ニュース

パナソニック“チューンド”有機ELで最高画質「VIERA GZ2000」。140Wサウンドも

パナソニックは、自社組立のDynamicハイコントラスト有機ELパネルを採用した最上位4Kテレビ「VIERA GZ2000」を7月19日より発売する。65型「TH-65GZ2000」、55型「TH-55GZ2000」の2機種をラインナップ。価格はどちらもオープンプライスで、店頭予想価格は65型が60万円前後、55型が40万円前後。

TH-65GZ2000

今年1月、“世界で最もシネマティックなテレビ”としてCES2019で話題を集めた有機ELモデルの国内版で、昨年発売の「FZ1000」と、その後継「GZ1800」の上位にあたる新しいフラッグシップシリーズ。パネル組立の内製化による画質向上を実現したほか、イネーブルドスピーカーを含む総計140Wの3.2.2chのオーディオシステム、2基のBS4Kチューナー搭載やDolbyVision/HDR10+両対応など、画質・音質・機能の全方位が大幅強化されている。

なお、同時発表された4K有機ELビエラ「GZ1800」と「GZ1000」シリーズは、別記事で紹介している。

GZ2000シリーズのほか、GZ1800、GZ1000の全3シリーズの有機ELテレビを発表
主な違い

独自素材・構造の有機ELで高コントラスト化。モニター並みの暗部階調も

65/55型モデル共に、4K/3,840×2,160ドットの有機ELパネルを採用。鮮明な色や黒の再現、高いコントラスト、広い視野角といった自発光方式ならでは画質性能を備える。

本シリーズの最も大きな特徴が「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」の搭載で、独自のパネルチューニングにより、従来製品以上に高輝度・高コントラストな映像を実現した点だ。

同社は今回、高コントラスト映像の実現にあたり有機ELパネルの内製化に着手。具体的には、有機ELセルやドライバーなどがセットになったパネル化済みの“汎用品”を使うのではなく、有機ELセルを調達し、選定パーツと共に自社工場でパネル化することで、独自素材・構造のパナソニック“チューンド”有機ELパネルを開発、発光効率の高いパネルへと性能向上を果たした。

TH-55GZ2000

内製化に関して同社担当は「調達したパネルをベースに、制御や映像処理を組み合わせた高画質化が従来までの手法だったが、パネルの内製化を実現したことで高画質のステージを更に数段高めることができる」と説明。「内製化の実現には、設備とノウハウを高いレベルで用意できたことが大きい。プラズマディスプレイの開発者も多く関わり、パネル駆動の技術・ノウハウが活かされている。GZ2000は、セル性能を左右する素材や構造にメスを入れ、そのパネル性能を最大限に引き出すよう、独自の制御技術、映像処理技術を総動員し高画質化したプレミアム機」という。

なお有機ELセルは、従来通りLGディスプレイの外販品。開発は門真、組立は国内の自社工場で行なっているが、変更した素材や構造に関する具体的な情報は非公開としている。

チューンドパネルの導入に合わせ、バージョンアップしたパネル制御技術「Dot Contrast パネルコントローラーPro」を採用。光と色の情報を個別に制御する手法に変更し、GZ2000のチューンドパネル用に最適化。結果、色抜けや階調不足が改善され、特に明部の色彩や階調の滑らかさが向上しているという。さらにGZ2000の場合、出荷時のパネル調整工程を増やすことで、暗部表現のわずかな乱れも低減する業務用モニター並みの精度を実現。測定結果に応じた個別のホワイトバランス調整・階調表現調整を一層深化させることで、プロフェッショナル品位の階調描写性能を誇るという。

有機ELに最適化したヘキサクロマドライブ プラス搭載

18年モデルでアップデートされた、パナソニック独自の高画質技術「ヘキサクロマドライブ プラス」を引き続き採用。画面の明るさに応じて動的補正量を変化させることで、暗部・明部の階調や色の再現精度を向上する3次元カラーマネージメント回路「ダイナミック3D-LUT」、全輝度域で測定誤差を低減するチューニング、HDR映像における明部のRGBガンマ調整などを備える。

また19年春の液晶ビエラで搭載された信号処理技術を導入。入力された映像信号のオリジナル解像度を判別して、ディテール処理を最適化させる「素材解像度検出 4Kファインリマスターエンジン」や、AIによる機械学習で高精度なSDR→HDR変換を行なう「AI HDRリマスター」、映像内の動き量から背景と被写体を分離して最適処理を施す「オブジェクト検出型倍速補間」を新搭載している。

