の概念を打ち破る
カメラ市場において、ミラーレスの構成比が右肩上がりである事に合わせ、ソニーもフルサイズのミラーレスに注力。超高速連写が可能な「α9」や、高解像度の撮影機能を強化した「α7R III」などを展開しているが、それらの弟分にあたり、ベーシックモデルとして展開するのが「α7 III」となる。
位置付けとしてはベーシックだが、高い高感度撮影機能やAF性能、長持ちなバッテリなど、高いスペックを誇り、「既存の“ベーシック”の概念を打ち破る、フルサイズミラーレスの新基準となるモデル」(ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ デジタルイメージング本部 第2ビジネスユニット シニアゼネラルマネジャー 長田康行氏)とアピールした。