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ダイレクトディスク・レコーディングの“芸術性”に迫る。JASジャーナル'21年春号

JASジャーナル2021年春号より

日本オーディオ協会は、オーディオビジュアル関連のニュースや新技術、協会会員による投稿などを掲載した「JASジャーナル」の2021年春号(Vol.61 No.2)を公開した。ダイレクトディスク・レコーディングを多く手掛けるライナー・マイヤール氏へのインタビューや、JVCケンウッドの頭外定位音場処理技術「EXOFIELD」の紹介などが掲載されている。

ダイレクトディスク・レコーディングは録音方式の一種で、音楽が演奏されているその瞬間に、マイクからの信号をカッティングマシンに入力し、リアルタイムにラッカー盤を削りレコードの原盤を制作する手法。

テープレコーダーやDAWといった録音編集機を一切使わず、マイク信号をそのまま記録するため、音質的にはもっともロスがないが、まったく編集ができない手法でもある。

マイヤール氏は、1960年ドイツ・ベルリン生まれ。デトモルト音楽大学トーンマイスターコースを卒業した後、フリーランスのレコーディングエンジニアとしてキャリアを積み、現在はベルリンの音源制作会社、エミール・ベルリナー・スタジオのマネージングディレクター、トーンマイスターを務めている。

近年は3Dオーディオのレコーディングへ積極的に取り組むと同時に、ダイレクトディスク・レコーディングの制作も数多く手掛け、ラトル、ハイティンクとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のレコードは日本でも大きな注目を集めている。

誌面ではダイレクトディスク・レコーディングの制作事例をマイクアレンジなどとともに紹介しているほか、マイヤール氏へのメールインタビュー、さらにオーディオ&ビジュアル評論家・山之内正氏へのメールインタビューなども掲載されている。

「EXOFIELD」は、近年拡がりをみせている個人に最適な頭部伝達関数(HRTF)の提供により、より精度の高い頭外定位を可能とする頭外定位音場処理技術のひとつ。JVCケンウッドでは、同技術を使い「リスニングルームで聴いたままの音場をリアルに再現する」という音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC」を提供している。

ビクター、EXOFIELD THEATER「XP-EXT1」

JASジャーナルでは、「EXOFIELD」がどのような技術なのか、またどのようなことができる技術なのかを「WiZMUSIC」、ワイヤレスシアターシステム「XP-EXT1」の開発背景を交えながら紹介されている。

そのほか、戦前からダイヤモンドをはじめとする各種宝石の精密加工のエキスパートとして、オーディオ製品に関わるキーパーツなどを製造するアダマンド並木が2020年に復活させたORSONICブランドや単結晶サファイアを用いたオーディオアクセサリーの紹介、新たに協会会員に加わった「aune」ブランドを展開するWuhan Ao Lai Er Technology Co, Ltd.の紹介なども掲載。

日本オーディオ協会はグローバル化戦略として日本に法人登記されていない海外企業の入会を2020年9月30日の理事会で承認しており、Wuhan Ao Lai Er Technology Co, Ltd.は、その第一号入会企業となる。