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4K有機EL“完成形”を目指した旗艦ビエラ。前面にラインアレイスピーカー

77型「TH-77LZ2000」

パナソニックは、自社設計・製造の4K有機ELディスプレイとラインアレイスピーカーを搭載したフラッグシップビエラ「LZ2000」シリーズを7月8日より順次発売する。65型、55型に加え、大型サイズの77型も用意。価格はすべてオープンプライスで、店頭予想価格は44万円前後(55型)から。

4K有機ELビエラ「LZ2000」
・77型「TH-77LZ2000」 約85万円 8月5日発売
・65型「TH-65LZ2000」 約61万円 同上
・55型「TH-55LZ2000」 約44万円 7月8日発売

昨年5月に発売した、4K有機ELビエラの最上位「JZ2000」シリーズの後継機。'22年モデルでは、独自ディスプレイの性能向上による、さらなるコントラストアップを実現。音質面においても、フロントスピーカーにラインアレイスピーカーを採用することで、総計150W超の大出力なサウンドシステムを揃え、定位感・音場感の強化を図っている。

なお、同日発表のミドル4K有機EL「LZ1800」シリーズと、リーズナブルな4K液晶「LX800」シリーズは別記事を参照のこと。

77型「TH-77LZ2000」
LZ2000シリーズ。左から77型、65型、55型

高輝度パネルと新制御で、ビエラ史上最高のコントラスト

2019年発売の「GZ2000」シリーズから取り組む、パナソニック独自の設計・組み立てを施した有機ELディスプレイを採用。解像度は4K/3,840×2,160ドット。

65型「TH-65LZ2000」

“第3世代”となるLZ2000では、独自素材を用いた貼付け構造やバックカバー一体型放熱プレートはそのままに(77型除く)、“高輝度有機ELパネル”を搭載。さらに専用のパネル制御機能を追加することで「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイNEO」へと性能を底上げし、4K有機ELビエラ史上最高のコントラストを実現している。

LZ2000のパネル構造。第3世代(LZ2000)の進化ポイントは高輝度有機ELパネルの採用。なお、第1世代(GZ2000/HZ2000)では、特別素材の貼付けシート・放熱プレートを採用することで放熱性能を改善。第2世代(JZ2000)では、バックカバーと放熱プレートを一体化し、さらに新素材の貼付け構造で組み立てることで放熱性能を最大化していた
LZ2000と下位LZ1800との違い

輝度向上に寄与しているのが、新たに追加したパネル制御「Bright Booster」。LZ2000専用の制御で、パネルの発光状態を時間軸方向も加味した“3次元映像信号解析”と“温度センサー”で画素ごとに管理しながら、独自の電流制御アルゴリズムでパネルを駆動。結果、有機ELセルの発光性能を最大限に引き出すことができたという。

新たに追加したパネル制御「Bright Booster」

明部の豊かな階調や色表現を可能にする制御「Dot Contrast パネルコントローラー Pro」も改善。画面の中の明るさ分布と入力信号情報をエリア毎に解析してパネル制御に反映することにより、高コントラストと豊かな色表現を実現することに加え、LZ2000では暗部の解析精度を約32倍(JZシリーズ比)にまで引き上げ、暗部階調の表現力を一層強化した。

Dot Contrast パネルコントローラー Proでは、暗部階調の表現力が強化された

LZ2000においても、出荷時のパネル調整を実施。測定結果に応じた個別のホワイトバランス調整・階調表現調整に加え、独自開発のチューニングシステムにより、暗部階調表現のわずかな乱れを低減。暗部表現のわずかな乱れを低減する業務用モニター並みの精度を実現する独自の調整工程を追加することで、プロフェッショナル品位の暗部階調描写を引き出す。

同社担当は「“自発光こそ最高画質のディスプレイである”というのが、プラズマ時代から変わらないパナソニックの信念。有機ELテレビに関しても、2016年から製品化しており、これまで約7年に渡って技術とノウハウを蓄積してきた。LZ2000で目指したのは、有機ELディスプレイの完成形。“新しさ”ではなく、フラッグシップとしての“完成度”をとことん追求した」としている。

環境光センサー搭載で精度アップした「オートAI」機能

100万を超える映像のシーンから構成される学習用データベースを基に、ディープラーニングを活用してAIが学習&生成したシーン認識アルゴリズムを使って、シーンに最適な画質・音質処理を施す「オートAI」機能を引き続き搭載。

新モデルでは、シーンをより細分化して解析することで、従来よりもシーン認識アルゴリズムの認識精度が向上。例えば、トークと演奏シーンが混在するような音楽番組など、従来正しく認識できていなかった場合でも、最新のアルゴリズムでは最適な補正が行なえるようにした。

オートAIの動作イメージ

部屋の明るさや照明の色によって映像の見え方が異なる事に着目。ディスプレイ下部に「環境光センサー」を新たに設けることで、テレビを設置した部屋の明るさや照明の色などをセンシングし、オートAIの自動画質調整にフィードバック。従来の照度センサーだけでなく、部屋の光の環境も加味することで、様々なコンテンツを自動で自然な画調に整える機能を設けた。

