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JDI、精細度265ppiで明るさ3,000cdのマイクロLEDディスプレイ。12.3型の透明液晶も

ジャパンディスプレイ(JDI)は28日、精細度265ppiで明るさ3,000cd/m2の1.6型マイクロLEDディスプレイと、透過率87%を実現した12.3型の透明液晶ディスプレイを発表した。前者は車載など、後者はサイネージなどへの展開を見込む。透明液晶ディスプレイは4型('17年2月発表の改良版)を、'20年度の量産開始を目指す。

1.6型マイクロディスプレイ(プロトタイプ)

なお、1.6型マイクロLEDディスプレイと、12.3型の透明液晶ディスプレイのプロトタイプは、12月4日から幕張メッセで開催する技術展「ファインテック ジャパン2019」に出展する。

高輝度・広視野角の1.6型マイクロLEDディスプレイ

JDIのコア技術とするディスプレイ電気回路技術「LTPSバックプレーン」を採用し、27万個の微細なRGB LEDチップを実装した、1.6型のマイクロLEDディスプレイ。LEDチップは、米国のLEDベンチャー「glo」からの調達品で、チップサイズは「数十ミクロン」(説明員)とする。

178度以上の広視野角

解像度は300×300で、精細度は265ppi。全白表示時の輝度は3,000cd/m2を実現し、178度以上の広視野角を実現した。「LTPSバックプレーン上としては、最高クラスの精細度と輝度を誇る」(同)という。

全白表示時には3,000cd

同社R&D本部の山田一幸氏は「マイクロLEDディスプレイは自発光であり、液晶方式のようなバックライトは不要。各種フィルターや導光板なども無く、光効率も極めて高い。また無機材料であるため、OLEDのように材料が環境に左右されにくく、材料封止も必要無い」と、マイクロLEDディスプレイのメリットを説明。

各方式の違い
マイクロLEDディスプレイの特徴
ディスプレイの拡大写真。数十ミクロンサイズのRGB LEDを27万個実装。「どのようにチップを配置しているかは明かせない」という

技術的には、1.6型以上のサイズも可能で「量産時には、10型程度を想定している。タイル上に並べれば中型、それ以上のサイズを提供することもできるだろう。先行する他社のような高級・超大型サイズよりも、まずはできるだけ現実的な価格・サイズでの展開を狙いたい」とコメント。

用途に関しては「太陽光下でもハッキリ表示でき、周囲どこからでも同じように見えるデバイスはなかなか無い。1つの提案としては車載市場が候補に挙がるが、これまでとは違う新しいマーケットを創造することもできるだろう」と話す。

また具体的な量産時期については「未定」としつつ、「マイクロLEDディスプレイはまだ開発段階にあり、量産には幾つかのハードルがある。チップそのものの発光性能はもちろんだが、大量の微細なチップを、如何に効率的、かつ経済的に実装するかが最大のネック。技術開発を行ないつつ、開発品の最適な市場やアプリケーションを鑑みながら、適切な時期に次のステージに進めたい」という。

車載などの用途を想定する

透過率87%を実現した12.3型の透明液晶ディスプレイ

'17年2月に発表した透明液晶ディスプレイ(4型)をベースに、大型化と性能向上を図った新型モデル。具体的には、中心部の輝度やコントラスト比がアップしたことに加え、直視型カラーディスプレイとしては世界トップクラスの透過率87%(非表示時)を実現した。

12.3型透明液晶ディスプレイのプロトタイプ

解像度は1,440×540で、精細度は125ppi。透過率は87%。中心輝度は150cd/m2で、コントラスト比は30:1。色数は4,096。

開発品について、同社R&D本部の奥山氏は「透過率87%は、一般的なガラス(92~93%)と比べてもほぼ同等レベルに達した。このディスプレイであれば、まるで普通のガラスと同じように背景にある実体物を見ることができる。表裏関係なく、両側から表示された情報を見ることができるのも特徴」という。

背景の置物が透けて見える
手をかざした場合
裏側

4型の透明液晶ディスプレイと同様、駆動回路や電極、液晶層を2枚のガラス基板で挟み込んだ構造。ガラスを通じて入ってきたLED光を散乱液晶で取り出し、R、G、Bを高速表示(180Hz)することで表示映像を作りだす。

新しい12.3型では輝度とコントラストを優先させるために色数を減らしているが「誤差拡散技術を併用しているので、色数不足は気にならないはず」と説明する。

表示の仕組み。この方式はJDIが開発したものという
直視型透明ディスプレイの比較

12.3型の開発で得た知見や技術を活かした4型('17年改良版)は「最適なアプリケーションが見つかった」とし、'20年度の量産開始を予定。国内の既存工場での製造を計画しているが、具体的な用途や月産数などの詳細は「顧客との関係もあり、公表できない」とのこと。

17年モデルとの変更点