ニュース
GoPro、360度カメラ「Fusion」公開。ドローン撤退も「GoPro需要は強い」
2018年1月12日 00:00
米GoProは、米ラスベガスで現地時間の1月9日に開幕した「CES 2018」において、360度カメラの「Fusion」を出展。米国での出荷は始まっており、今後順次各国での販売が開始される。日本でも4月以降に登場予定だ。1月9日には、Fusionの特徴である「OverCapture」を利用可能にするアップデートが、iOS版のGoProアプリで行なわれた。
Fusionは、ほぼ正方形のボディの前後に画角180度のカメラを搭載し、合成することで全天球の360度映像を撮影できるカメラ。5.2K/30pという高解像度の360度映像が撮影でき、音声も360度記録できる。最大5mの防水性能を備える。
最大の特徴が、360度の映像から任意のフルHD映像を切り出せるOverCapture機能。これにより、構図を気にせずに撮影しておき、後から構図を決定するという撮影が可能になる。単に一部を切り出すのではなく、構図を切り替えながら撮影する事で、多様な映像が実現できる。
従来はAdobeの「Premiere Pro CC」プラグインやデスクトップ用ソフトウェアで編集するしかなかったが、この編集がiOS端末のアプリから利用できるようになった。
ドローン事業から撤退も、「GoProの需要は強い。価格にミスがあった」
アクションカメラの最新モデルである「HERO6 Black」とFusionの2モデルがGoProブースの中心だったが、同社の製品としてはドローンの「Karma」も存在する。しかし、同社は第4四半期決算報告書で、ドローン事業からの撤退を発表した。
これがCESの期間と重なっていたため、会場で行なわれたプレスミーティングにおいて、CEOのNick Woodman氏が、ドローン事業撤退と、GoProビジネスの現状について語った。
撤退に伴い、全世界で1,254名の従業員を1,000名以下に削減する事も発表されているが、Woodman氏のコメント自体は前向きなものが中心。「Karmaは米国において、2017年に同じ価格帯の製品の中で2番目のマーケットポジションを獲得するなど順調だったが、ドローンビジネス自体の規模が問題だった」という。各国での規制も強く、一般利用者が伸びづらい状況に加え、後発である同社が期待するほどの収益を上げられなかった点が原因になったようだ。
そのため、今後開発や販売を継続するよりも事業を断念することで、既存のGoProビジネスに注力するよう方針転換をしたという。
Woodman氏は、GoProに対する需要はまだ強いと指摘。一方で「価格にミスがあった」と認める。GoProは既存ユーザーが多く、買い替え需要が重要になるが、ここで「値下げされた旧モデルに買い換える」ユーザーに対する値付けを失敗し、買い替えが進まず、第4四半期の売上減に繋がった……というのがWoodman氏の見立てだ。
HERO5 Blackを値下げすると売上は2倍に伸び、HERO5 Sessionを値下げすると3倍に伸びたという。GoProに対する需要が強いため、「値付けが妥当であれば購入される」とWoodman氏は強調する。さらに先週の2日間のみのデータとしつつ、HERO6 Blackを499ドルから100ドル値下げし、399ドルにした。すると、直販サイトでの売り上げは「10倍になった」そうだ。
こうした点を踏まえて、Woodman氏は2018年は新製品の開発に加えて価格も慎重に検討する意向を示した。
今後の商品開発については、Vice President, Hardware EngineeringのSandor Barna氏がHERO6 Blackに搭載した「GP1チップ」の性能をさらに活かすための取り組みを続けていると話し、「近い将来、次世代カメラとして登場するだろう」とコメントした。