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ヘッドフォンでスピーカーのような音の「EXOFIELD THEATER」。ドラレコ+画像認識の新提案も

JVCケンウッドは、「CES 2020」のブースにおいて、スピーカーで聴いているような自然な音場をヘッドフォンで楽しめるシステム「EXOFIELD THEATER」(XP-EXT1)を発表した。米国などで'20年春から提供開始する。対応のワイヤレスヘッドフォンやトランスミッター兼シグナルプロセッサーがセットで価格は1,000ドル前後の予定。日本での提供も検討する。

EXOFIELD THEATERのワイヤレスヘッドフォン(左)と、トランスミッター兼シグナルプロセッサー(左)

「EXOFIELD(エクソフィールド)」は、ヘッドフォンで聴いた時に、頭の中ではなく外側の広い音場で聴こえるようにする頭外定位音場処理技術。ユーザーに合った聴こえ方を実現するため個別の測定が必要となっており、日本では「WiZMUSIC」というサービスで提供している。WiZMUSICの測定は専用環境で行なうが、今回発表された新システムは、製品を購入すれば、手持ちのスマートフォンを使って家庭でも同技術を使った音が楽しめるのが特徴。最大7.1.4ch(Dolby Atmosの場合)に対応する。DTS:XやAACもサポート。

EXOFIELD THEATER体験コーナー

ヘッドフォンにはハウジングの内側にマイクも備え、測定用に再生した音をマイクで検知。これまで同社が多くの人を測定したデータを元に、単にプロファイルを割り当てるのではなく、細かく音響を最適化するという。

スマホアプリと連携して測定
ヘッドフォンの内側(写真の小さく盛り上がっている部分)にマイクを装備

セットに含まれるトランスミッター兼シグナルプロセッサーは、4K対応のHDMI入出力を備え、BDプレーヤーなどの音声に適用可能。測定にはスマートフォンと専用アプリを使用。スマホとトランスミッターはBluetoothで接続する。ヘッドフォンとは5GHzワイヤレスで接続。

実際に測定してBDのDolby Atmos音声を体験すると、包み込まれるような音をヘッドフォンで再現しつつ、広い音場で鳴っていることが実感できた。単に広いだけでなく、音の移動感などもリアルだった。

ヘッドフォンで聴いても、スピーカーのように音が前方や周囲に定位
測定時のアプリ画面

昨年のCESでは、耳に聴診器のような専用マイクも着けて測定する形だったが、ヘッドフォンとスマホで簡単に測定できるようになり、EXOFIELD技術が一気に身近に思えるようになった。コンテンツもDolby Atmosなどに限らず幅広く対応できる点もメリットだ。日本での展開は前述の通り検討中とのことだが、“ヘッドフォンで聴く音楽”のイメージを大きく変える可能性を持った製品といえるだろう。

イヤフォンは、スポーツ向け「AEシリーズ」の完全ワイヤレス「HA-AE5T」や、ネックバンド型の「HA-AE1W」などを展示
映像制作関連では、カメラを遠隔コントロールできる「CONNECTED CAM STUDIO」や、米DVSportが提供するスポーツのコーチングシステム/リプレイシステムなど、スポーツ分野をサポートするソリューションを提案

ケンウッドブランドの車載製品では、ドライブレコーダ(米国などではdashcamと呼ぶ)を活用したドライバーモニタリングシステム(DMS)を提案。居眠りや携帯電話などでの事故を防ぐため、画像認識によりドライバーが目を閉じたりスマホを触っていることを検知すると自動で警告するという。

ドライバーのスマホ通話や、飲み物を飲んでいるなどの状態を画像で認識
ドライバーモニタリングシステム(DMS)の概要
JVCケンウッドはレーシングチーム「Modulo Drago CORSE」に協賛。オンボードカメラなども提供している