有機ELビエラ初となるDolby Visionに対応。Ultra HD Blu-ray(UHD BD)のHDR10方式、4K放送やビデオカメラなどに採用されているHLG(ハイブリッドログガンマ)方式、一部UHD BDなどで採用が始まったHDR10+(画質認証)もサポートするなど、全4種類のHDR方式をサポート。Netflix画質モードを新搭載。プロユーザーが用いるキャリブレーションモード(ISF Certified Calibration Configuration)、ツール(CalMAN)にも対応する。

世界初のイネーブルドスピーカー搭載テレビ。総合出力は140W

センタースピーカーを含む3ウェイ3.2chスピーカーと2chイネーブルドスピーカーで構成された、総合出力140Wの3.2.2chダイナミックサウンドシステムを搭載。

GZ2000のオーディオシステム模型

ディスプレイ部の中央背面には、民生用テレビで世界初というイネーブルドスピーカーを搭載。天井方向に向けて設置されたLRのイネーブルドスピーカーは、各20Wの出力性能を備えており、Dolby Atmosデコードで抽出されたオブジェクト信号を天井に反射させることでシアターシステム品質の立体音響を実現。設置環境・試聴ポジションに合わせて立体音響を調節できる「Space Tune」を搭載し、Atmosコンテンツはもちろん、地デジなどの通常音声もバーチャル機能で立体音響を楽しむことができる。

中央背面に搭載されているイネーブルドスピーカー

くわえて、ツイーターとミッドレンジで構成したセンタースピーカーと、上部に備えたイネーブルドスピーカーの組み合わせが、画面中央に音像を定位。映像と音声のマッチングによる、臨場感向上に効果を発揮するとしている。

分離独立構造の専用オーディオ基盤には、Technics(テクニクス)のフルデジタルアンプ「JENO Engine」や電解コンデンサなどのオーディオグレードパーツを実装。バイアンプ駆動とオーディオ品位の電源回路を組み合わせることで、従来のテレビ音声を凌駕する「低ノイズかつクリアで上質なサウンド」を実現。テクニクス製品の開発チームによる官能評価とチューニングが施された「Tuned by Technics」仕様となっている。

BS4Kチューナーを2基搭載。HDMIは全端子で18Gbpsに対応

新4K衛星放送チューナーはビエラ初のダブル搭載で、地上/BS/110度CSデジタルチューナーは3基搭載。別売の外付けUSB HDDを接続することで、4K放送のシングル・裏番組録画や、2K放送のW録が行なえる。録画した2K放送番組は「お部屋ジャンプリンク」機能を使って別部屋のテレビで視聴したり、専用アプリ「Panasonic Media Access」で宅外からスマートフォンやタブレットで視聴できる。

番組やコンテンツ視聴を妨げずに、テレビ画面下部に接続機器やアプリ一覧が呼び出せるインターフェイス「かんたんホーム」を採用。対応する映像配信サービスは、YouTube、Netflix、Amazonビデオ、AbemaTV、Hulu、U-NEXT、dTV、アクトビラ4K、ひかりTV 4K、デジタルコンサートホールなど。リモコンには、NetflixとAbemaTVのダイレクトボタンを用意する。

「アレコレチャンネル」も引き続き採用。リモコンのアレコレボタンを押すと、テレビ放送や録画番組、VOD(Netflix/dTV/U-NEXT/AbemaTV/YouTube)などが一覧表示され、放送やVODなどを意識せずに見たいコンテンツを横断的に探すことができる。視聴履歴から「おすすめの録画」や「おすすめの番組」なども表示できる。

スマートスピーカーから音声で操作できる機能を搭載。従来モデルのGoogleアシスタントに加え、新たにAlexa経由でも音声操作ができるようになった。付属リモコンにはマイクが内蔵されているので、リモコンだけでも音声操作が可能。またパナソニックのスマートフォンアプリ「TVシェア」(無料)を使えばテレビの基本操作だけでなく、スマホ内の写真・動画・音楽をビエラにシェアすることもできる。

HDMI入力端子は4系統で、全系統で18Gbps入力に対応する('18年の有機ELモデルは2系統のみ)。ARC対応。ほか入力はコンポジット×1、アナログ音声×1を用意。出力端子は光デジタル音声×1とサブウーファー端子兼用のヘッドフォンで、LAN端子やUSB×3を備える。USB1端子のみUSB 3.0に対応する。

消費電力と年間消費電力量は、55型が424Wで199kWh/年、65型が563Wで242kWh/年。

スタンドを含めた外形寸法/重量は、55型は122.5×31.0×78.3cm(幅×奥行き×高さ)/約33kg、65型が144.6×31.0×90.7cm(同)/約40kg。

スタンド部分
リモコン