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東芝、美肌にこだわった最上位4K液晶レグザ「Z740XS」。15周年第一弾

65型4K液晶テレビ「REGZA 65Z740XS」

東芝映像ソリューションは、リアルタイムに人肌を検出し自然で美しい表情を映す“美肌”を強化した、タイムシフトマシン4K液晶レグザ「Z740XS」を3月5日より順次発売する。65型、55型、50型の3サイズを用意。価格はいずれもオープンプライスで、税別の店頭予想価格は65型が28万円前後、55型は21万円前後。


    REGZA Z740XSシリーズ
  • 65型「65Z740XS」 店頭予想価格28万円前後 3月5日発売
  • 55型「55Z740XS」 同21万円前後 3月5日発売
  • 50型「50Z740XS」 未定 4月発売

'20年春に発売した最上位4K液晶レグザ「Z740X」の後継機で、レグザ15周年モデルの第一弾。

映像エンジンやパネル構成、インターフェイスなどの基本的な仕様は前機を踏襲するが、人肌の再現・描写に関して、学術的な見地を採り入れ、高画質技術をアップデート。「画質完成度を飛躍的に高めたモデル」(同社担当)としている。画質以外では、オーディオシステムのクロスオーバーフィルター変更による音質改善や、ダークガンメタリックを基調としたリモコン・外観のデザイン変更などが行なわれている。

なお型名末尾のSには、「レグザ15周年モデルの“Special edition”」という意味が込められているという。

65型4K液晶テレビ「REGZA 65Z740XS」

進化した美肌高画質。違和感のある肌色は美しいと感じる色に

Z740XSの特徴は、アップデートした美肌高画質システムの搭載。

新たに、人肌に対する高画質技術確立のため、人肌研究に携わる大学教授(埼玉女子短期大学・山田雅子氏)と連携。色彩学・心理学に基づく記録色に着目し、“ひとが美しいと感じる肌再現”を目指し、学術的見地とレグザの高画質技術を融合させた「ナチュラル美肌トーン」を作り上げた。

具体的には、レグザがリアルタイムに映像内の人肌を検出。撮影環境の違いや視聴環境の影響による人肌部分の不自然さを補正することで、人肌の立体感や質感が向上し、自然で美しい表情を再現するという。

画質マイスターの住吉肇氏によると「実際に放送されているドラマなどを見ていると、撮影時の照明環境の違いによって、肌色がバラつくシーンが見受けられる。全暗・マスモニで見ればその差はあまり気にならないが、家庭で見る場合は、ユーザーの目は室内の照明環境に順応している。この順応状態だとバラツキが大きく感じ、肌色の不自然さが気になってしまう。今回チューニングしたのは、このカラーシフトの部分で、映像の中に違和感のあるような肌色、記憶色から外れた肌色があった場合に補正をかけることで、自然な肌色を再現するようにした」とのこと。

人肌の検出・処理に関しては「今回は顔検出などは行なっておらず、ヒストグラムを参照して人肌を検出し、64色軸の3Dカラーマネージメントで色相・彩度を整えている。実際に放送されていた国内ドラマの中から、肌色に違和感を感じたシーンだけを集め、各シーンでどの程度補正をかければいいのかを算出し、テーブルデータを作った」という。

ナチュラル美肌トーンの実映像比較。写真左が前機種Z740X、右がZ740XS

ブランド統括マネージャーの本村裕史氏は、新モデルについて「画質コンセプトに掲げたのは、レグザの高画質技術でドラマの感動を最大化すること。多くのユーザーが視聴する放送やネット動画のドラマを、よりリアルで、臨場感ある映像でさらに感動して欲しい、テレビを楽しんで欲しいと考えた。レグザは以前から“美肌”に取り組んできたが、今回は学術的な見地も取り込み、美肌表現の完成度を上げた」と説明。

また美肌への取り組みについて「実はこれは、マスモニからの決別、という宣言でもある。テレビはエンタメ機で、マスモニのような測定機ではない。モニターモード以外は、違和感のある映像であれば、ユーザーが見て美しいと感じる記憶色・記憶映像にして提供したい。高画質技術が究極まで進化していくと、ひとが美しいと感じる色や心地良い映像を作り出すようになるだろう。今回の試みは、それを目指すためのチャレンジの一歩であり、“コンテンツ制作者の狙いはこうだろう”ということまで考えた上で画質処理するテレビを目指す」という。

ブランド統括マネージャーの本村裕史氏

ナチュラル美肌トーンは、放送向けの高画質化機能「地デジAIビューティPRO」、およびネット動画向け「ネット動画ビューティPRO」にも搭載。アルゴリズムのアップデートに合わせ、Z740XSでは機能名称もそれぞれ“PRO II”へと変更された。地デジからネット動画まで、人肌がより健康的で美しく見えるよう最適化されたとする。

また、クラウドを活用したレグザ独自の画質向上技術「クラウドAI高画質テクノロジー」もアップデート。最新バージョン(2月10日リリース)では詳細ジャンルが28、および281番組の個別データがクラウド上にアップされているとのことで、ほとんど全ての地デジ番組と、主要なBS・BS4K番組を対象に自動で画質最適化が行なわれるという。

