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東芝、クラウドAIで画質進化する全録の4K液晶レグザ「Z740X」。「4K放送も暗くない」
2020年2月5日 11:00
東芝映像ソリューションは、クラウド技術を活用してコンテンツごとに最適な画質を実現する4K液晶テレビ「REGZA Z740X」シリーズを2月21日より順次発売する。50型「50Z740X」、55型「55Z740X」、65型「65Z740X」の3モデルをラインナップ。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は50型が18万円前後、55型が21万円前後、65型が29万円前後。
REGZA Z740Xシリーズ
・65型「65Z740X」 店頭予想価格29万円前後 2月21日発売
・55型「55Z740X」 同21万円前後 2月21日発売
・50型「50Z740X」 同18万円前後 5月下旬発売
液晶REGZAの最上位に位置する、'19年モデル「Z730X」の後継機。4Kダブルチューナーや全面直下LEDバックライト、タイムシフトマシン、重低音バズーカなど定評ある技術や機能を継承しながら、クラウドを使った業界初の高画質化や、動画配信サービス別の画質最適化など、映像品質の更なる改善を図っている。
業界初のクラウドAI高画質で“常に画質が進化するテレビ”
パネル解像度は4K/3,840×2,160ドットで、全面直下型LEDバックライトを採用。3サイズとも、外光反射を抑制する低反射フィルム採用のVAタイプ。制御技術「リアルブラックエリアコントロール」を併用することで、輝きと引き締まった暗部を実現し、コントラストの豊かな映像を実現している。
アルゴリズムを刷新した新開発チップ「レグザエンジン Cloud PRO」を搭載。下位モデルと異なり、汎用チップをベースに独自チューニングした回路とCloud PROで処理を分散させる2チップ構成とすることで、高度かつ高精度な映像処理を可能にしている。
新モデルの目玉機能が、クラウドと連携して様々な放送コンテンツをAI超解像処理で高画質化する「クラウドAI高画質テクノロジー」。クラウド上にある“映像調整データバンク”をレグザのメモリーに格納し、放送コンテンツに応じて映像調整メニューを最適化する。データバンクは一定頻度で更新される予定で、同社は「クラウドAI高画質テクノロジーは業界初の高画質化機能であり、Z740Xは“常に画質が進化するテレビ”」と話す。
クラウド上のデータバンクは、番組の詳細ジャンルや画質特性を加味してコンテンツ別に作成。シリーズ、インチサイズ別にもデータを分けるという。
開発担当者は「画質特性は、実際の放送を人間がチェックする必要がある。何百・何千の放送番組全てに対してデータを用意することは現状困難なため、当面は一定の回数放送されるようなシリーズもののアニメやドラマからデータを作成していく。該当データが無い番組については、従来から搭載する“おまかせAIピクチャー”のデフォルト値でカバーする」と説明。
「データが用意できれば、2話目や3話目から最適な調整値で楽しめ、タイムシフトマシンがあれば、初回の放送も最適な映像で視聴できる。従来からのおまかせAIと新しいクラウドAI高画質によって、最新番組の画質傾向をも網羅した、高精度な自動画質調整システムに仕上がった」という。
データは1日1回、ネットを通じて取得予定。実際のサービス運用は6月以降。対象は受信中、またはタイムシフトマシンなど録画済みの放送コンテンツで、BDソフトやネット動画、HDMI経由の外部入力には働かない。
4K放送も暗くないレグザ。ネイティブHLG素材を判別しガンマ処理を最適化
4K放送の番組に対して行なっていたガンマ処理もブラッシュアップ。
SDRの素材をHLG化して放送する際に推奨されている基準白レベルの変更(100%→75%)で発生する、いわゆる“4K放送は暗い”という問題に対し、'19年発売のレグザでは自動的にガンマを上げて、失われた明るさ感を補う処理を行なっていた。'20年発売のモデルでは、信号の輝度ヒストグラムを参照し、75%以上のエリアに信号が多く含まれる番組はHLGネイティブ素材と判断し、この場合はガンマをなるべくリニアに持っていくダイナミック制御を導入した。
「従来の処理では、ネイティブHLG素材が入ってきた場合もガンマを上げていたため、最明部の階調が飛び気味だった。今回の制御により明部の階調がリニアになり、HLG本来の映像が再現できる。4Kレグザであれば、SDR素材をHLG化して放送しているアップコン素材でも、4K/HLGネイティブ素材でも、信号を見ながら最適処理するので、4K放送を高画質に楽しめる」という。
