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パナソニック、進化した最高画質4K有機ELビエラ「HZ2000」。Dolby Vision IQ搭載

65型4Kテレビ「TH-65HZ2000」

パナソニックは、自社組立の有機ELディスプレイを使った4Kビエラ「HZ2000シリーズ」を10月16日より発売する。65型「TH-65HZ2000」、55型「TH-55HZ2000」の2サイズをラインナップ。価格はどちらもオープンプライスで、店頭予想価格は65型が49万円前後、55型が35万円前後。

2019年7月に発売した、4Kビエラのフラッグシップ「GZ2000シリーズ」の後継機種。発光性能を向上させる自社開発のディスプレイ構造や専用の映像処理回路、Technicsチューンの140Wスピーカーシステムなどの基本性能を継承しながら、パネル制御技術や4K放送番組における画質処理をブラッシュアップ。ビエラ最高画質に磨きをかけている。

65型4Kテレビ「TH-65HZ2000」

ほかにも、最新技術「Dolby Vision IQ」や自動音場補正機能「Space Tune Auto」を新たに搭載したほか、地震に強く倒れにくい吸着機能付きの転倒防止スタンド、スイーベル機能を採用し、日常生活における利便性を向上させた。

「ビエラ最高峰の高画質/高音質で自宅でのエンターテインメントを楽しむことができるフラグシップモデルとして開発した、東京2020オリンピック・パラリンピック公式テレビ」としている。

55型4Kテレビ「TH-55HZ2000」
HZ2000シリーズ(写真左が65型、右が55型)

パネル制御がアップデート。4K放送番組も明るく高コントラストに表示

65型・55型共に、4K/3,840×2,160ドットの「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」を採用。これは、調達した有機ELセルに、特別素材の貼付けシート・放熱シートを組み合わせ放熱性能を向上させ、さらに自社工場で高精度に組み立てることで「有機ELの発光性能を引き出し、高コントラスト映像を高い次元で再現する」というもの。

'19年モデル(GZ2000)と同様、出荷時のパネル調整工程を増やし、暗部表現のわずかな乱れも低減する業務用モニター並みの精度を実現。測定結果に応じた個別のホワイトバランス調整・階調表現調整に加え、独自開発のチューニングシステムにより、暗部階調表現のわずかな乱れを低減。プロフェッショナル品位の階調描写性能を誇るとしている。

一般的な有機ELよりも放熱性能を高めた「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」
有機ELパネル1枚1枚を製造ラインで測定し、その結果に応じたホワイトバランス、階調調整を実施。HZ2000では、より高精度なチューニングを実施する

HZ2000で大きく変わったのが、そのディスプレイをコントロールするアルゴリズム「Dot Contrast パネルコントローラーPRO」。

昨年の第一世代では、明るさと色情報を分離・個別制御する手法だったが、新モデルの第二世代では、明るさの分布情報も詳細に解析し、それを制御に反映させることで階調表現能力が向上。「特に高輝度域の階調描写が一段と滑らかに再現できるようになった」という。

4K放送番組の高画質化も、HZ2000の進化ポイント。

新モデルでは、4K放送のHLG信号に含まれる明るさ情報を解析し、シーン毎に明るさやコントラストを最適化することで、4K番組をより明るく、高コントラストに表示できるようになった。

「HDR10規格のUltra HD Blu-rayコンテンツに対して、あたかも動的メタデータを持つHDRコンテンツであるかのようにディスプレイ性能を最大化する機能“ダイナミックメタデータクリエーション”を、4K放送のHLG素材においても動作するようにアップデートした。シーンごとに輝度情報を解析しているので、SDRのアップコンバート素材やピュア4K/HLG素材に応じて、パネル性能をフルに発揮した高コントラスト映像が楽しめる」という。

4K/HLGコンテンツがより高コントラストに表示できるようになった。同アルゴリズムは、既発HZ/HXシリーズにも実装されている
HLG素材においても、ダイナミックメタデータクリエーションが機能するようになっている('19年モデルでは、HDR10コンテンツのみに適用していた)

プラズマから受け継ぐ自発光の画作りのノウハウを継承したという、有機EL専用の映像処理回路「ヘキサクロマドライブ プラス」を採用。

画面の明るさに応じ、動的に色の補正量を変化させることで、暗部・明部の階調や色彩を忠実に再現する3次元カラーマネージメント回路「ダイナミック3D-LUT」の搭載ほか、全輝度領域において目標値とする色との誤差を低減する緻密な色のチューニング、ガンマ調整、暗部階調補正を行なっている。

有機EL専用の映像処理回路「ヘキサクロマドライブ プラス」
HDR10規格のUHD BDコンテンツを高コントラスト化する「ダイナミックメタデータクリエーション」

他にも、入力された映像信号のオリジナル解像度を判別して、ディテール処理を最適化させる「素材解像度検出 4Kファインリマスターエンジン」、AIによる機械学習で素材をHDRのような高コントラスト映像に変換する「AI HDRリマスター」、HDR10規格のUHD BDコンテンツを高コントラスト化する「ダイナミックメタデータクリエーション」などを引き続き搭載した。

