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ビクター、頭外定位技術「EXOFIELD」採用ワイヤレスシアターシステム「XP-EXT1」

ワイヤレスシアターシステム「XP-EXT1」

JVCケンウッドは、ビクターブランドの新製品として、独自の頭外定位音場処理技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」を搭載したワイヤレスシアターシステム「XP-EXT1」を8月上旬に発売する。ワイヤレスヘッドフォンとプロセッサーユニットで構成するシステムで、価格はオープンプライス。店頭予想価格は10万円前後。

EXOFIELDは、ヘッドフォンリスニングでもスピーカーで聴いているかのような音場を再現する技術として開発されたもので、音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC」で商品化されてきた。

新製品のワイヤレスシアターシステム「XP-EXT1」は、従来のスピーカー音源(2ch)に加えて、新たにマルチチャンネル音源(7.1.4ch)の再生に対応しているのが特徴。ホームシアターのような、本格的なマルチチャンネルスピーカーシステムを組むことなく、ヘッドフォンを装着するだけで、リアルな定位感で映画や音楽・スポーツなどが楽しめるという。

また、ヘッドフォン部に内蔵したマイクで個人特性を測定。アプリ内のデータベースから最適なデータを抽出・生成するシステムになっており、従来は専用のオーディオルームで行なっていた個人特性の測定が自宅で簡単に行なえるのも特徴。

EXOFIELDとは

2chのスピーカー再生では、リスナーの前方に設置したスピーカーから音が聴こえる。しかし、ヘッドフォンで同じ曲を聴くと、音像や音場が頭の中に定位する「頭内定位」が起こり、スピーカーで聴いているものとは違う聴こえ方になってしまう。

これを解消し、ヘッドフォンでも頭外定位を実現するために一般的には頭部伝達関数を用いた演算処理が用いられる。これは、人間が音を聴く際に、スピーカーから放出された音が、聴いている人の頭や耳などに当たり、変化する事に着目したもの。つまり、CDなどのソースの音がそのままの形で耳に届くわけではなく、頭や耳などに当って“変化した後の音”が耳に届く。

その変化を伝達関数として用いて、音に処理を加え、“前方に置いたスピーカーから再生された音が耳に届くまで”を再現したサウンドをヘッドフォンで流すと、ヘッドフォンリスニングでありながら、まるで前方に置いたスピーカーから音が出ているように感じるというのが頭部伝達関数を使った技術の概要となる。

ただし、頭部伝達関数は人によって異なる。「EXOFIELD」は、個人の耳や顔の形状、使用する再生スピーカー、リスニングルームなどの音響特性を測定し、各ユーザーに最適な信号処理を行なうことで、ヘッドフォン再生ながら、頭外に定位し、スピーカーリスニングの音場と定位を実現するというもの。

XP-EXT1では、新開発の専用スマートフォンアプリを測定で使用。ヘッドフォンに内蔵したマイクで個人特性を測定し、アプリ内のデータベースから最適なデータを抽出・生成することで、マルチチャンネルスピーカーの立体音場と定位を再現。さらに、スマートフォンからイコライザ調整などのリモート操作も行なえる。

対応OSはiOS 11、12、13、Android 6.0~10.0。ユーザーデータは最大4人分まで登録が可能。

プロセッサーユニットとヘッドフォンはワイヤレス接続

ヘッドフォンへの送信機を兼ねたプロセッサーユニットが、7.1.4chまでのマルチチャンネルデータに対応。Dolby Atmos、DTS:Xをサポートする。さらに、2ch、5.1chなどのコンテンツを7.1.4chにアップミックスする機能も搭載する。

プロセッサーユニットにはHDMI入力3系統、光デジタル音声入力1系統、アナログ音声入力1系統を装備。BDレコーダー/プレーヤーや4K衛星放送チューナーなどを接続できるほか、eARCにも対応し、ストリーミングデバイスから非圧縮のマルチチャンネル音声信号をテレビ経由で伝送可能。出力はHDMI×1。

視聴するソフトの種類やユーザーの好みに応じて、4つのサウンドモードが選べる。

  • CINEMA:音の迫力や音場に包まれるような没入感が楽しめる
  • MUSIC:楽器やボーカルの生々しさ、質感をクリアに表現
  • GAME:周囲の音をとらえ、物体の移動や距離感を忠実に再現
  • CUSTOM:5段階の可変イコライザを搭載し、好みに合わせて音質を設定・記憶できる

プロセッサーとヘッドフォンの間は、2.4/5GHz帯デュアルバンドのデジタルワイヤレス伝送で接続。周囲の環境に合わせて音が途切れにくい伝送帯域を自動選択する。

ヘッドフォンには、40mm径の高磁力ネオジウムドライバーユニットを採用。臨場感豊かでパワフルなサウンドが楽しめるという。イヤーパッドは、遮音性と装着感に優れ、耳をやさしく包み込む大型タイプを採用。長時間の連続使用でも疲れにくいとする。

プロセッサーユニットの外形寸法は266×154×30mm。重量はユニット本体のみで約530g。ヘッドフォンの重量は約330g。