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ゼンハイザー「HD 820」いよいよ発売へ。60万円の超弩級ユニバーサルイヤフォンも
2018年7月14日 18:34
国内外から多くのブランドが出展する、国内最大級のイヤフォン&ヘッドフォン体感イベント「ポータブルオーディオフェスティバル2018夏 東京・秋葉原(通称:ポタフェス)」が、7月14日、15日に開催。会場は秋葉原にあるベルサール秋葉原で、入場無料。ここではアユートやゼンハイザーなどのブースをレポートする。
アユート
Astell&Kernの新プレーヤーであり、Cirrus Logicの「CS43198」をデュアルで搭載した「A&norma SR15」を初出展。試聴機も用意され、多くの来場者が音質をチェックしていた。
フラッグシップモデル「A&ulitima SP1000」や、新プレミアムモデル「A&futura SE100」も出展。AK第4世代の全モデルが試せるブースとなっている。
ACTIVOブランドのコーナーでは、公式ブランドアンバサダーとなったバーチャルユーチューバー「電脳少女シロ」を全面に出したブース展開。ベルサール秋葉原1Fの柱巻き広告や、会場内にも電脳少女シロの露出展開を行なっている。彼女がアピールしている、ポータブルオーディオプレーヤー「CT10」も試聴可能だ。
MASTER & DYNAMICからは、スタイリッシュなBluetoothオンイヤーヘッドホン「MW50」をベースとしながら、オンイヤータイプのイヤーパッドと、アラウンドイヤータイプのパッド、2種類が付属する「MW50+」を参考出展。気候や気分にあわせて、オンイヤー/アラウンドイヤーを変更できるようになっている。
新イヤフォンの「HORIZON」が話題のAZLAブースでは、第1弾モデル・AZLAのフィルタを新しいものに変更したほか、ケーブルも刷新。イヤーピースは、HORIZONで装着性の高さを発揮した「SednaEarfit」に変更した「AZLA MKII」を参考出展。製品として今後登場予定で、発売に先駆け、進化したAZLAを試聴できる。
ゼンハイザージャパン
ゼンハイザーブースには、社密閉型ヘッドホンのハイエンドモデル「HD 820」の最終製品版が展示されている。8月上旬発売予定で、価格は未定だが、30万円程度になる見込みだという。
豊富なケーブルを同梱しているのも特徴で、アンバランス、XLRバランス、4.4mm 5極バランスを同梱する予定。
エミライ
エミライのブースでは、Noble Audioから今年の夏に登場予定の新ユニバーサルイヤフォン「EDC Bell」を出展。価格は未定だが、「2万円台を目標に調整中」だという。ロングストロークのダイナミック型ドライバを採用し、小口径ながら、豊かな低域再生が可能なモデルだ。
FiiOの製品では、新ハイレゾプレーヤー「M7」のブラック/シルバーモデルに加え、7月中旬発売のユニバーサルイヤフォン「FH5」(FIO-FH5-S)の量産仕様を公開。「FH5」の価格はオープンプライスで、店頭予想価格は37,800円前後。「FiiOのイヤフォン製品のなかで史上最高の音質を実現する」事をテーマとして開発された製品で、3基のバランスドアーマチュアユニット(BA)と、10mm径のダイナミック型ユニットを組み合わせたハイブリッドタイプのイヤフォンとなる。
初公開の新製品として、Bluetooth接続のヘッドフォンアンプ「BTR3」を参考展示している。Bluetoothでスマートフォンやオーディオプレーヤーとワイヤレス接続でき、コーデックはLDAC、aptX、aptX HD aptX LL、SBC、AACに対応。SoCは「CSR8675」、DACはAKM「AK4376A」を使っている。NFCもサポート。充電などにはUSB Type-Cを使用する。
アルミとガラス素材を採用した高品位な筐体を採用。バッテリ持続時間は約8時間。モックアップであるため試聴はできないが、サイズ感を確認できる。
トップウイングサイバーサウンドグループ
香港AROMAブランドの新ヘッドフォンアンプ「A100」と、新イヤフォン「Musical Box Star」を参考展示している。
A100は、バランス入出力対応のアナログポータブルヘッドフォンアンプ。オペアンプ交換が可能で、ポータブルでは珍しい高電圧=±15V電源での駆動などに対応した「A10」の後継機となる。
A10の特徴を維持しながら、バランス入出力に対応。さらに、入力として3.5mm 3極シングルエンド、2.5mm 4極バランス、出力は3.5mm 3極シングルエンド、2.5mm4極バランス、4.4mm 5極バランスに対応する。
