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4K8K放送視聴機器が200万台突破、深田恭子は推進キャラ卒業。設備改修助成金の締切も
2019年11月28日 11:42
新4K8K衛星放送がスタートした2018年12月1日から、間もなく1年を迎える。これに先立ち、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は記念セレモニーを都内で開催。4K8K推進キャラクターの深田恭子さんや、寺田稔総務副大臣らが駆け付けた。また、新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数が10月末で累計200万台を超えたことも発表された。
A-PABは新4K8K衛星放送の現状について「“別世界”の高画質/高音質の放送を楽しむ視聴者が着実に広がってきている」と説明。
4K8K推進キャラクターの深田恭子さんは、グルメ番組や旅番組などを4K8Kで楽しんでいるとのことで、2020年東京オリンピック公式種目となるサーフィンについても今後の注目ジャンルとして紹介した。
なお、約2年に渡って推進キャラクターを務めた深田恭子さんは、今回のイベントが最後の登場になることを発表。A-PABの福田俊男会長から感謝状が手渡された。今後A-PABではキャラクターによる訴求よりも、実際の放送サービスなどの魅力を伝えていく形に注力していくという。
各局から、年末年始の注目番組も案内。NHK BS4K/BS8Kでスペシャルドラマ「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」、BS日テレ4Kは、BS笑点ドラマスペシャル第3弾「初代 林家木久蔵」、BS朝日4Kは「日本の名曲 世界の名曲 人生、歌がある」5時間生放送、BSフジ4Kは劇場版「踊る大捜査線」の一挙放送、BSテレ東4Kはドラマ「きのう何食べた?」の新作、BS-TBS 4Kで中山美穂や真木よう子、成海璃子が出演する「幸せのホテルが誘う旅」、スカチャン2は「2019 F1グランプリ」、スターチャンネル4Kは「スパイダーマン:スパイダーバース」、日本映画+時代劇4Kでは「鬼平犯科帳 4Kデジタルリマスター版」などを予定している。
さらに、民放5局が協力して、放送1周年を記念した8時間生放送の特別番組も12月1日に予定。笑福亭鶴瓶と安住紳一郎アナウンサーがMCを務め、各局を回って放送するという。11月~'20年1月の注目番組については、A-PABのWebサイトでも番組ガイドを掲載している。
累計台数200万台突破。受信設備改修で助成金申請の締切に注意
A-PABからは、新4K8K衛星放送の対応チューナー内蔵テレビや単体チューナーなどを合わせた2019年10月末までの出荷台数が発表。累計ではついに200万台を超え、218万6,000台となった。また、メーカーごとの受信機器の発表/出荷開始状況などもまとめて案内された。
10月分の出荷内訳は、新チューナー内蔵テレビが16万6,000台、外付け新チューナーが2万台、CATVの新チューナー内蔵STBが4万6,000台。累計は、チューナー内蔵テレビ142万8,000台、外付けチューナー21万7,000台、CATV STBが54万2,000台で、4K8K衛星放送視聴可能機器は計218万6,000台。
チューナー内蔵テレビと外付けチューナーは、JEITA(電子情報技術産業協会)発表の出荷台数。CATV TBは、JCTA(日本ケーブルテレビ連盟)ヒアリングによる設置台数。集計値に新チューナー内蔵録画機は含まれていない。
A-PABが量販店などに聞き取りを行なった結果によれば、消費税増税後の10月に懸念された反動減はなく、前年比で横ばいだったという。11月も同じく横ばいの見込みで、「年末商戦の12月に向けて手ごたえを感じている」との回答があった。
新4K8K放送コールセンターへの相談状況についても情報を公開。9月は増税前の駆け込み需要などで受信相談など中心に479件と多く寄せられた。10月は305件。内容は、内蔵テレビやチューナー、録画機の問い合わせが多く、テレビの買い替えの際の具体的な相談が増えたという。
また、受信設備関連では改修の問い合わせが最も多く、既存のパラボラアンテナで受信可能か、CATVでも受信可能か、などの問い合わせも多かった。そのほか、番組内容などについての質問も寄せられたという。
視聴者が新4K8K衛星放送の受信設備を整える際に補助を費用の1/2まで受けられる助成金申請について、締め切りが近づいていることも説明。2020年2月10日までに、工事実績の報告である「実績報告書」を提出した分までが助成の対象となる。集合住宅などの改修工事には時間がかかるため、早めに申請するよう呼びかけた。
なお、同事業や助成金などの詳細はA-PABによる「中間周波数漏洩対策事業」のサイトで案内されている。
日本の4K8Kが今後は“世界標準”に
寺田稔 総務副大臣は、これまでの取り組みを振り返り、「新4K8K時代が到来し、ハイビジョンからスーパーハイビジョンとなり“別世界”に突入した。これからは別世界ではなく“世界標準”になると確信している」と述べた。
また、「過去に放映された映像も、フィルムものを中心に、リメイク、デジタルリマスターで鮮やかに蘇るのが4K8Kの世界」として、魅力あるコンテンツの充実が不可欠との見方を示し、今後の注目イベントとして、2020年東京オリンピック/パラリンピックや、2025年の大阪万博などを挙げた。
NHKの上田良一会長は、今月閉幕したラグビーワールドカップについて、中継に加えパブリックビューイングなどの実施により、全国で4万人が超高精細画質と臨場感のある音響で楽しんだことを紹介。オリンピック/パラリンピックについても「世界の注目集まるこの機会に、4K8K中継やネットを駆使して最高水準、最大規模の放送を展開したい」とした。
民放連の大久保好男会長も、オリンピック/パラリンピックに向けたコンテンツの充実を進める一方で、「民放事業者の経営環境は一段と厳しい。4K放送が一日も早く自立でき、自走できるように、これまで以上に格段のご支援を」と総務省らに向けてコメントした。
JEITA(電子情報技術産業協会)AVC部会代表として登壇した、東芝映像ソリューション上席副社長の安木成次郎氏は、放送以外の特徴にも触れ、「今後は5G技術とも連動し、防災や見守り、医療、教育といった様々な分野で、新しい価値の創造に取り組む」とした。