また、画面の一部に黒画面を挿入することで動画ぼやけを低減する「クリアモーション」や、映像内で物体が動く量を検出・背景と分離して破綻のない倍速補間を行なう「オブジェクト検出 倍速表示」を搭載。「動きに強い2つの技術を搭載しており、スポーツ映像を観るときにも滑らかでクッキリとした映像を実現する」としている。

画面の一部に黒画面を挿入することで動画ぼやけを低減する「クリアモーション」。HDR映像時も動作する
映像内で物体が動く量を検出・背景と分離して破綻のない倍速補間を行なう「オブジェクト検出 倍速表示」

ドルビーの新技術「Dolby Vision IQ」に新対応。Dolby VisionのHDR映像を表示するだけでなく、室内の明るさに合わせてテレビが画質を自動で最適化するため、室内環境に左右されることなく、常に高品位なDolby Vision映像を楽しむことができるという。

Dolby Vision IQほか、UHD BDのHDR10、4K放送やビデオカメラなどが採用するHLG、一部UHD BDなどが採用するHDR10+(画質認証)、階調豊かな写真表現を可能にする静止画用のHLGフォトをサポートする。

室内の明るさに合わせ、テレビがDVコンテンツを自動で最適化する「Dolby Vision IQ」

映画視聴用の画質モードとして、業務用マスターマニターをターゲットにチューニングした「シネマ」(明室用)、「シネマプロ」(暗室用)に加え、新たに「フィルムシネマ」が追加されている。

これは、フレーム補間やシャープネス、ノイズリダクションなどの映像処理を一切加えず、フルピクセル表示、色温度6500などとした“フィルムメーカーモード(Filmmaker Mode)”に該当するモード。「フィルムメーカーモードを謳うには、リモコンに専用のダイレクトボタンを搭載する必要がある。今回はリモコンにそのボタンを用意していないため、“フィルムシネマ”としてモードを設けた」という。

なおシネマプロとフィルムシネマの違いは、Wスピード設定のON/OFF。「デバイスの特性上、24p素材を表示した際にジャダー感が強く出るため、シネマプロのデフォルトではWスピードを“弱”にしている」とのこと。

新たに「フィルムシネマ」が追加された。'20年夏発売の「HZ1800/HZ1000」にも同モードが搭載されている

このほか、制作者の意図通りの映像表現を実現するNetflix画質モードや、プロユーザーが用いるキャリブレーションモード(ISF Certified Calibration Configuration)、ツール(CalMAN)にも対応する。

総合140WのTechnicsチューンドシステム。自動音場補正機能追加

GZ2000同様に、センタースピーカーを含む3ウェイ3.2chスピーカー(前向き)と、2chイネーブルドスピーカーで構成した、実用最大出力140Wの3.2.2chダイナミックサウンドシステムを搭載。

中央のセンタースピーカーでは、映画やドラマのセリフ、音楽のボーカルなど音像定位感を高め、クリアなサウンドを。そして2つのスピーカーと対向配置のパッシブラジエーターから成る左右のウーファーユニットでは、迫力ある低音出力を目指している。

さらにディスプレイ部の中央背面には、天井方向を向いたLRのイネーブルドスピーカーを搭載。Dolby Atmosデコードで抽出されたオブジェクト信号を天井に反射させることで、音が頭上から降ってくるような音場を実現。画面中央に音像を定位させる効果もあり、音に包まれるような立体音響を再現した。

ディスプレイ背面に搭載されているイネーブルドスピーカー

新機能として、リモコンの内蔵マイクでテレビから発するテストトーンを拾い、視聴環境に合わせた音場に自動補正する「Space Tune Auto」を搭載。天井や壁の距離、反射の影響などを解析するため、従来のプリセット調整に比べ最適な補正が可能になったという。

自動音場補正「Space Tune Auto」の設定・測定中の画面。テレビの各スピーカーから順番にテストトーンが出力され、天井や壁の距離、反射の影響などを解析する。測定時間は5分程度

オーディオ基盤には、Technics(テクニクス)のフルデジタルアンプ「JENO Engine」や電解コンデンサなどのオーディオグレードパーツを引き続き採用。バイアンプ駆動とオーディオ品位の電源回路を組み合わせることで、低ノイズ、かつクリアで上質なサウンドを実現。テクニクス製品の開発チームによる官能評価と、独自の音響解析システムを使ったチューニングによる「Tuned by Technics」仕様となっている。

4Kお部屋ジャンプリンク対応。転倒防止スタンドやスイーベルも

新4K衛星放送チューナー(BS4K/110度CS4K)を2基、地上/BS/110度CSデジタルチューナーを3基搭載。別売の外付けUSB HDDを接続することで、4K放送の裏番組録画や、2K放送の2番組裏録が行なえる。4K放送の2番組同時録画はできないが、4K放送の録画中に2K放送の録画は可能。

