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4K8K機器が476万台突破。電波漏洩対策助成金が利用しやすく

A-PAB新理事長 相子宏之氏

放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数について発表。6月末の集計では36万5,000台で月別では'19年11月、'19年12月に次ぐ3番目の増加数となった。累計では476万7,000台となり、7月末までの目標数としている500万台達成が見込める結果となった。

6月分の内訳は、新チューナー内蔵テレビが28万5,000台、外付け新チューナーが2,000台、新チューナー内蔵録画機が3万3,000台、CATVの新チューナー内蔵STBが4万5,000台。

新型コロナウイルスの影響で、東京オリンピック・パラリンピックが延期、4K8K放送が活かされるスポーツ中継が行なわれなかった期間があったこともあり、普及状況については減少することを予想していたという。一方で、感染対策のステイホームにおけるテレビの視聴時間の増加などにより買い換え需要が顕在化。6月末までの視聴可能機器台数は約477万台となり、「目標数の累計500万台が見えてきた」としている。

6月は前年同月比で176%、四半期で見ても前年同期比186%と順調に増加。また、50型以上テレビの台数が前年同期比142%と増加。テレビ全体に占める50型以上の比率が増えたこともあるが、販売店での聞き取りでは、10万円の特別定額給付金が大型テレビへの買い換えを促進したという話題があがったという。

4K8K放送サービスやその関連事項についての認知・理解度を測る市場調査を5月に実施、その結果も発表された。受信機器の保有が増加する一方で、認知・理解度は4K8K放送開始直後以降減少傾向となっており、魅力の訴求がまだ足りていない状況であるとした。

認知・理解を示す解答はすべて前回(’19年7月実施)より減少

4K8Kテレビ保有者に対する満足度の調査では、8割強が満足と解答。画質のきれいさや、4K8K番組を見られることを満足な点として挙がる一方で、コンテンツの少なさや価格に対する不満点も挙げられている。

非所有者のうち、「購入する予定である」「いずれ購入する予定である」と解答した人は3割を超え、'19年7月の調査より微増したが、購入予定の理由では、「これからは4K8Kの時代だから」「対応テレビの価格が下がってきたから」が増加し、「4K8K映像が見たいから」が減少。A-PABでは、魅力の訴求や認知・理解度向上に向け、さらなる尽力が必要だという要素がみられたとしている。

今年度における電波漏洩対策事業の助成金についても説明。この助成金は、ブースター、分配器、壁面端子など、宅内で電波が外部に漏れるタイプの機器を使用していた場合、Wi-Fi等に妨害を与えたり、電子レンジ等の電波が入り込んで新4K8K衛星放送の受信に影響を与える際に、それらを電波の漏れない(3.2GHz対応)機器に交換する費用の一部に国の助成金を活用できる制度。

今年度からは、従来印鑑が必要だったが、店頭で記入してサインでも申し込みが可能になったほか、電気工事店などが事前に視聴者宅に訪問して作成する必要があったシステム系統図も不要にし、複数枚必要だった申請書類も1枚に削減した。

また、A-PABのホームページに電子申請ページを開設し、必要書類をアップロードすることで申し込みできるようになる。なお、電子申請は7月末から8月頭にかけての対応開始を予定している。

従来はすべての機器を交換しなければ助成金を受け取れなかったが、条件を緩和し、家具などの関係で一部どうしても交換できない機器がある場合は、法律に定められた基準を超えないように電波を減衰させるフィルターによる対策でも助成金が受け取れるようになる。

工事後の工事実績報告書も簡素化したほか、助成金の受け取りも登録電気店か申請者を選択できるようになった。助成金を活用し、’21年に延期となった東京オリンピック・パラリンピックに向け、4K8K放送での視聴環境を整えて欲しいとしている。