地デジAIビューティPRO、およびネット動画ビューティPROにも、ナチュラル美肌トーンのチューニングが採用された

視聴環境に合わせ、画質を自動調整する「おまかせAIピクチャー」では、ブルーライトカット機能を新たに搭載。夜間は輝度を抑えることに加え、電球色照明下でのコンテンツに応じた色温度調整を最適化する(色温度をより下げる)ことで、夜間に浴びると睡眠の導入を妨げるとされるブルーライトをZ740X比で約40%削減した。見た目としては、暖かい色味でしっとりとした目に優しい画質になる、とのこと。

従来比で約40%のブルーライトカットを実現したという「おまかせAIピクチャーII」

液晶パネルの構成、および映像エンジンは、Z740Xと同等。

4K/3,840×2,160ドットの倍速対応で、LEDバックライトは全面直下型。50型から65型まで、外光反射を抑制する低反射フィルム採用のVAタイプとなる。バックライト制御技術「リアルブラックエリアコントロール」により、輝きと引き締まった暗部を実現し、コントラストの豊かな映像を実現している。

前述の本村氏によれば「パネル構成は同じだが、LED性能が向上したことで、輝度が前機比で10%上がっている。そのバックライトポテンシャルを階調再現に振ることで、Z740XSの画質改善にも繋がった」と話す。

映像エンジンは「レグザエンジン Cloud PRO」。汎用チップをベースに独自チューニングした回路とCloud PROで処理を分散させる2チップ構成となっており、高度かつ高精度な映像処理を可能にしている。

対応するHDR規格は、HDR10、HLG、HDR10+に加え、新たにHDR10+ ADAPTIVEもサポートした。

新フィルタ&グリルで音質向上。リモコンに「おすすめ番組」新設

“リビングをライブ会場のような臨場感に”をコンセプトに開発した、総合出力80Wの「重低音バズーカオーディオシステム PRO II」を採用。

前機同様、25mmシルクドームツイーターとフルレンジを組み合わせた2ウェイで、クリアでダイナミックな音質を実現。クワッドパッシブ重低音バズーカウーファーでは、振動板にセルロースナノファイバーをコーティングしたダブルウーファーと、対向配置したパッシブラジエーター4個を使い、振動を抑え、ポートノイズのないクリアな重低音を目指した。

重低音バズーカオーディオシステム PRO II

Z740XSでは、ユニットのクロス特性を急峻化した高遮断クロスオーバーフィルターを新採用。従来よりも各スピーカーの帯域のつながりが向上し、明瞭な音質と迫力ある重低音に磨きをかけたとのこと。またパンチングメタル素材のスピーカーグリルを新開発することで、剛性が上がり、振動抑制・付帯音を軽減。開口率も改善され、聞き心地のよいクリアな音質になっているという。

パンチングメタル素材のスピーカーグリル

搭載チューナーは、地上×9(タイムシフトマシン含む)、BS/110度CS×3、BS/CS 4K×2。別売のUSB HDDを使って、地上/BS/CSの2番組同時録画や4K放送の裏番組録画が行なえる。

放送済みの番組をさかのぼって見られる全録機能「タイムシフトマシン」を搭載。「過去番組表」のほか、テレビ起動時やチャンネル選局時に気になる番組を見つけてもボタン1つでオープニングから視聴できる「はじめにジャンプ」、ジャンル別リストから見たい番組をすぐに再生できる「ざんまいスマートアクセス」、4K放送番組も自動録画してくれる「おまかせ録画」にも対応する。

リモコンには、新しく「おすすめ番組」ボタンを設置。

「おすすめ番組」は、タイムシフトマシンや通常・自動録画された番組を対象に、好みのジャンル毎にサムネイル表示してくれる機能。新モデルでは、ボタンひとつで、録画番組が“ネット動画を選ぶようなインターフェイス”で一覧表示され、さらにシーンリストから見たいシーンにすぐにアクセスすることができるようになった。

「おすすめ番組リスト」の画面。従来モデルでは、みるコレの「おすすめ録画リスト」に相当する
リモコン。ボディに合わせ、リモコンも黒を基調としたメタリック材質に変更された

ネット動画サービスにも対応。ABEMA、Netflix、Hulu、U-NEXT、YouTube、Prime Videoがリモコンからダイレクトに呼び出せるほか、Paravi、dTV、DAZN、TSUTAYA TV、DMM.com、スカパー! オンデマンド、ひかりTV 4K、Rakuten TV、アクトビラ4Kが視聴可能。

リモコンの内蔵マイクを使った「レグザボイス」やスマートスピーカーを使った音声操作にも対応する。

HDMI入力は4系統。4K/60p 12bit信号のほか、PCゲームの1080/120pや2,560×1,440/60p入力をサポートする。eARCやVRR、4K/120pは非対応だが、HDMI 2.1規格の1つで、ゲームを表示すると自動でゲームモードに切り替わるALLM(Auto Low Latency Mode)に対応する。

なお、PS4やNintedo Switchなど、接続したゲーム機器を自動で検出し、出力解像度に応じて、超解像など最適な映像処理を施す「ゲーム機器連動機能」は引き続き搭載しているという。

このほか、コンポジット映像・LRアナログ音声入力が各1系統。光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力を各1系統用意する。USB端子は4系統(うち2系統がタイムシフトマシン専用)。

55型「55Z740XS」
50型「50Z740XS」

消費電力は65型が336W、55型が271W、50型が250W。年間消費電力量は65型が196kWh/年、55型が175kWh/年、50型が163kWh/年。

外形寸法/重量は、65型が145.3×29×88.1cm(幅×奥行き×高さ)/33kg、55型が123.5×23.6×75.9cm(同)/21.5kg、50型は111.8×23.6×69.7cm(同)/19kg。