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4K8K放送対応機器は11月に52万台の大幅増。年末年始に注目番組も
2019年12月20日 18:46
放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は20日、新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数についての記者説明会を開催。11月末の集計は平均の倍以上となる52万1,000台で、累計では270万台に達した。大幅に増加した理由は、10月以前は集計に加えていなかった新4Kチューナー内蔵レコーダーの累計数を11月にまとめて計上したため。
11月分の出荷内訳は、冬のボーナス商戦などの影響で、新チューナー内蔵テレビが21万2,000台('18年12月までの累計は22万2,000台)、外付け新チューナーが8,000台、CATVの新チューナー内蔵STBが4万7,000台。
11月から加わった「新チューナー内蔵録画機」は25万4,000台。以前は対応メーカーがパナソニックとシャープの2社のみだったため「2社の場合は公開しない(合計から自社分を引くと他社の実数が判明してしまう)」というJEITA(電子情報技術産業協会)の方針により計上されていなかった。現在はソニーと東芝を加えた4社になったことから、それ以前を含む約1年分の累計台数が11月に追加された。
チューナー内蔵テレビと外付けチューナー、レコーダーは、JEITA発表の出荷台数。CATV TBは、JCTA(日本ケーブルテレビ連盟)ヒアリングによる設置台数。
年末年始はボクシング村田諒太8K生中継。Mr.マリックや中山美穂も4K
年末年始の各チャンネルの注目番組も紹介。
NHKは12月23日にボクシング村田諒太選手の世界戦をBS8Kで生中継。30日は、ドラマ「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」をBS8KとBS4K、総合テレビで同時放送する。大みそかは、「第70回紅白歌合戦」をBS8K/4Kにおいて“総合テレビとは違った視点”で放送する。
BS日テレ 4Kは、12月25日午後7時から舞台「魔界転生」、1月には「BS笑点ドラマスペシャル」第3弾となる新作「初代 林家木久蔵」(1月11日 午後9時)などを放送。
BS朝日 4Kは、Mr.マリックが登場する「スーパー4Kマジック」や、「赤川花火大会 4K 完全版」などを放送。2020年1月4日と5日は「ワールドプロレスリング 4K・LIVE」では新日本プロレスの東京ドーム大会を2日連続で4K生中継する。
BS-TBS 4Kは、人気レギュラー番組「吉田類の酒場放浪記」などを引き続き放送。特番は、2020年1月3日午後7時から、中山美穂・真木よう子・成海璃子の3人が世界を旅する「幸せのホテルが誘う旅」などをラインナップする。
BSテレ東 4Kは、ドラマ「きのう何食べた?」の新作を4Kで'20年1月5日午後9時から放送。「ワカコ酒 season2」や「バイプレイヤーズ」、「W 県警の悲劇」などのドラマも一挙放送する。
BSフジ 4Kは、釣り番組「岡村・原西・津田の日本爆釣り!! 原西フィッシング倶楽部」を12月31日12時から2時間、5日間連続放送する。'20年1月4日午後7時は、4Kで「令和の法隆寺~千四百年の伝承と聖徳太子の残響」を用意する。
オリンピック/パラリンピック前に500万台達成へ
A-PABコールセンターへの、新4K8K衛星放送に関する11月の問い合わせ件数は247件で、10月の305件に比べて減少。内容で多かったのは、これまでと同様に「内蔵テレビ、チューナー、録画機」に関するものだという。これに加えて、リモコンの使い方など操作や、アンテナの方向調整などに関する問い合わせもあったという。“4K画面が暗く感じる”という相談は2件で「減少傾向にある」(A-PAB)という。なお、20日時点での12月問い合わせ件数は「11月比で25%増しのペース」としており、310件前後を見込む。
視聴に関しては、CATVやNTT東西のフレッツ光などを使った「アンテナを使わない方法」についても問い合わせが増えているとのこと。あくまで“放送”を主体とするA-PABでは対象範囲外としながらも、アンテナ以外の受信方法について知りたい消費者からの相談には答えているという。
視聴者が新4K8K衛星放送の受信設備を整える際に、費用の1/2まで補助を受けられる助成金申請は、締め切りが'20年1月24日消印有効となっており、「まだ予算に余裕はある」とのこと。集合住宅などの改修工事には時間がかかるため、早めに申請するよう呼びかけている。
A-PABの福田俊男理事長は、新4K8K衛星放送開始から約1年を振り返り「最初の半年間は低空飛行だったが、後半でチューナー内蔵機が増えてきたことから、想定を超える台数になったのでは。視聴者からも番組を増やしてほしいという要望が高まり、放送事業者にも真摯に取り組んでいただいた。7月24日の東京オリンピックまで約8カ月だが、普及は相当数に上ると期待している。ただ、(開幕間近で)一度に注文が来ると設置が間に合わないので、準備は早めに」と呼びかけた。
視聴可能機器台数や、販売現場の状況について説明した木村正孝理事は、量販店などとのやり取りの中で「昨年は対応機種が20機種だったのが、今は100機種あり、選択肢が広がったのが大きい。メーカーも10社に増えて、価格競争も生まれてきた。12月もこの調子でいくだろうとの話だった」と述べた。
オリンピック/パラリンピック開幕前までの台数目標について木村理事は「私の思いでは、(現在の270万台から)早く500万台の大台にのせたい。毎月30万台弱という計算になり、甘くはないと思うがしっかりやらないと、本格的な立ち上げは難しくなるという懸念を持っている」との考えを示した。