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リアルな質感も再現する三菱「Real Texture」。コンパクトAIや青空LEDも

10月16日から19日まで、CPS(Cyber Physical System)とIoTの展示会「CEATEC JAPAN 2018」が幕張メッセで開催される。ここでは質感表現技術「Real Texture」など、三菱電機グループの先端技術やAIを活かした体験型展示を紹介する。

三菱電機の質感表現技術「Real Texture」

三菱電機のブース奥で展示していたのは、CGで描かれた物体の光沢や陰影など、物の質感をリアルに再現する技術「Real Texture」。液晶テレビに表示された近未来的なクルマの映像の前に来場者が立ち、左右に回り込むように動くと、それにあわせてクルマの映像も視点が左右に動き、クルマの見える範囲が変化する。当たっている光源の角度が微妙に変わることで、金属やガラスのきらめき方が変わり、車体のリアルな質感を目で楽しめる。今後、時計や宝飾品の展示などへの応用を見込んでいる。

CGで描かれたクルマの映像。人が動いて見る角度を変えると、金属やガラスのきらめき方が変化。車体のリアルな質感が伝わる
「Real Texture」の概要

テレビの上のセンサーが人の左右の動きを読み取り、奥にあるPCでリアルタイム演算してCG描写を変化させているという。展示に使われている2台のテレビは、三菱電機が10月18日に発売する新4K衛星放送チューナー内蔵の58型液晶テレビ。

三菱電機の新しい58型液晶テレビを展示に使っていた。新4K衛星放送チューナを内蔵している

Society 5.0(超スマート社会)の実現に向け、三菱電機は「Maisart」と名付けた独自のAI技術を開発。会場では、処理を軽量化した独自の「コンパクトな人工知能」をFPGAに実装し、推論処理の演算時間を従来のディープラーニングの1/10に短縮したハードウェアAIの基板を展示している。FPGAを用いた小型基板とすることで、ネットワークカメラやHEMSなど、AIの適用分野をさらに拡大できるという。Maisartを活用した様々な取り組みやソリューションも紹介している。

「コンパクトな人工知能」をFPGAに実装したハードウェアAIの基板

円形の迷路上のボールをゴールに誘導する「モデルベースAI」の体験展示では、人がジョイスティックで操作した時と、AIが自身で学習した制御方法によってゴールに誘導する早さを競う。

円形の迷路上のボールをゴールに誘導させる、モデルベースAIの体験展示
横のジョイスティックで操作した時と、AIがゴールに誘導する時の早さを競う

モデルベースAIでは、目標を与えるだけで機器が試行錯誤を繰り返しながら制御対象機器モデルを構築し、制御方法を自動学習するため、従来必要だった制御プログラム開発が不要になるのが利点。

モデルベースAIの概要

室内に窓を取り付けたかのような、自然な青空の光を再現するライティング技術を展示。窓のない部屋や地下、オフィスや公共施設などに導入し、快適な空間の実現を目指す。

自然な青空の光を再現するライティング技術の展示

昼間の青空は、太陽光が地球の大気を構成している小さな粒子に当たることで起きる、光の散乱現象(レイリー散乱)が関わってできている。三菱電機は、このレイリー散乱を発生させる光散乱体をパネル内に組み込み、側面から白色LEDの光を当てたときの散乱光を青空として表現する、エッジライト方式の薄型青空パネルを開発した。

太陽光と大気と空の色の関係
自然界の光の散乱現象を応用した光散乱体を組み込んだ薄型パネルを開発

LED光源の色や発光量を、時間帯ごとに変化させることも可能。橙色のLEDを搭載しており、夕方は照明を自然な夕焼け空に変えることもできる。

夕焼け空の再現もできる

青空や夕焼け空らしい均一な光を得るには、LED光源と光散乱体の距離を離す必要がある反面、厚みが増えるという課題があった。このパネルでは、独自の薄型構造によって厚さを100mm以下に抑え、設置スペースを問わずさまざまな場所に設置可能にしている

窓のない部屋や地下、オフィスや公共施設などに導入し、快適な空間の実現を目指す