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放送同時の4Kネット配信環境整備へ。総務省がローカル局などに事業企画公募

総務省は、「ブロードバンドを活用した地域放送サービスの展開方策」に基づき、ローカルテレビ局を含む放送事業者が、インターネット経由でテレビ向け4K同時配信を行なう事業企画の公募を実施する。公募の請負主体は三菱総合研究所。応募締め切りは11月20日17時。

NHK技研公開で展示された、放送と同時の4K映像配信デモ

海外では、動画配信サービス事業者が視聴データの分析結果をコンテンツ制作に活用したり、放送事業者が視聴データを用いたターゲティング広告の試みが始まっている。また、NHKや一部の民放では、放送と同じ番組を4Kなどの高画質でスマートテレビに同時配信するハイブリッドキャストの取り組みが進められている。

2017年5月30日に施行された「個人情報の保護に関する法律」の改正を踏まえ、総務省は同年4月に「放送受信者等の個人情報保護に関するガイドライン」を策定。分野横断的な個人情報保護委員会のガイドラインの規定に合わせるとともに、放送分野に特有の事情を踏まえた規律について、視聴履歴を取得する目的の制限(課金・統計目的に限定する)の撤廃や、要配慮個人情報の推知の禁止、個人情報の取扱いの同意・不同意に関わらず放送が受信できる環境の確保などを規定した。

このガイドラインを踏まえ、2017年8月に放送セキュリティセンター(Secure Broadcasting Authorization and Research Center/SARC)が業界の自主ルール「放送分野の個人情報保護に関する認定団体指針」が策定された。

2018年7月の情報通信審議会 放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会での最終報告書案では、テレビ向け4K同時配信に関し、人材や経営面で制約の多いローカル局が独自に取り組むことは困難との課題が示された。さらに、視聴データ利活用に関しては、視聴データを地域経済や地域社会に利用・還元できる仕組みや複数の放送事業者が視聴データを円滑に共有するためのルール、視聴者の安全安心を確保するためのルールを検討すべきとの課題が示された。

こうした課題を踏まえ、ローカル局を含む多くの放送事業者がテレビ向け4K同時配信や視聴データ利活用に取り組みやすい環境を構築するために必要となる技術、運用面での課題抽出、効率的かつ有効な方策案について、取りまとめることを目指す。