2画面機能を搭載しており、2K放送+2K放送や、2K放送+BD/録画番組視聴も行なえる。ただし、4K放送視聴時は2画面表示はできない。

2画面表示に対応

お部屋ジャンプリンクを使った4K放送番組の受信に対応。全自動4Kディーガや、同時発表の4Kディーガなど“4Kお部屋ジャンプリンク対応サーバー”を組み合わせることで、ディーガ内の4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できる。また全自動4Kディーガとの組み合わせで、過去の録画番組と未来の放送予定番組を番組表からチェックできる「過去未来番組表」も4K放送に対応する。

番組やコンテンツ視聴を妨げずに、テレビ画面下部に接続機器やアプリ一覧が呼び出せるインターフェイス「かんたんホーム」を採用。新モデルでは、各アイコンでサムネイル表示されるようになり、アプリを起動しなくてもおすすめ番組などを知ることができ、より見たいコンテンツを見つけやすくなった。

「かんたんホーム」。各サービスのオススメコンテンツがサムネイルで表示できるようになった

放送やVODなどを問わずコンテンツを横断的に探せる「アレコレチャンネル」も搭載。リモコンのアレコレボタンを押すと、テレビ放送や録画番組、VODなどが一覧表示される。視聴履歴から「おすすめの録画」や「おすすめの番組」なども表示できる。

リモコンには、NetflixとABEMA(旧AbemaTV)のダイレクトボタンを装備。

ほかにも、TVer、Amazon Prime Video、Hulu、YouTube、U-NEXT、dTV、デジタル・コンサートホール、DAZN、TSUTAYA TV、スカパー! オンデマンド、Paravi、TELASA、DMM.com、ひかりTV 4K、Rakuten TVなどの映像配信サービスにも対応する。

リモコン

リモコンに音声操作マイクを内蔵。マイクボタンを押すことで、リモコン単体で音声入力ができる。番組やインターネット動画の検索、録画予約、またチャンネルや音量変更といった基本的な操作が可能。またGoogleアシスタントやAmazon Alexa対応のスマートスピーカーから音声で操作することもできる。

パナソニックのスマートフォンアプリ「TVシェア」を使えば、テレビの基本操作やスマホ内の写真・動画・音楽をビエラにシェアすることもできる。

同社液晶モデルや'20年発売の有機ELテレビ(HZ1800/HZ1000シリーズ)にも採用されてる、倒れにくい「転倒防止スタンド」も新採用。前後15度の範囲でテレビの向きが変えられる、スイーベル機能も搭載する。

倒れにくい転倒防止スタンドを採用
スタンドの吸盤構造
前後15度の範囲で、首振りが可能

HDMI入力端子は4系統で、全系統で18Gbps入力に対応。HDMI 2はeARCをサポート。4K/120p入力は非対応。

HDMIの他には、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、サブウーファー端子兼用ヘッドフォン×1、LAN×1、USB×3を備える。USB1端子のみUSB 3.0に対応。無線LANを内蔵し、Bluetoothは送受信をサポートする。

消費電力と年間消費電力量は、65型が563W、253kWh/年。55型が424W、205kWh/年。

スタンドを含めた外形寸法/重量は、65型が144.6×35×91.3cm(幅×奥行き×高さ)/約41kg、55型が122.5×35×78.9cm(同)/約34kg。

上部
側面
背面
端子部

映像を見てみた

55型「TH-55HZ2000」を視聴した。

'19年発売のGZ2000シリーズから画面の明るさやコントラスト性能には定評があったが、新モデルにおいても、暗部から明部までクッキリと魅せる濃厚な高コントラスト映像は健在だ。有機ELデバイスでコントロールが難しいとされる低輝度域の色と階調も、赤色や緑色にシフトすることなく、クリアな色をキープ。暗部もベッタリと潰さずに、滑らかな階調も大分維持できている。

55型4Kテレビ「TH-55HZ2000」

隣にミドルクラスのHZ1800(55型)を置くと、フラッグシップ機のみに搭載されている“Dynamic ハイコントラスト有機ELディスプレイ”の威力は一目瞭然。まるで光りが命を吹き込むかのように、人物や水、太陽といった映像内のオブジェクトを一段とリアルに描写してくれる。

「進化ポイントは、4K放送の高画質化」との発言通り、4K放送の番組視聴でも画質向上が確認できた。4K/HLG素材とダイナミックメタデータクリエーションの組み合わせは効果的で、GZ2000ではピュア4K/HLG番組においても明るく鮮やかに表示。さらに、多少飛び気味だった明部も、新モデルではより細かなディテールが確認できるように感じられた。

HZ2000は、GZ2000からの正統進化で“派手さ”は無いが、ビエラ最高画質に一層磨きをかけたフラッグシップモデルに仕上がっている。