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ソニーが電気自動車を披露、360度オーディオが聴ける「VISION-S」。普及価格8Kテレビも

ソニーは、「CES 2020」の開幕前プレスカンファレンスを米国時間の6日に開催。この中で、8K液晶テレビや4K有機ELテレビの新機種を発表したほか、360 Reality Audio(360RA)や、5G活用事例などについても紹介。さらに車載関連のトピックとして、33個のセンサーを積んだコンセプトカー「VISION-S」を吉田憲一郎社長兼CEOが披露した。

コンセプトカー「VISION-S」を紹介した吉田憲一郎社長兼CEO

今回のCESでは、ソニーのアイデンティティとして定義している「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」としての進化について説明。ソニーの展開する様々な事業から、主に3つの価値をベースにした展示を行なう。

1つ目は「感動体験で人の心を豊かにする」というもので、8K/4Kテレビや、360RAによるリアリティの高い視聴体験などを提供。2つ目は「クリエイターの夢の実現を支える」というAR/VRの拡大を踏まえた映像制作や、5Gの活用事例など。3つ目は「世の中に安心・安全を提供する」というセンシング技術で、自動運転時代への貢献などについて説明した。

吉田憲一郎社長兼CEO

「クリエイターの意図をそのまま伝える」という8Kテレビは、既存モデル「Z9Gシリーズ」の下位に相当する液晶の「Z8H」を発表。価格や発売時期は未定だが、より手ごろな普及価格帯の8Kテレビとして展開する。上位機Z9Gとの大きな違いは、バックライトがBacklight Master Drive(BMD)ではないこと。直下型LEDの部分駆動ではあるが、BMDの緻密な制御とは異なる。

BRAVIA Z8Hシリーズ

一方で新機能も備えており、大きな特徴の一つが“ベゼル部分から音が出る”新設計の「フレーム トゥイーター」。金属のベゼル部分にアクチュエーターを備え、画面から音が鳴っているようなリアルなサウンドを実現するという。

ソニー8K液晶テレビで最小サイズとなる75型のZ8H

4K有機ELは、A8Gの後継モデル「A9H」を発表。動きの速い映像をくっきり映す「X-Motion Clarity」を有機ELテレビに初搭載した。Z8HとA8Hの両シリーズとも、映像エンジンはX1 Ultimateを採用している。

4K有機ELテレビの「A9H」

'19年12月に25周年を迎えたPlayStationに関しては、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のJim Ryan社長兼CEOが説明。PS4はネットワーク機能の強化や4K/HDR対応など進化を続け、本体の出荷が1億600万台、PS4ゲームソフトは11億5,000万本に達した。PS Plusの加入者数は3,880万。

PS4のアップデートの歴史

'20年の年末商戦期に登場する次世代機PS5の概要も改めて説明。既報の通り、PS5のロゴマークを披露した。

PS5のロゴマークを披露したSIEのJim Ryan社長兼CEO

ヘッドフォンやスピーカーで、リスナーの周囲360度を包むようなサラウンドを実現する360RAについては、前回のCESでもプロトタイプが展示されていた。今回のCESは、より製品版に近い正式なローンチと位置付けており、サウンドバーやワイヤレススピーカーを披露した。

360 Reality Audio
視聴者の視線に追従して立体映像を表示できる「Eye-sensing Light Field Display」も

“クリエイターとユーザーを近づける”コンセプトを打ち出しているソニーは、クリエイターのゲストとして、米NBC SportsのDavid Mazza CTOを招いた。NBC Sportsは、5G通信を用いたスポーツのライブ中継をソニーと共同で実証実験しており、5Gを用いて高画質なライブ映像をワイヤレスで伝送可能になることに、放送局側としても大きな期待を示した。

米NBC SportsのDavid Mazza CTO

モバイルの次はモビリティ。360度オーディオ対応のコンセプトカー登場

吉田社長は、5Gを中心とした「モバイル」の次に来る“メガトレンド”は「モビリティ」であるとし、同社イメージセンサーなどを中心とした車載技術/機器を紹介。

ソニーの車載向けCMOSセンサー

「Safety Ccoon Concept」として、高画質/高感度なCMOSセンサーやLiDAR(レーザー画像検出/測距)などを用いた安全性の追求に向けた開発の現状を説明。さらに、イメージング/センシング技術にとどまらず、「車を新たなエンターテインメントスペースとして再定義する」として、ソニーのビジョンを形にしたコンセプトカー「VISION-S」を披露した。

今回披露されたVISION-Sのプロトタイプには、33個のセンサーを活用した様々な機能を搭載。安全性の確保だけでなく、エンターテインメント機能として、ソニー独自の没入型360度オーディオである「360 Reality Audio」を車室内で実現。クラウドと常時接続することによる機能のアップデートにも対応する。

360RAに対応

今回のプロトタイプ開発には、Magna Steyr(マグナ シュタイヤー)や、BOSCH、NVIDIA、クアルコムなど様々なパートナーと協力。今後もVISION-Sにおいて安全性やエンターテインメント、拡張性など幅広い面で進化を続ける意向を示した。

様々なパートナーと協力して開発