地デジのノイズを低減して、映像を高精細化する「地デジAIビューティPRO」を新搭載。従来の処理に加えて、再構成型超解像や自己合同性超解像などの高画質処理も併用することで、ノイズを抑えながら、ディテールの精細感を引き上げた地デジ映像が楽しめるという。
YouTubeやNetflix、Amazon Prime Videoなど、レグザで視聴できる動画配信サービスの高画質化にもメスを入れた。配信サービスごとに異なる画質特性やフレームレート、圧縮方式、解像度に合わせて、最適パラメータを適応させる新機能「ネット動画ビューティPRO」を搭載。具体的には、コントラストや色階調、精細感を上げ、低フレームレートの場合はコマを補間して滑らかに再生。Z740Xの場合は、4K超解像処理を組み合わせることで、さらに自然な高画質を実現している。
このほか、従来機種にも搭載されていた、肌の質感をリアルに再現する「美肌リアライザーPRO」や色表現領域を拡張して映像送信の際に失われる本来の色を復元する「広色域復元プロ」、HDR映像の色彩を高精度に再現する「AI HDRオプティマイザー」なども引き続き搭載する。
なお対応するHDR規格は、HDR10、HLGほか、HDR10+にも対応する。
4Kダブルチューナーとタイムシフトマシン搭載。重低音バズーカ出力は80W
搭載チューナーは、地上×9(タイムシフトマシン含む)、BS/110度CS×3、BS/CS 4K×2。別売のUSB HDDを使って、地上/BS/CSの2番組同時録画や4K放送の裏番組録画が行なえる。なお、Z730Xで搭載されていたスカパー! プレミアムチューナーは省略されている。
放送済みの番組をさかのぼって見られるレグザ独自の全録機能「タイムシフトマシン」を搭載。「過去番組表」のほか、テレビ起動時やチャンネル選局時に気になる番組を見つけてもボタン1つでオープニングから視聴できる「はじめにジャンプ」、ジャンル別リストから見たい番組をすぐに再生できる「ざんまいスマートアクセス」、4K放送番組も自動録画してくれる「おまかせ録画」にも対応する。
2画面同時表示の「ダブルウィンドウ」と、放送中の地デジ最大6チャンネルを同時表示する「まるごとチャンネル」にも対応する。
映像配信サービスは、Amazon Prime Video、Netflix、YouTube、AbemaTV、Hulu、dTV、U-NEXT、DAZN、TSUTAYA TV、DMM.com、スカパー! オンデマンド、ひかりTV 4K、クランクイン! ビデオ、アクトビラ ビデオ・フルに対応。リモコンのダイレクトボタンはNetflix、YouTube、AbemaTV、Hulu、U-NEXT、Prime Videoの6つで、dTVがPrime Videoに変更された。
リモコンのボイスボタンを使った「レグザボイス」や「Alexa」機能ほか、スマートスピーカーを使った音声操作にも対応する。
搭載スピーカーは「重低音バズーカオーディオシステム PRO」。
新型25mmシルクドームツイーターと大型バスレフボックスを組み合わせた2ウェイで、鮮度の高い豊かな音質を実現。クワッドパッシブ重低音バズーカスピーカーには、振動板にセルロースナノファイバーをコーティングしたダブルウーファーと、対向配置したパッシブラジエーター4個を搭載。
デザイン変更に合わせて、前面グリルのフィルターを外し開口率を向上。総合出力80Wのマルチアンプ駆動で抜けのある明瞭なサウンドと重低音を確保したという。
HDMI入力は4系統。4K/60p 12bit信号のほか、PCゲームの1080/120pや2,560×1,440/60p入力をサポート。最小遅延は60Hz入力時が約9.2msec、120Hz入力時が約0.83msec。HDMI 2.1規格の1つで、ゲームを表示すると自動でゲームモードに切り替わるALLM(Auto Low Latency Mode)に対応した。
このほか、コンポジット映像・LRアナログ音声入力が各1系統。光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力を各1系統用意する。USB端子は4系統(うち2系統がタイムシフトマシン専用)。
消費電力は65型が336W、55型が271W。年間消費電力量は65型が196kWh/年、55型が175kWh/年。
外形寸法/重量は65型が145.6×34×89.3cm(幅×奥行き×高さ)/27kg、55型が123.7×23.7×76.6cm(同)/20kg、50型は111.8×23.7×70.4cm(同)で、重量は未定。