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ヤマハ、“ライブの真空パック技術”を実際のライブで活用。バーチャル本人とセッション

ヤマハが技術開発を進めている、アーティストの演奏を保存し再現するシステム「Real Sound Viewing」が、12月24日に千葉県の市川市文化会館で行なわれた「H ZETTRIO」(エイチ・ゼットリオ)のライブで使用され、“アーティストが自分自身とセッションする”という音楽表現が披露された。実際のライブでこのシステムが利用されたのは初めて。

「Real Sound Viewing」が、12月24日に千葉県の市川市文化会館で行なわれたライブで使用され、アーティストと“バーチャル本人”とのセッションが実現
ライブでの使用の様子(5分16秒)※H ZETT M / H ZETTRIO YouTube公式チャンネルより
「H ZETTRIO」

アーティストのライブでは、チケットが取れなかったり、遠方で観に行けなかったり、アーティストが解散してしまった、亡くなってしまった、といった「観たくても観られないライブ」が存在する。ヤマハでは、CDやDVDでの鑑賞では補いきれない臨場感が存在するとし、「ライブの真空パック」をコンセプトに「Real Sound Viewing」を開発している。

システムを構成するのは、「音のデジタル処理技術」や「電気信号を振動に変換してアコースティック楽器と同じ発音方式で響かせる技術」といった、同社が長年培ってきた技術と、スクリーンに映像を映し出し演奏する姿を再現する技術。

『Real Sound Viewing』技術紹介(44秒)

これらを使い、アーティストが演奏する姿をリアルな映像で再現し、臨場感あるアコースティック楽器の「生の音」で演奏音を再現。「将来的には、生楽器を使ったライブ配信や、往年のアーティストの演奏をいつでも生の楽器音で楽しめるようにするといった用途を想定して、現在、開発を進めている」という。

アコースティック楽器の「生の音」で演奏音を再現

今回のライブでは、事前に記録した「H ZETTRIO」メンバーのH ZETT KOU氏のドラムと、H ZETT NIRE氏のウッドベースの演奏をシステムで再現。さらに、アーティスト本人がその演奏とセッションすることで、「アーティストがバーチャル本人とセッションする」というクリスマスサプライズ企画が実現した。

アコースティックのドラムやコントラバスの自動演奏は珍しく、また約2,000人の観衆が視聴する中で、このシステムを使用することは初めてで、ヤマハでは「観たくても観られないライブをより多くの方に届けるための新たな一歩として、大きな成果になった」としている。