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GoPro 360度カメラ「Fusion」はスポーツを丸ごと録って後から切り出し。VRに臨場感
2018年2月9日 20:40
GoProは9日、5.2K解像度で全天球撮影ができるカメラ「Fusion」のメディア向け体験会を都内で開催。防水仕様や手ブレ補正機能を備え、スキーやサーフィンなどの激しいスポーツ撮影で活用できることや、後から好きなアングルのフルHD映像を切り出す「オーバーキャプチャ」といった、アクションカメラメーカーならでは強みを生かした様々な機能を紹介した。
Fusionは既報の通り、本体の前面と背面にカメラとレンズを備え、最大5.2K/30fpsで全天球撮影できるカメラ。北米では699.99ドルで発売中だが、国内正規販売店での発売時期や価格は未定。4月頃の発売を目指す。直販サイトでは88,000円(税込)と案内している。
正方形のボディに2つの魚眼レンズを背中合わせにオフセット配置したデザインで、解像度などの撮影情報を確認できる液晶ディスプレイがついている。5.2K/30fpsや、3K/60pでの全天球撮影に対応。ビデオフォーマットはMPEG-4 AVC/H.264。着脱可能なバッテリを備え、撮影可能時間は5.2K/30fpsが75分、3K/60pで80分。
高解像度の360度映像を素早く記録するため、前後のカメラ毎にmicroSDカードを1枚ずつ割り当て、計2枚使用。撮影された180度映像をカメラ内でステッチングして360度映像を生成する。
本体は水深5mまでの防水性能を備え、単体で水中撮影も可能。また、手ブレ補正機能を備え、モータースポーツなどの激しい動きから日常風景をとらえた360度映像まで、どんなシーンでもジンバル並みに安定して撮れるという強力な手ブレ補正能力をアピールした。
Fusionの大きな特徴のひとつが、iOSのGoProアプリから利用できる「オーバーキャプチャ」機能。360度映像を撮影した後に、見せたいアングルをフルHD映像として切り出せるもので、スマホを動かして構図を連続して変えられる。これにより、たとえばパラグライダーの360度映像から「自分が飛んでいる姿を正面から見せた後、足下の雄大な景色を見せる」といった映像表現が可能になる。
iOSアプリ「GoPro」には、アップデートでFusion向けの機能を追加し、360度映像を編集・加工して“インスタ映え”する映像を作り、手軽に投稿できるという。今後、Androidアプリの提供も予定している。
さらに、映像クオリティにこだわる人向けとして、Windows/Mac用アプリ「GoPro Fusion Studio」や、AdobeのPremiere ProやAfterEffect向けのプラグインを提供している。
本体に4つのマイクを内蔵し、360度音声記録も可能。臨場感あふれる360度サウンドで、VR動画撮影などに使えるとする。ボイスコントロールで撮影も可能で、たとえば「GoPro ビデオスタート」と声を掛けるだけで動画撮影がスタートする。
Fusionで5.2K/30fpsで撮影されたVR動画をGear VRで見た。パラグライダー上から撮影された動画で、自分が本当に空を飛んでいるような臨場感ある鮮明な映像が印象的だった。Fusionには撮影者が手にするFusio固定用グリップが目立たないよう、本体で処理して消す機能が備わっているが、これによって視界に不自然なものが映り込まない工夫がされていることも、臨場感を高めるのに一役買っていると感じた。
Fusionのパッケージには、カメラ本体のほかに専用ケースやバッテリ、マウント、USB Type-Cケーブルと、小型三脚や自撮り棒として使える「Fusion Grip」を同梱。グリップ部が三つ叉に割れて三脚の脚になる仕組みで、小型ながら適度な重量感で安定性も高めている。
GoPro バイスプレジデントのRick Loughery氏は、Fusionについて「シングルレンズカメラでは実現できないクリエイティビティを実現する新しいカメラ」であると表現。
写真/動画編集のプロではなくても、見栄えのする360度映像作品を手軽に作れるとして、Fusionを使って渋谷で撮影した映像を短くまとめた動画作品を紹介。スマホ用のGoPro Appが備える「QuikStories」機能で作ったという。
体験会には、GoPro主催の「GoPro Award」での受賞経験を持つ、3DCGクリエイターの普光江新さんも登場。学生の頃にGoProのアクションカメラに興味を持ち、GoPro HERO 4を購入。地元・大阪の名所を静止画で録りためて「ハイパーラプス動画」に仕上げた作品を投稿したところ、GoProスタッフの目に留まり、ビデオ部門での受賞となった。受賞作はGoProの公式Twitterアカウントで視聴できる。
今回はFusionで撮影したスキーの360度映像作品を披露。360度映像ならではの歪みを生かしたり、撮影しながら大胆にFusionを投げ上げるシーンもある。Fusionを使った感想として、「(全天球撮影は)アングルやフレーミングのミスを気にしなくて良くなり、効率よく映像を編集できるようになった。通常のパソコン用編集ソフトでは様々なパラメータをいじるので苦労することもあるが、オーバーキャプチャは直感的に操作できて便利」と話した。