さらにオートAI音質では、シーンに応じて理想的な音場と音質に自動的に調整。スポーツのシーンではスタジアムの臨場感を、ライブなら会場の迫力さながらに、そしてニュースシーンの場合は、音を画面中央に定位させて声をはっきりと聞き取りやすく調整してくれるという。

環境光センサーを連動させた、オートAI画質の動作イメージ
環境光センサー
環境光センサーの設定

有機EL専用の映像処理回路「ヘキサクロマドライブ プラス」を引き続き採用。業務用マスターモニターにも採用されている色補正技術3次元カラーマネジメント回路「ダイナミック 3D-LUT」のほか、HDR10/HDR10+コンテンツの入力時にシーンに応じてHDRトーンマッピング処理を動的に変化させる「ハイブリッドトーンマッピング」を採用。高輝度域でも色鮮やかで、階調豊かな映像を実現している。

映像処理回路「ヘキサクロマドライブ プラス」
ハイブリッドトーンマッピング

'22年モデルでは、独自の4KファインリマスターエンジンとHDR関連処理もブラッシュアップされた。

4Kファインリマスターエンジンは、素材解像度検出処理により、4K放送から地デジ、ネット動画などの映像を4K高精細化する技術だが、新モデルでは、映像信号を部分ごとに情報量や輝度を解析。さらに時間軸方向の前後の映像もあわせて参照することで、ノイズとディテールを高精度に判別。これにより、ノイズを抑制しながら映像の精細感をさらに高めることができ、高い質感とノイズレスな画質を両立しているという。

4Kファインリマスターエンジン

AIによる機械学習を活用した「AI HDRリマスター」においては、4K放送のHLG素材、UHD BDや配信動画のHDR10/HDR10+素材の画質向上を図るべく、新たな画質処理アルゴリズムを採用。

コンテンツ信号に含まれる明るさ情報を解析し、シーンに応じて明るさやコントラストを適切に高画質化処理することで、一段と明るく高コントラストに表示できるように工夫。ダイナミックメタデータクリエーションに関しても、新しい処理を追加することでパネル輝度を最大化。HDRらしさを増した高コントラストな画質の実現に寄与したとする。

なお、サポートするHDRは、HLG、HDR10、HDR10+、Dolby Visionの4方式に加え、視聴環境にあわせて高画質処理を行なうHDR10+ ADAPTIVE、Dolby Vision IQ、静止画用のHLGフォトに対応する。

AI HDRリマスターによる新アルゴリズムで、パネル性能をフルに発揮
ダイナミックメタデータクリエーション

ゲーム専用UIを追加。60Hzのまま表示する等速駆動モードも

前モデルであるJZ2000同様、HDMI2.1規格の4K120p入力に対応する「ゲームモード エクストリーム」を搭載。

PlayStation 5やXbox Series X、PCの4K120p映像を表示することができるほか、入力機器からの情報に連動して自動的に低遅延のモードに切り替える「ALLM」、映像ソースのフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートのズレによって発生する“画面割れ”を防ぐ「VRR」、AMD製グラフィックスカードと接続した際に低遅延・ティアリングの無いスムーズなゲームプレイができる「AMD FreeSync Premium」もサポートした。

加えて、60Hzのゲームコンテンツを60Hzのまま表示する「等速駆動モード」を新たに搭載。専用のパネル制御により、ゲームプレイ時の遅延量を抑えるという。

さらに、ゲーミング向けのUI「ゲームコントロールボード」を新搭載。ゲームプレイ時に映像のフレームレートやHDRメタデータなどのソース情報を表示できるほか、映像の暗部を調整して映像の陰の部分を見えやすくする「暗部視認性強調」など、ゲームプレイに特化した機能を採り入れた。

ゲーミング向けのUI「ゲームコントロールボード」
入力信号の解像度やクロマ、色深度などのほか、コンテンツに付与されているメタデータも確認できる。情報表示は、リモコンの[画面表示]ボタン長押しでも呼び出せる

前面部にラインアレイスピーカー搭載。総出力は150Wオーバー

高さ方向の音を再現する“イネーブルドスピーカー”や、水平方向の音の広がりを強化する“ワイドスピーカー”など、他社に比べて音質面でも物量を投じてきたビエラだが、LZ2000は前面スピーカーを改良し、新開発のラインアレイスピーカーを搭載した。

ラインアレイスピーカーとは、多数のユニットを線上に並べて構成するスピーカーのこと。従来よりも音が干渉し合うスポットを減らすことで、「“解像感の高いクリアな音”と“大口径のスピーカーユニットを搭載したオーディオ機器のような厚みのある音”を目指しているのが特徴。

65型は16基のラインアレイスピーカーを搭載
前面のラインアレイスピーカー

77型は18基(90W)、65型は16基(80W)、55型は14基(70W)のラインアレイスピーカーを搭載。背面上部設置のイネーブルドスピーカー、背面左右設置のワイドスピーカー、背面中央部設置のウーファーも合わせたシステム総計は、77型で170W、65型で160W、55型で150Wもの強力な出力を備えた。

