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ソニー、ロボットやドローン/VRで活用できる高精度な距離画像センサー開発

 ソニーは、ロボットやドローン、VR/AR/MRなどで活用できる、高精度な測距性能を備えた1/2型の裏面照射型Time of Flight方式距離画像センサー「IMX456QL」を開発。2018年4月からサンプル出荷を開始する。量産出荷は同年11月を予定。サンプル価格は3,000円。

1/2型の裏面照射型Time of Flight方式距離画像センサー「IMX456QL」

 Time of Flight(ToF)方式とは、光源から発した光が対象物で反射し、センサーに届くまでの光の飛行時間(時間差)を検出することで、対象物までの距離を測定する方式。ToF方式のセンサーは、画素ごとに距離情報を検出し、高精度な距離画像を取得できる。

 しかし、遠距離から近距離にわたって、精度を向上させるためには、反射光を効率よく捉えるとともに、より高速に距離測定の処理を行なう必要がある。

 そこで「IMX456QL」は、反射光信号の読出し精度を上げるための画素技術と、裏面照射型CMOSイメージセンサーの画素技術を融合させ、集光効率の向上と、測距のための高速な処理を実現。有効解像度は640×480ドット。

 従来のToF方式では測定が難しかった約10mの遠距離において、感度を高める駆動モードの搭載により、高い検出率を実現。約30cmから約1mの近距離では、VGAの解像度で高精度な距離画像が取得できるという。ソニーでは距離画像センサーを「DepthSense」と名付けており、「IMX456QL」は裏面照射型ToF方式を採用した初のDepthSense商品となる。

 距離画像をフレーム単位で取得するため、レーザーで対象物をスキャンして測距する方式に比べて、高フレームレートで撮像が可能。動く対象物の撮像では距離画像の歪みを抑えられる利点もある。測距フレームレートは120fps。

 自律的な動作が必要なロボットやドローン、VR、AR、MRでの活用を想定。10µm角画素の開発により小型を実現した、遠距離から近距離まで高精度な測距を可能なことで、「これらの領域における応用の幅を広げる」という。サンプル出荷にあわせ、カメラ開発を容易にするためのソフトウェア開発キットも提供する。

 なお、2015年の買収以降、ソニーセミコンダクタソリューションズの子会社としてToF方式距離画像センサーの技術開発を行なってきたSoftkinetic Systems S.A.は、12月18日付でSony Depthsensing Solutions Holding SA/NV(ソニーデプスセンシングソリューションズホールディング社)に社名を変更。「技術開発の融合が加速し、本商品を皮切りにソニーブランドでのDepthSenseの商品化の目処がついたこと、また、同社を測距ソリューションの開発拠点に特化させ、より一層の商品力強化に繋げる」という。