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「NHKは三位一体改革の具体策を示し抜本的改革を断行せよ」民放連が意見

日本民間放送連盟(民放連)は12日、NHK経営委員会に「NHKインターネット活用業務実施基準(素案)に対する民放連意見」を提出。NHKが公表した経営計画に対し、既存業務の大胆な見直しによる事業規模の適正化や受信料体系・水準の見直しなど、多くの課題について具体的な取り組みが示されていないとし、「NHKは自ら“三位一体改革”の具体策を早急に示し、国民・視聴者の理解を得て抜本的な改革を断行すべき」と表明した。

既報の通り、NHKは今年9月、地方向け番組のネット配信強化などを掲げた「NHKインターネット活用業務実施基準」(素案)を公開。NHKでは総務省への認可申請を行なうに当たり、素案への意見を広く募集していた。民放連の意見は、これを受けて提出したもの。

民放連では、素案の最大の問題点を「実施に要する費用に関して、受信料収入の2.5%の上限を撤廃し、中期経営計画に記載するとした点」と指摘。

具体的な理由として「NHKは放送を行なうことを目的として放送法に基づき設置され、独占的な受信料収入で運営される特殊法人」であり、「インターネット活用業務の実施費用は、『放送』の受信設備の設置者から徴収する受信料の一部を使用する構造となっているため、必然的に抑制的な管理が求められる」と主張。

その上で「受信料収入の2.5%の費用上限は、そのなかでNHKが実施費用の抑制的な管理のための基準として自ら設定したもの。その基準を何ら明確な説明なく撤廃することは、これまでの議論を蔑ろにするものであり、到底容認できない。費用の上限を明確な数値として示すべき」と述べた。

加えて、費用上限が明確に示されていない同案では「業務の実施に過大な費用を要するものでないこと」、「受信料財源業務の実施に要する費用の上限が適正かつ明確に定められていること」とした総務省のガイドライン要件を満たしていないと主張。

ガイドラインでは「法第15条の目的達成に資すること」「市場の競争を阻害しないこと」が具体的審査基準として掲げられており、「歯止めとなるべき費用上限が明示されないまま、受信料財源を背景にNHKがインターネットの活用を拡大することは、民間企業による市場競争に影響を及ぼしかねず、その点からも適切ではない」と指摘している。

素案に添付された「現時点の費用の見通し」についても言及。

「NHKが実施を希望する業務に要する費用を積み上げたものに過ぎない。受信料制度との整合性や市場競争への影響などを踏まえて設定されるべき『上限』とは本質的に考え方を異にする。費用水準に関しても、来年度のオリンピック・パラリンピック東京大会が簡素化の方向で検討されていることを考慮していない点や、大会開催後の2022年度以降も2021年度とほぼ同水準の費用を見込んでいることは、抑制的な姿勢とは程遠いもの」とコメント。

「この1年のあいだに既存業務や受信料の見直しはまったく進んでいない。にもかかわらず、上限を取り払い、オリンピック・パラリンピック東京大会開催後の実施費用を過大に積むことは、『基本的考え方』やこれに伴う真摯な議論を完全に反古にするもの」と主張した。

地方向けの放送番組の配信に関しては、「同時配信・見逃し配信を問わず、地方向け放送番組に関する具体的な計画を早期に示し、地域住民や民放ローカル局に丁寧に説明を尽くすことが重要」と記している。

提出された内容の詳細は、民放連のサイトで掲載されている。