電源部には、超低インピーダンスの特注仕様バッテリを採用。高出力MOSとインダクタ―を用いたスイッチング周波数600kHzの超ローノイズ昇圧回路、2段のCLフィルター、4700μF×2を使った超低インピーダンス電解コンデンサを採用。
信号増幅部には、前段はA10と同様にオペアンプ交換可能な2段の反転増幅回路を、後段のバランス出力部はディスクリート構成になっている。既発売の別電源「PS100」にも対応、併用することで更なる音質向上を実現できるとする。外形寸法は121×69×30mm(ボリュームノブを除く)で、重量は350g。8月初旬の発売を予定し、価格は未定。
「Musical Box Star」は、昨年末AROMAの新しいイヤフォンシリーズとして発表した「Musical Box」シリーズのエントリーモデル。来場者からの反応を反映して製品を開発しつつ、今年秋ごろの発売を予定しているという。
サーモス
サーモスのブースでは、VECLOSブランドのイヤフォン・ヘッドフォンを正式出品。魔法びんの真空技術を使ったオーディオ機器で、イヤフォン4機種と、ヘッドフォン2機種を8月末より発売する。価格はいずれもオープンプライス。
イヤフォンの店頭予想価格は、ハウジングがチタン製の「EPT-700」が49,000円前後、「EPT-500」が38,000円前後。ステンレス製の「EPS-700」が46,000円前後、「EPS-500」が35,000円前後。
ヘッドフォンは、チタン使用の「HPT-700」が50,000円前後、ステンレスの「HPS-500」が39,000円前後。
ポタフェスには6機種を出展、予約販売も受け付けている。イヤフォン4機種については7月14日から数量限定の先行販売も実施予定。
いずれも真空構造のエンクロージャを採用。イヤフォンはハウジングの素材が異なり、チタンのEPT-700/500は「自然で繊細なサウンド」、ステンレスのEPS-700/500は「華やかでアタック感がある」音が特徴。重量はチタンモデルが各4g。ステンレスモデルが各4.9g。
ドライバはすべてバランスド・アーマチュア(BA)タイプで、EPT-700とEPS-700は2基、EPT-500とEPS-500は1基搭載する。再生周波数帯域は10Hz~16kHz、最大入力は50mW、インピーダンスは70Ω(1kHz)で共通。
ヘッドフォンには、新開発の40mm径のダイナミック型ドライバを搭載。どちらも真空エンクロージャで、ハウジングは密閉型。素材はHPT-700がチタン、HPS-500がステンレス。HPT-700にはアルミバッフルを備え、「サウンドの輪郭を高める」とする。HPS-500のバッフルは樹脂製。
NUARLとBLUE EVER BLUE
NUARLブースでは、先月末に発表されたばかりのQualcomm製、最新Bluetooth Audio SoC「QCC3026」を搭載した、左右完全分離型ワイヤレスイヤフォンの開発テスト機を世界初公開。途切れにくく、バッテリ消費も抑えられ、長時間使用できる製品になる見込みだ。
さらに、高音質化技術の「HDSS」を採用した最新イヤホンの展示試聴も実施。7月20日発売予定の「NX01A2 HDSS Hi-res Stereo Earphone」は、既発売「NX01」をベースとしながら、筐体の仕上げとイヤーピースを新しいものに変更、さらに100時間のエージングを済ませてから販売するという上位機。価格は12,960円の予定。7月20日発売のNUARL独自の高密度低反発イヤーピース「Magic Ear」の試用もできる。
隣にブースを展開するBLUE EVER BLUEも、HDSS搭載新イヤフォン「Model 868EX」を出展。7月20日発売で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は4,500円前後。
「Model 868」からドライバを変更し、ETLモジュールもハイパフォーマンス化。ドライバのサイズは従来と同じ10mm径だが、868の「豊かな低音域や音場の広さ」を踏襲しつつ、高音域の伸びや原音再現性を改善。音の解像感やボーカルの聴きやすさの向上も図っている。
オウルテック
オウルテックのブースでは、クラウドファンディングにて商品化予定の、 e☆イヤホン運営のタイムマシンとのコラボ商品を初公開。
e☆イヤホンのクリニック事業において、修理依頼理由の多くが“ケーブルの断線”だという。また、オウルテックは、累計出荷数200万本を超えるロングセラー製品「超タフストロング ケーブル」を手がけ、ケーブルの根本を断線しにくくするノウハウを持っている事から、双方の技術を活用したコラボ商品を開発中。
リーズナブルな価格帯を目指しているというLightningイヤフォンや、Bluetoothイヤフォンなど、様々なタイプを展示している。
