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ACTIVO、300ドルを切るハイレゾプレーヤー「CT10」。Astell&Kernの技術&モジュール投入

 アユートは、ハイレゾ音楽配信サイトのgroovers Japan(グルーヴァーズジャパン)が設立したオーディオブランド・ACTIVO(アクティヴォ)の第1弾製品であるポータブルオーディオプレーヤー「CT10」を日本で発売する。iriverのAstell&Kernが開発を支援。近日発売予定で、価格は未定だが、「300ドル以下を目指している」という。

ACTIVOの第1弾ポータブルオーディオプレーヤー「CT10」

Astell&Kernの技術力を凝縮して投入

 ハイレゾ音楽配信サービスを展開しているgroovers Japanが、より多くの人達にハイレゾの感動を知ってほしい。音楽を愛する若い世代へ、ハイレゾ音源を気軽に楽しめる環境を生み出し、新しいハイレゾファンを創出していく」ことをテーマとして設立したブランドACTIVOの第1弾製品。

12月16日~17日まで開催されている「ポータブルオーディオフェスティバル2017 WINTER」に参考展示されている

 開発にあたっては、「スマートでコンパクトなデザイン性に加え、リーズナブルでありながら、音源のポテンシャルを十二分に引き出し、音楽の感動をしっかりと伝えることができるクオリティ」を重視。グループ会社であるiriverに、CT10の開発支援を要請。Astell&Kernの技術力を凝縮して投入しているという。

 なお、ACTIVOというブランド名は、アクションを意味するラテン語「ACTIO」と、活気や生命力を意味する「Vital」を組み合わせて作られており、「生命力に満ちあふれ、力強くアクションを起こす」という意味。プレーヤーだけでなく、将来的にはイヤフォンやヘッドフォン、各種スピーカーなどの発売も視野に入れているという。

Astell&Kern製のモジュール「TERATON」を採用

 プレーヤーとしての大きな特徴は、カジュアルな利用をイメージしたラウンドエッジ形状のフォルムと、手のひらにフィットするサイズ。外形寸法は93.2×65.2×15.5mm(縦×横×厚さ)。重量は約112g。カラーはクールホワイト。3.4型、480×854ドットの静電容量式タッチパネルディスプレイも備えている。

3.4型ディスプレイを採用

 内蔵ストレージメモリは16GB。microSDカードスロットも1基備えており、最大256GBのカードが利用可能。クアッドコアのCPUを採用しており、レスポンスに優れたユーザーインターフェイスで操作できるという。

 インターフェイスのデザインは、スマートフォンに慣れたユーザーが、直感的に操作できるようなものになっており、音楽プレーヤーとして重要なプレイ画面を中央に配置。上下左右にドラッグすることで、行きたいページに移動できる。頻繁に使う機能は「お知らせ」に設定しておくことで簡単にアクセスできる。本体左サイドには、曲のスキップ・再生・停止ボタンを配置。ポケットの中でも手探りで操作できる。右サイドにはボリュームホイールを用意した。

インターフェイスのイメージ
左サイドには、曲のスキップ・再生・停止ボタンを配置
右サイドにはボリュームホイール

 DACはシーラス・ロジック製の「CS4398」を1基搭載。PCMは192kHz/24bitまで、DSDは5.6MHzまでの再生が可能。なお、DSDはPCMの176.4kHz/24bitに変換しながらの再生となる。

 前述の通り、Astell&Kernの技術力が投入されているが、その象徴として、Astell&Kern製のモジュール「TERATON」を採用している。これは、DACやクロックジェネレーター、ヘッドフォンアンプなど、AKの技術力を使った、オーディオプレーヤーの主要機能を一体型のモジュールにしたもの。音質を犠牲にせず、製品の小型化を実現できるとする。この「TERATON」を採用した初の製品が「CT10」となる。

 この「TERATON」は、ポータブルプレーヤーだけでなく、スマートフォンやタブレット、PC、カーオーディオ機器などへの搭載も想定。B to B展開も予定されている。

Astell&Kern製のモジュール「TERATON」
スマートフォンやタブレット、PC、車載などへの展開も予定されてる

 イヤフォン出力は3.5mmのステレオミニで、バランス出力は備えていない。出力レベルは8Ωで22mW、16Ωで36mW。SN比は115dB。

 10バンドのイコライザを備え、ユーザーの設定が保存できるほか、5種類のプリセットイコライザも用意する。

背面

ネットワーク機能も搭載

 通信機能として、IEEE 802.11b/g/nの2.4GHz無線LANを搭載。同一LAN内にある、NASやPCにアクセス、DLNA機能を使い、それらに保存している音楽ファイルをCT10からストリーミング再生したり、CT10にダウンロードできる。スマホやタブレットのDLNAアプリを使えば、アプリをリモコンのように使い、CT10の音楽再生をコントロールする事も可能。

 無線LANを使い、「groovers Japan」アプリから直接ハイレゾ音源を購入・ダウンロードできる。また、日本でのサービスは開始されていないが、TIDALにも対応する。

 Bluetooth 4.1にも対応し、プロファイルはA2DP/AVRCPをサポート。Bluetoothスピーカーなどから、CT10のサウンドを再生する事ができる。

 USB端子も備え、USBオーディオデジタル出力も可能。DACを搭載したポータブルヘッドフォンアンプと、別売のUSB OTGケーブルを使って接続。USB端子を経由して、デジタルのままDACアンプへと音楽を伝送できる。

 PCMだけでなく、DSDもDoP伝送で再生可能。PCと接続してUSB DACとして使うこともできる。

ポタフェスで発表会も開催

 16日には、ヘッドフォンイベント「ポタフェス 2017 WINTER」において、発表会も実施。ブースには試聴機も用意された。

grooversJapanのべソンミンCOO

 発表会に登壇した、grooversJapanのべソンミンCOOは、日本のハイレゾの認知率が2015年~16年の間に50%を上回っている事、ハイレゾを「既に利用している」、「是非利用したい」、「利用したい」と考えている人の合計が、2016年に全体の23.7%に上昇している事などを紹介。「ハイレゾは魅力を発揮しながら注目を集めている。ハイレゾマーケットは認知度・利用意向ともに着実に上昇しており、ユーザー層も女性や若い世代に広がっている」と指摘。

 こうした流れを受け、女性や若い世代がハイレゾを楽しもうとした際に、障壁になるものを払拭するためにACTIVOブランドを立ち上げたと説明。価格面、デザイン、軽さを含めた携帯性、そしてハイレゾ音源のポテンシャルを100%引き出せるサウンドクオリティにこだわった事をアピールした。

 発表会ではさらに、オーディオ評論家の野村ケンジ氏、オーディオジャーナリストの山本敦氏、ステレオサウンドオンラインの草野副編集長、アスキーの小林副編集長も登壇。CT10の低価格ながら再生対応フォーマットが広いところ、高解像度なサウンド、USB出力を使った拡張性など、魅力を語った。

ポタフェスにおいて、発表会も開催された
オーディオ評論家の野村ケンジ氏
左から野村氏、オーディオジャーナリストの山本敦氏、ステレオサウンドオンラインの草野副編集長、アスキーの小林副編集長