同社担当は「今回新たに採用した『360立体音響サウンドシステム+』では、音の臨場感を追求し、音の動きまでを感じることを目指した。上下左右から音に包み込まれるような、あらゆるコンテンツをその場にいるような、かつてない臨場感あふれる音が楽しめる」と話す。

サウンドシステムの違い

さらに、ラインアレイスピーカーとビームフォーミングなどの制御技術を組み合わせた、サウンドフォーカス機能も搭載。夜中などなるべく自分だけに音を聞こえるようにする「ピンポイント」、聞こえに不安を持つ人物だけに音を大きくする「スポット」、特定の範囲に音を届ける「エリア」、部屋中を音で満たす「アンビエント」など、4つのモードで鳴らし方を変えることもできる。

サウンドフォーカスのモード切替
「ピンポイント」の設定
「スポット」の設定
「エリア」の設定

立体音響技術Dolby Atmosにも対応。最新の音声処理システムを搭載することで、テレビ本体のスピーカーのみで立体音響を再生。従来のステレオ音声も立体音響に変換できる。環境を計測する「Space Tune Auto」も搭載。リモコンに搭載したマイクを使い、テレビで再生したテストトーンを計測。天井や壁からの距離や反射の影響などを解析し、視聴環境に合わせた最適な音質補正を自動的に行なう。

テクニクス製品の開発チームによる官能評価と、独自の音響解析システムを使ったチューニングによる「Tuned by Technics」仕様となっている。

リモコンにYouTube、Disney+、Paraviのダイレクトボタンが追加

BS4K・110度CS4Kチューナーを2基、地上/BS・110度CSチューナーを3基搭載しており、別売のHDDを接続する事で裏番組録画が可能。2K放送、または4K+2K放送の2番組同時録画に加え、4K放送のダブル録画が可能。

2画面機能も4K放送に対応。2K/4K放送+2K放送、2K/4K放送+BD/録画番組視聴が楽しめる。ただし、4K放送の2画面表示はできない。

お部屋ジャンプリンクを使った4K放送番組の受信に引き続き対応。全自動4Kディーガなど“4Kお部屋ジャンプリンク対応サーバー”を組み合わせることで、ディーガ内の4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できる。また全自動4Kディーガとの組み合わせで、過去の録画番組と未来の放送予定番組を番組表からチェックできる「過去未来番組表」も4K放送に対応する。

55型「TH-55LZ2000」

動画配信サービスのダイレクトボタンが従来の6個から、8個になった新リモコン(Bluetooth方式)を採用。

Netflix、Amazon Prime、Hulu、U-NEXT、ABEMAボタンはそのままに、新しく「YouTube」「Disney+」「Paravi」が追加された。リモコンの[マイアプリ]ボタンにも配信サービスの割り当てが可能。アプリ一覧から操作すれば、TVer、dTV、デジタル・コンサートホール、DAZN、スカパー! オンデマンド、TELASA、DMM.com、ひかりTV 4K、Rakuten TVなどが視聴できる。

リモコン
Rakuten TVが無くなり、YouTube、Disney+、Paraviが追加された

昨年末より対応している動画配信サービス「Apple TV+」も新モデルで楽しめるほか、照度センサー情報を“Netflix画質モード”に反映することで室内環境に合わせた画質調整を行なう機能も盛り込まれている。

音声操作は、ビエラ音声操作、Googleアシスタント、Amazon Alexaが選択可能(使用時はいずれか1つを設定)。リモコン中央にあるマイクボタンを押して発話すると、音声でコンテンツの検索やテレビの基本操作が行なえる。

地震に強く、倒れにくい吸着機能付きの転倒防止スタンドを引き続き搭載。スタンドの吸着操作スイッチでスタンド底面の吸盤を接地面に吸着させることで、強い揺れでも倒れにくい構造としている。なお、65型と55型のみ、前後15度のスイーベル機能を搭載。テレビを好みの向きに変えることができる。

スイーベルに対応した65型と55型のスタンド

HDMI入力は4系統搭載。うち入力1・2は4K120pまで、入力3・4は4K60pまでサポートする。eARC/ARC対応は入力2のみ。

HDMIの他には、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、サブウーファー端子兼用ヘッドフォン×1、LAN×1、USB×3を備える。USB1端子のみUSB 3.0に対応。無線LANを内蔵。Bluetoothは送受信をサポートし、テレビの音を2台まで同時送信できる。

消費電力と年間消費電力、外形寸法、重量は以下の通り。

【消費電力と年間消費電力】
・TH-77LZ2000:753W 303kWh/年
・TH-65LZ2000:567W 238kWh/年
・TH-55LZ2000:435W 190kWh/年

【スタンドを含めた外形寸法と重量】
・TH-77LZ2000:172.3×35.0×107.9cm(幅×奥行き×高さ) 約51.0kg
・TH-65LZ2000:144.8×34.8×91.6cm(同) 約29.5kg
・TH-55LZ2000:122.7×34.8×79.2cm(同) 約24.5kg

65型の背面
端子部
側面