ニュース

AQUOS 8Kで臨場感ある8Kショートムービー「LUNA」を見た

 2018年末にスタートする4K/8K実用放送に先駆け、「8K」に積極的に取り組むシャープから世界初のコンシューマ向け8Kテレビが登場する。12月1日の発売を前に、「AQUOS 8K」(LC-70X500)で映像クリエイターが製作したオリジナル8Kショートムービー「LUNA」を視聴できるイベントが開催された。

AQUOS 8Kテレビ「LC-70X500」

 LC-70X500は、8Kの高精細液晶パネルを採用したAQUOSシリーズ最上位機種で、チューナは地上/BS/110度CSデジタルを装備。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は100万円前後。現在開発中の「8K放送対応受信機(別売)」と組み合わせることで、8K実用放送の視聴に対応する。

 このイベントではKADOKAWAの末岡大祐氏(週刊アスキー編集部)と、アイドルグループ・SKE48の松村香織さんが司会進行を務め、8Kの世界について「アイドルにとっては(テレビで細かいところまで映って)恐ろしい時代になる」という意見や、「100万円という価格設定の理由は?」などシャープへの率直な質問が飛んだ。

登壇者

 シャープ TVシステム事業本部 国内事業部 8K推進部長の高吉秀一氏は「8K時代はすぐそこまで来ている。2020年のスポーツイベントもあり、そこに向けて普及が加速するとみている。シャープでは'11年5月の世界初の8Kディスプレイ以来、業界に先駆けて8K技術の開発を行なってきた。8Kはひとつの到達点。そこから16Kへと(技術開発が)進むことはないだろう」とコメント。8Kの世界が一般消費者の家で体感できる製品として、LC-70X500をアピールした。100万円前後という価格については、「コンシューマー向けの量産体制が整ったことで実現できた価格で有り、ここが一般消費者の手に届くギリギリ」とした。

 栃木開発センター 第二開発部長の高倉英一氏は、「“なぜ8Kなのか”というと、実物が目の前にあるかのような臨場感や実在感を感じ取れて、さらに歴史資料や美術品などの撮影ではこれまで見えなかったものも見えてくるようになる。8Kで新たな発見と感動を届けられる。(LC-70X500では)フルHDのBlu-rayコンテンツも、アップコンバート機能により高精細に楽しめる。購入後すぐにさまざまな機能で楽しんでいただける」とした。

シャープの高吉秀一氏(右)とシャープの高倉氏(左)

 8K画質のオリジナル映像を製作するクリエイターとして、ピクスで映像監督を務める池田一真氏と、ロボットの諸石治之プロデューサーが登場。2人が関わった8K/HDRの実写オリジナルショートムービー「LUNA(ルナ)」(約17分)がLC-70X500で上映された。出力機器の仕様により、HDR撮影映像をSDR上映する形となったが、とある高校の文化祭を舞台に、高校生たちの物語をリアルな質感と美しい映像で描きだす“現代版かぐやひめ”に思わず見とれてしまった。

「LUNA」のワンシーン
8K映像出力装置

 諸石氏はLUNA制作のきっかけについて「8K実用放送が迫る中、コンテンツメーカーも良質な8K作品の制作に一石を投じたいと考えた。IMAGICAが都内に8Kの編集スタジオをオープンしたこともきっかけとなった」と振り返った。

 池田氏は「8Kのデモコンテンツは自然を映した環境映像などが多い。私たちはそこから一線を画して、心を動かすフィクション作品を8Kでつくることを目指した」と説明した。

「LUNA」の映像監督・池田一真氏
諸石治之氏

 被写体すべてにフォーカスを合わせるパンフォーカスな映像作りでは無く、光や色を使ったファンタジーとリアルの間の空間演出が「LUNA」の特長だという。ただし、夜の星空などの一部映像は8K動画ではなく、8K解像度の静止画を使っているため、まるで舞台セットの書き割りのように見えてしまう点が課題であることなども語られた。

 8Kの可能性について池田氏は、「これからさまざまなクリエイターが8K表現に挑戦して一般的になるだろう。モーショングラフィックスやアニメーションも駆使した、誰も見たこともないよう圧倒的な映像が生まれるのでは」とコメント。諸石氏も「8Kはキャンバスが格段に大きくなる。クリエイターにとってはできることが増えて面白い。8Kのリアリティある映像が、家族全員をもう一度リビングに集めることになるのかもしれない」と話した。

 シャープの高吉氏は、「これまで8K放送スケジュールに注目してきたが、ゲーム業界も8K対応ソフトを来年(2018年)春に発売するなど、来年は8Kが盛り上がるだろう」と期待を語った。

司会進行を務めたSKE48 松村香織さん(左)、アスキーの末岡氏(右)