ニュース

Netflix、映像産業の多様性推進を目的とした基金設立。5年で1億ドル投資

Netflixは、映像産業に関わる人材の実質的な格差や能力のギャップを埋めることを目的とした「Netflix クリエイティブ向け創造支援基金」を設立。全世界のあらゆる団体などと協力の上、今後5年間で1億ドル(約100億円)を投資する。

基金は、実質的な差別の対象となるコミュニティを支援する実績がある団体や組織への投資、およびそれら団体と協力の上、世界中の才能ある若手を発掘・トレーニングし、就業につなげるために役立つプログラムを独自に提供することなどに用いる。「基金からの投資を通して、実質的な格差のある人種や性別に属する才能のある人々に門戸を開くことに貢献」するという。

クリエイティブ業界向けの支援は、今年2月にウィットスタジオが開校を発表した「WITアニメーター塾」への支援など、次世代の業界を支えるスキルの高いクリエイターの育成を目的に、国内の映像業界を支える日本のクリエイターの才能の発掘や強化のために行なっている投資を補完するものとしている。

今回の基金設立は、映像産業に関わる人材における多様性を推進することを目的とした取り組みの一環として南カルフォルニア大学 アネンバーグ・インク ルージョン・イニシアティブ(USC Annenberg Inclusion Initiative)の創設者兼ディレクターのステイシー・L・スミスとNetflixが共同で実施した、調査結果をふまえたもの。

同調査では、2018年から'19年の2年間に米国でNetflixが製作したオリジナル作品(126本の長編映画、180本のドラマシリーズ)が対象となっており、ドラマシリーズでは監督や脚本家に女性を起用した例が多く業界をリードしたこと、そして長編映画においては有色人種の女性を作品に起用する例が業界平均を上回り、有色人種の女性を主演や共同主演に起用した作品数においても業界をリード。

2019年には、映画とドラマシリーズ全体で米国全体における人種構成に近い割合で、さまざまなバックグラウンドの俳優を主役に起用することに貢献したという。

その一方で、調査期間中すべての人種・民族グループの起用が増加したわけではなく、ラテン系、中東/北アフリカ系、ネイティブ・アメリカン/アラスカ先住民、ハワイ先住民のコミュニティを描いた映画やドラマシリーズでは、米国全体の人種構成と比較して顕著な格差がいまだ存在していたことが分かった。同調査では、「LGBTQコミュニティや障がいを持つ登場人物を作品に反映するべく、引き続き努力が必要」との結果をまとめている。

基金の設立に対し、Netflixの共同CEO兼最高コンテンツ責任者のテッド・サランドス氏は「こうした取り組みは、スミス博士がこれまで長く求めてきた変革を促進し、エンターテインメント業界にインクルージョンを根付かせることにつながります。 大変革への一歩を踏み出したばかりの私たちですが、その本業は、物語を紡ぎ出すことです。素晴らしい物語というのは、さまざまなバックグラウンドの人々によって、さまざまな場所で生み出され、さまざまな人々から愛されるものです。 自らの今の取り組みを見つめ直すことで、私たちはNetflixはもとより、業界全体を変えていきたいと願っています」とコメントしている。