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音楽ライブが映像効果で新体験に!? 5Gやウェアラブル活用の「TECH LIVE」

NTTぷららは、次世代のライブイベント演出「TECH LIVE」実現に向けたトライアルを10月17日に実施。アイドルグループ「ZOC」が行なった音楽ライブにおいて、現実と映像が一体となった新たな楽しみ方を提案した。

TECH LIVEは、ライブ会場やライブビューイング会場などで、最新映像技術によるリアルとバーチャルを融合した形で提供するというイベント演出。空間コンピューティング技術を利用した、メガネ型のウェアラブル端末「Magic Leap One」や、タブレットなどのモバイル端末を通してライブを見ると、幻想的な空間が立体的に表現。来場客も参加できる映像パフォーマンスが楽しめる。

今後開始される次世代通信5Gを活用することで、MR(複合現実)などの大容量映像を多数デバイスにリアルタイム配信できることから、ライブイベント演出の規模拡大も実現できるという。

タブレットやMRメガネで観るとアーティストを特別映像が演出

今回のトライアルは、10月17日に女性アイドルグループZOCがタワーレコード渋谷店で行なったライブで実施。ZOCは、シンガーソングライターの大森靖子を中心としたグループで、9月9日にはZepp Tokyoで初のワンマンライブを開催した。なお、今回のTECH LIVEは大森靖子を除く5名で行なわれた。

ライブ会場はタワーレコード渋谷店のB1
アイドルグループZOCのライブで実施

ライブイベントに参加した約200人のファンの中から、抽選で3名のみ特別にウェアラブル端末「Magic Leap One」を着用。アーティストと映像を組み合わせたバーチャル映像演出をメガネ越しに楽しんだ。

Magic Leap One着用での体験も

さらに、ライブ会場から離れたスペース(新宿WARP SHINJUKU)へのライブビューイングも実施。照明演出やバーチャル映像演出を再現した、立体感と臨場感のある映像を別会場でも体験できる内容となっていた。

取材陣にはタブレットが手渡され、タブレットのカメラをステージに向けると、現実には無い背景映像やエフェクトが表示。ZOCのメンバーがそれらの映像をバックにパフォーマンスしているような映像を体験した。

タブレットをステージに向けると、光やビル群の映像が出現
ステージ前方にはARマーカーの役割をする画像が用意されていた

エフェクトの合成だけでなく、マルチウィンドウ表示も可能。会場の様々なアングルから撮影された映像を、1つのタブレットで同時に表示して楽しめた。

マルチウィンドウ画面

さらに、参加型の企画として、音楽リズムゲームのような要素も導入。音楽に合わせて画面に流れてくる光の粒のようなエフェクトをタップすると、その数がスコアとして画内に表示される。前述のMagic Leap One装着者は、コントローラーを使って、空中に飛んでくるエフェクトをタッチするような感覚で楽しんでいた。

音楽/映像に合わせてタブレット画面をタップするとスコアが表示

Magic Leap Oneを体験した3名のファンは、「すごかった」、「映画が始まる時みたい」と今回の演出を楽しんだ様子。「歌詞やメンバーのセリフも映像で表示されたら面白いのでは」との意見もあった。

NTTぷららのコンテンツ事業部 サービス戦略部長 岡田重樹氏は、同社の取り組みについて「VRを使ったものはこれまでも実施してきたが、MRは初めて。7月にNTTドコモグループに加わり、(ドコモが資本/業務提携した)Magic Leapの製品を使った体験も提供したいという考えがあった」と説明。

今回は、ステージの天井に設置されたセンサーでZOCメンバーの位置を把握して、ステージ全体に映像を重ねるという形を採用した。メンバーごとに異なるエフェクトを重ねるような処理はしていないが、注目ポイントの一つは、画面をタップして参加できるインタラクティブ性だという。

使用されたMRグラスのMagic Leap Oneは会場内のWi-Fiを使って通信しており、今回の体験は3名のみだったが、5G通信が利用可能になれば、より多くの人が同時に接続して楽しめるという。ライブビューイングなど別会場にも配信でき、1つのライブをより多くの人が、様々な形で同時に楽しめるようになることを目指す。

音楽ライブならではの課題としては、ステージが暗転したときなど、照明ON/OFFが切り替わった際の映像の処理が難しいという点も挙げた。今後も、5Gサービスの開始に向けて、ウェアラブル端末などの進化にも合わせながらトライアルを重ねる予定としている。