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超狭額縁スマホなど、デザイン自由度が高まるJDI液晶。カラーフィルタ不要の高透過型も

 ジャパンディスプレイ(JDI)は12日、同社液晶ディスプレイの技術説明会を開催。コア技術とするLTPS(低温ポリシリコン)や、成長戦略として取り組んでいる狭額縁の「FULL ACTIVE」、異形状ディスプレイなどの最新技術の現状と今後について、研究開発のトップである瀧本昭雄CTOが解説した。

JDIの瀧本昭雄CTO

 ディスプレイに使われるTFT(薄膜トランジスタ)の一つの方式であるLTPSは、ガラス基板への形成だけでなく、フィルム基板に形成することで自由な形のシートディスプレイも製品化が可能。一般的な透過型液晶だけでなく、反射型液晶や、有機ELのバックプレーンとしても使われるベース技術となっている。ディスプレイの表示部だけでなく、額縁部(駆動回路)にも使われるLTPSは、JDIのコア技術と位置付けられている。将来的には、画像だけでなく様々なセンシング技術への利用も見込まれる。

様々なデバイスに使われるLTPS

 LTPSは、トランジスタとしての性能がアモルファスシリコン(a-Si)に比べ100倍に相当。高い開口率により、消費電力/輝度/解像度の点において有利なほか、応答速度、狭額縁によるデザインの自由度の高さも特徴。瀧本CTOは「近年、スマートフォンを中心に中小型でシェアが上がっており、アモルファスシリコンと今年から同等、あるいは逆転するかもしれない。スマートフォンに要求される性能を出すためのトレンドになっている」とした。

 IHS Markitの調査では、9型以下のTFT液晶(車載含む)において、シェア7割超だったアモルファスシリコンが2017年度には50%台へ下落、一方でLTPSが40%超まで上昇すると予測されている。

中小型液晶におけるLTPSやa-Siなどのシェア(出典:IHS Markit)
LTPSとa-Siの比較
JDIにおけるLTPSの進化

 JDIが技術戦略として注力するのがデザインの自由度。その中核となるのが狭額縁の「FULL ACTIVE液晶」で、同社は2018年のモバイル製品売上の半分以上、7~8割をFULL ACTIVEにしていく方針を示している。同技術もLTPSと周辺技術の進化により実現したという。

FULL ACTIVEの特徴
スマートフォンにおける画面占有率の変遷
FULL ACTIVEもLTPSと周辺技術の進化で実現
18:9のFULL ACTIVEディスプレイ

 また、デザイン自由度の高さを活かした「異形状ディスプレイ」の一例として、(iPhone Xのように)スマホ上部に必要なカメラレンズ部分を避ける切り欠きを設け、前面をほぼ映像で覆う形を紹介。画面サイズは6.6型で、解像度は1,440×2,880ドット、コーナーはラウンド形状で、アクティブエリアはR6mm。切り欠き部分は6×6mm。

異形状スマートフォン用ディスプレイの例

 ARなどへの応用に向けて開発しているのが「高透過・透明ディスプレイ」。従来の透明ディスプレイに比べ1.5倍以上の透過率が特徴。液晶で必須のカラーフィルターと偏光板を不要とし、透過率は従来の液晶が10~30%、有機ELが45%であるのに対し、開発品は70~80%を実現したという。

高透過/透明ディスプレイ

 技術の詳細については今後正式発表予定のため、現時点では明らかにしていないが、カラーフィルターを不要とする技術としては、フィールドシーケンシャル方式を採用。RGB 3色のLEDを、通常の3倍以上のスピードで連続的に発光させる。偏光板をなくすための技術としては、「1つの技術だけではできず、色々な工夫がある」とし、改めて発表予定としている。

 この高透過ディスプレイは、製品化の目途について「開発フェーズからもう一歩先という状態だが、驚きをもって迎えられている」という。

 そのほかにも、NHKに採用された17型クラスで500ppiの8K4Kディスプレイや、約130度の広視域角を実現したライトフィールドディスプレイなど、これまで発表した技術を紹介した。なお、ライトフィールドディスプレイについては、当初動画への対応も予告していたが、これについても「近々に発表する予定」としている。

8K4Kディスプレイと、広視域角のライトフィールドディスプレイ

 画素にメモリ(SRAM)を内蔵する反射型ディスプレイも開発。バックライト不要で、データ書き込みは必要な時だけ行なうことで超低消費電力を実現。32型の場合、バックライトを使うディスプレイの0.5%以下まで消費電力を抑制。野外での視認性も高めたという。

超低消費電力のメモリ内蔵反射型ディスプレイ