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キヤノン業務用ディスプレイ、4K/2K映像のマルチ画面表示など機能拡充

キヤノンは、業務用4K液晶ディスプレイの各種機能・性能を向上する新ファームウェアを6月上旬より提供開始する。4Kと2Kの解像度の異なる映像信号を1台のディスプレイに複数画面で分割表示したり、HDR/SDRの比較表示機能を拡充するなど、4K/HDRの映像制作におけるワークフローの効率化を実現する。

24型/4Kの「DP-V2421」(’18年発売)

対象機種は、DP-V1710/V1711/V2410/V2411/V2420/V2421の6製品。一部のアップデート内容は、DP-V1711/V2411/V2421のみが対象となる。アップデートはいずれも無償。主な内容は以下の通り。

  • マルチ画面表示機能の拡充
  • HDR/SDR比較表示機能の拡充
  • ビデオペイロードIDに対応した画質設定の自動切り替え
  • HDRモニタリングアシスト機能の拡充
  • LAN接続で複数台の同期設定など、サポート機能の追加

米国ラスベガスで開幕する「NAB Show 2019」において、この新ファームウェアを適用したディスプレイのデモを実施予定。

マルチ画面表示機能の拡充

DP-V1711/V2411/V2421は、4K(12G/6G-SDI)と2K(3G/HD-SDI)の異なる映像信号を、1台のディスプレイで2画面/4画面表示できるようになる。入力信号の解像度とフレームレートの組み合わせの条件を満たす場合に、4K/2Kの同時表示が可能となる。また、各映像のオーディオレベルメーターを同時に表示する機能も追加。

従来のように波形モニターとベクトルスコープを切り替えて単独で表示するだけでなく、専用計測機器のように画面内で同時に表示できる。マルチ画面表示機能の拡充により、1台の4Kディスプレイで映像の表示や確認が可能となり、「4K映像と2K映像が混在する撮影現場や編集現場において、システム構築したいユーザーに適する」という。

HDR/SDR比較表示機能の拡充

DP-V1711/V2411/V2421に、従来のような入力信号の波形モニター表示に加えて、HDR/SDR変換後や、ユーザーLUTによるガンマ変換、色域変換後の波形モニターを同時表示する機能を追加。これにより、HDRとSDRの各波形の比較確認が可能になる。

また、HDR/SDR比較表示時に、従来はHDR映像側のみ対応していた輝度調整、色温度変更、ゲイン調整をSDR映像側で行なえるようになる。

ビデオペイロードIDに対応した画質設定の自動切り替え

SDIに付与される「ペイロードID」に定義された「PQ/HLG/SDR」、「Bit Depth(Full Range)」や「ICtCp」の識別信号をもとに、ディスプレイ側での画質設定の自動切り替えに対応。解像度や輝度、色域、ガンマなど設定の組み合わせが混在する中でも、入力信号に応じて画質設定を自動で切り換えられるようになり、作業負荷を軽減し、設定変更ミスの低減にも寄与するという。

UHD/PQやUHD/HLGなどのペイロードIDごとに、ピクチャーモードを設定できる(画像の例では、ユーザー設定の2020 PQや2020 HLGなど)

HDRモニタリングアシスト機能の拡充

従来から対応しているフレームごとの最大/平均輝度値の表示に加え、最大輝度内の輝度分布を濃淡で表現した「輝度グラフ」を追加。

HDR領域とSDR領域の輝度比率を示す「HDR/SDR比率グラフ」と、入力映像の輝度信号のヒストグラムの表示も追加する。

また、取得したフレーム輝度情報(最大輝度値、平均輝度値、タイムコードなど)を、ディスプレイからUSBメモリへ書き出せるようになる。

フォルスカラー表示時に、ユーザーによるHDR領域とSDR領域の輝度境界の設定や、SDR領域を異なる2つの色で分ける機能も追加する。

サポート機能の追加など

ディスプレイの複数台導入時や調整時など、運用時のサポート機能も拡充する。

複数のディスプレイを、スイッチングハブなどを使って有線LANで接続し、一括で画質設定を反映させたり、チャンネルを切り替えたりできる。

異なる機種間の各種設定のエクスポート/インポート機能を追加。LAN経由で設定をエクスポート、インポートすることもできる。機種は型番が異なるものを混在させることも可能。

また、入力信号のエラー表示などを画面表示で警告したり、エラー履歴を残して表示する機能も追加する。

新ファームウェアによる、上記以外の機能追加と性能向上の内容は以下の通り。

  • HLGシステムガンマ コントラスト値に応じた自動設定を追加
  • 波形モニタ 表示サイズ(大/中/小)を追加
  • ベクトルスコープ 表示サイズ(大/中/小)とターゲット(75+100%)を追加
  • OSD 明るさ調整機能を追加 (※DP-V2410のみ非対応)
  • 音声レベルメーター 明るさ調整機能を追加
  • バナー表示 表示方法の設定を追加
  • ズーム表示時の拡大表示形式を追加
  • スクリーンキャプチャー HDR/SDR用ファイル作成機能の追加
  • アクセスポイント方式によるWi-Fi接続対応
  • Wi-Fi/Webリモート 機能・操作性向上(外部機器からLUT入力など)
  • アナモフィック表示 ×1.8設定を追加
  • インモニターディスプレイ TSL ver.5.0のUnicode(日本語/中国語など)について一部表示対応
  • 設定初期値変更(F釦初期値、User4モード「DCI PQ D65」、プリセット名称など)
  • その他、操作性及び表示改善