ニュース

audio research、真空管搭載DACやアンプ/フォノイコ「Foundation」4製品

 ノアは、米audio researchの真空管搭載DACやアンプなどの「Foundation」シリーズ4モデルを8月1日に発売する。価格は、DAC「DAC9」が100万円、プリアンプ「LS28」が110万円、パワーアンプ「VT80」が125万円、MCフォノイコライザ「PH9」が100万円。

真空管アンプも搭載したDAC「DAC9」

 「Foundation」は、audio researchが創業以来40年以上をかけて追求しているHigh Definition(高解像度)サウンドを受け継ぎ、「ダイナミクスに溢れ、ディテールが豊かなサウンドを目指した」というシリーズ。

 4製品とも真空管を搭載し、共通の特徴としてヘアライン仕上げのアルミブロック筐体と伝統的なハンドル、特殊強化ガラスによるフロントパネルを採用。筐体にはパンチングを施したアルミニウムパネルを採用し、真空管の発熱を効率的に抑える。

 サウンドを作り上げる回路はアナログ回路で真空管を使用した伝統的な設計とし、コントロール回路はデジタル制御とするハイブリッド構造。「ノイズの起きないコントロールでありながらダイナミックなサウンド」としている。コントロール部のデジタル回路とサウンド部のアナログ回路には別の電源トランスを使用し、干渉の少ない構造とした。LS28、PH9、DAC9には、それぞれ専用のアルミ製リモコンが付属する。

プリアンプ「LS28」
パワーアンプ「VT80」
フォノイコライザ「PH9」

DAC「DAC9」

 真空管アンプを搭載したDAC。DACチップはPCM1792Aを各チャンネルに1基使用し、その他にPCM4152も1基使用している。DSDは5.6MHzまで、PCMは44.1~384kHzに対応。入力はUSB 2.0、同軸デジタル、デジタルBNC、AES/EBU(XLR)、光デジタルの合計5系統。同軸やAES/EBU入力は192kHzまで、光デジタルは96kHzまでの対応となる。

DAC「DAC9」

 DA変換された信号は、2本の6H30を使用したゼロ・フィードバックのピュア・クラスA アナログ回路を通って出力される。

 アナログ出力部はバランス伝送で、ダイナミックレンジの広さと低ノイズ、高いチャンネルセパレーションを実現。2つの異なる周波数のTCXO水晶発振器を使用し、一方は44.1kHz、88.2kHz、176.4kHz、352.8kHzを、もう一方は48kHz、96kHz、192kHz、384kHzを補間。信号の劣化による歪みに伴うデジタルエラーを低減させたという。全てのPCM信号は内部で352.8kHzまたは384kHzにアップサンプリングして伝送する。デジタルフィルターの速度設定で音質の調整が行なえる。

 チャンネルセパレーションは107dB、ダイナミックレンジは114dB、全高調歪率は0.002%以下(2V RMS)、SN比は114dB以上。周波数特性は6Hz~192kHz(-3dB)、20Hz~20kHz(-0.15dB)。消費電力は最大出力時60W、スタンバイ時1.8W以下。外形寸法は480×348×137mm(幅×奥行き×高さ)、重量は6.3kg。

本体内部

プリアンプ「LS28」

 LS28は、内部抵抗の低さやノイズの少なさを特徴とする双三極管「6H30」を1chあたり2本、合計4本使用。「ダイナミックでありながら高解像度なサウンドを提供する」としている。入力はXLRバランス×4、RCAアンバランス×4。出力はアナログ2系統とREC出力1系統で、いずれもバランスXLRまたはRCA。

プリアンプ「LS28」

 コントロール回路はデジタル制御。各入力に対してボリューム、左右バランス、位相反転、ステレオ/モノラル切り替えなどの設定が可能。入力名称の変更やディスプレイ輝度の変更、オートシャットダウン機能などの設定もできる。

 サウンドを担うアナログ回路は、6H30によるフルバランス、クラスAのゼロ・フィードバック設計。外部ノイズの影響を安定した信号伝送が行なえ、音声信号を的確に伝送しピュアでダイナミックなサウンドが得られるという。アナログ回路とデジタル回路にば別の電源レギュレータを使用し、電源干渉をなくしている。

 クロストークは-105dB、ダイナミックレンジは122dB、全高調波歪率は0.007%以下(2V RMS)、周波数特性は0.4Hz~200kHz(-3dB バランス出力)。消費電力は最大出力時130W、スタンバイ時2W以下。外形寸法は480×348×137mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7.2kg。

内部
背面

ステレオパワーアンプ「VT80」

 定格出力75W×2chのパワーアンプ。出力段にはハイパワー真空管のKT120を片チャンネルに2本(プッシュプル)と大容量EIコアトランス、ドライバ段には6H30を1本使用。

パワーアンプ「VT80」

 オートバイアス対応で、手動でバイアス調整の必要がなくKT120のパフォーマンスを最大限発揮する設計としている。内部回路は、入力から出力までフルバランス伝送。ハイスピード/ローノイズのFETを入力に、厳密に特性の合ったペアの真空管を出力に使用し差動動作することでノイズに強く安定したバランス回路を実現したという。

 音声入力はバランス(XLR)とアンバランス(RCA)各1系統で切替式。スピーカー端子はバナナプラグ/Yラグ対応。

 周波数特性は0.7Hz~80kHz(-3dB、1W)、チャンネルセパレーションは112dB以上、SN比は115dB 以上。

 真空管には1本ごとにヒューズが組み込まれている。また、音声信号が一定時間入力されないと自動的に電源をシャットダウンする、オートシャットダウン機能のオン/オフが切替可能。

 消費電力は最大出力時500Wで、スタンバイ時は1W以下。外形寸法は483×493×262mm(幅×奥行き×高さ)、重量は20.7kg。パンチング処理した真空管カバーが付属する。

天面
背面

MCフォノイコライザ「PH9」

 真空管は、内部抵抗の低さとノイズの少なさを特徴とする双三極管の6H30を3本使用。新設計となる大容量Rコアトランスを使用している。電源部のレギュレータには6550と6H30を使用して真空管のプレート電圧を作っている。

フォノイコライザ「PH9」

 回路基板には厚みと重量のある特殊素材を使用。ゲインステージとRIAAステージにはカスタムメイドのテフロンコンデンサを使用、入力段にはローノイズのJFETを採用。「真空管の持つサウンドを保ちながらにして超低ノイズなフォノ回路」としている。

 出力ゲインは58dBで固定。ロードインピーダンスは5種類のセッティングに対応し、様々なMCカートリッジに対応可能。入力インピーダンスや、オートシャットダウン、真空管使用時間の確認、ステレオ/モノ切替、ディスプレイ輝度が設定可能。

 アナログ入出力(RCA)を各1系統装備。適合カートリッジ出力電圧は0.3mV~1.5mV、全高調歪率は0.015%以下(3V RMS)、周波数特性は5Hz~20kHz(RIAA +/-2dB)、消費電力は最大出力時120W、スタンバイ時2W以下。外形寸法は480×348×137mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7kg。

内部