モダニティ
モダニティブースでは、多くの参考出品を行なっている。Dearearブランドの新製品は今秋発売予定のBluetoothイヤフォン「Joyous II」と「Buoyant II」。どちらも現行モデルから進化した後継機種で、価格は「Joyous II」が5,980円、「Buoyant II」が8,980円を予定。
「Joyous II」は、現行機よりも1,000円低価格になる。「Buoyant II」は8,980円ながら、Bluetoothとアクティブノイズキャンセリング機能に対応し、IPX7の防水性も備えているのが特徴。コーデックもaptX、AACをサポートする。
EOZの「AIR」は、同ブランド初の左右完全分離型イヤフォン。秋発売予定で、価格は17,500円。モダンなデザインと、イヤーハンガーを採用した安定した装着感が特徴。
Sudioの「Niva」も、同ブランド初の左右完全分離型。コンパクトかつファッション性を兼ね備えたデザインが特徴。5色のカラーバリエーションを展開、カモフラージュ柄のモデルも用意している。2018年春~夏の発売で、12,800円。
SOULブランドの「X-Shock」も左右完全分離型イヤフォンだが、特徴としてイヤフォンの収納・充電ケースが単体のモバイルバッテリとしても動作。スマホの充電などにも活用できる。今春発売で、価格は12,800円、
Sudioの「KLAR」は、Sudio初のアクティブノイズキャンセリング機能付きヘッドフォン。40mm径のダイナミック型ドライバを搭載。エレガントなデザインが特徴で、30時間の連続再生が可能。ブラック、ホワイトの2色を予定し、今夏発売予定。価格は17,800円。
Cornes Technologies
Cornes Technologiesブースでは、イヤフォン・ヘッドフォン測定サービスのトライアルを実施。専用機材を使い、イヤフォン・ヘッドフォンの特性をその場で測定(イヤフォンはカナル型のみ対応)。普段使っている製品の音を“見える化”できる。「これから購入する参考にしてみたり、自身の好みのものを探すのにご活用いただける」という。
企業向けには、Cornes Technologiesの設備を利用した測定サービスも紹介。業界標準のオーディオアナライザ、Audio Precisionの最新機種と、無響室による高精度の測定や、測定環境の貸出なども実施している。
なお、同ブースで測定装置に取り付けられているヘッドフォンは、Trigence Semiconductorが開発した、ハイレゾ対応のフルデジタルドライバ「DN3013」を搭載したヘッドフォン。「DN3013」はヘッドフォンやワイヤレススピーカー、テレビ用の小型サウンドバー、パソコン用のスピーカーなどでの利用を想定した新しいドライバで、7月4日からメーカー向けに発売されている。
DN30x2シリーズと機能互換性を保ちながら、新開発の「Virtual Coil」テクノロジーを用いる事で、ダイナミックレンジを最大6dB改善、114dBを実現した。1.8V電源から最大483mW、5.0V電源から最大12.5Wを出力する。
メーカーが製品を開発する際には、Windowsで動作する専用GUIを使い、様々なDSP機能を容易に操作可能。192kHz/24bitのハイレゾ入力に対応し、DSPは最大32bitで処理する。
VISION EARS
カスタムイヤフォンを手がける独VISION EARS、初のユニバーサルイヤフォンとして展示されたのが「ERLKoNIG」(エルケーニッヒ)だ。価格は税込60万円と超弩級。7月14日からe☆イヤホンで受注を開始している。
BA×13ドライバで、構成はLow×4、Mid×4、High×4、Super tweeter×1の5ウェイ。フェイスプレートが着脱でき、外すと中に回転式スイッチを搭載。これを調整する事で、4つの音が楽しめるという。
ケーブルメーカーEFFECT AUDIOと協力した、OCC純銀線ケーブルを採用。木製の大型ケースもセットになっている。
i-dio HQの“ハイレゾ級”サウンドも楽しめる
VHF-Low帯を利用した放送サービス「i-dio」(アイディオ)を紹介するブースも出展。地上波放送初となる“ハイレゾ級”音声による放送「i-dio HQ」を、7月23日より関東・甲信越ブロックで開始する予定で、その開始に先立ち、ブースで音質が先行体験できる。
i-dio HQでは、高域を低域から生成するという「SBR技術」を採用。サンプリング周波数96kHzのHE-AACフォーマットで「ハイレゾに迫る地上波最高音質の放送」としている。詳しい番組内容は放送開始日までに案内される予定。
さらに、i-dio HQに対応した「kiwi player」のデモも実施している。