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ソニー、ブラビアXRでDolby Atmosの音響を楽しめるネックスピーカー

ワイヤレスネックバンドスピーカー「SRS-NS7」と付属のワイヤレストランスミッター「WLA-NS7」

ソニーは、ブラビアXRと組み合わせて、Dolby Atmosによる立体音響が楽しめるワイヤレスネックバンドスピーカー「SRS-NS7」を10月29日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は33,000円前後。

肩に乗せて、耳を塞がずに開放感のある音が楽しめるネックバンドスピーカーの新製品。2017年10月に発売された音連動バイブレーション搭載の「SRS-WS1」、今年9月に発売されたテレワークやながら使用向けの「SRS-NB10」に対し、SRS-NS7は立体音響を楽しめることを特徴としたモデル。

A90X、A80J、X95J、X90Jの4シリーズ13モデルのブラビアXRと組み合わせた際に、Dolby Atmosの立体音響コンテンツを個人最適化した臨場感ある音響で楽しめる。また、対応のスマホやウォークマンと接続し、360 Reality Audio(360RA)を楽しむこともできる。

小型ボディながら、大型のスピーカーユニットを搭載。32×33mmで矩形の振動版を採用した「X-Balanced Speaker Unit」を採用し、音圧を上げながら歪みを減らしたクリアなサウンドを実現。オフセンターユニット設計により、振動版の振幅バランスを最適化することで、ボーカルも明瞭に聴こえるとしている。

各チャンネルにパッシブラジエーターを2個装備したデュアルパッシブラジエーター方式を採用。首にかけた際に、耳側と片側にそれぞれ配置されており、キレと存在感のある低音域で、映画やライブ映像などが楽しめるとする。

カバーを取った状態
さらに分解した状態
左右ともに上下にパッシブラジエーターを備えている
搭載しているパッシブラジエーターとスピーカーユニット

ブラビアXRとの接続には、付属のワイヤレストランスミッター「WLA-NS7」を使用。接続方法はBluetooth(コーデックはSBC)になるが、ブラビアXR内で個人最適化が施された音源をSRS-NS7に送信するために、このWLA-NS7が必要となる。光デジタルと給電用のUSBをブラビアと接続することで利用できる。

トランスミッターの端子部
接続した様子

ブラビアXRを最新ソフトウェアにアップデートし、WLA-NS7と接続した状態で、リモコンのクイック設定メニューを押すと、メニュー内に「3Dサラウンド」の項目が追加される。この設定を「入」にすることで、Dolby Atmosコンテンツを立体音響で楽しめる。

リモコンのクイック設定メニューボタン
画面下のクイック設定画面に3Dサラウンドの項目が追加される

また、スマホアプリ「HeadphonesConnect」や「360 Spatial Sound Personalizer」で両耳の写真を撮り、ブラビアXRの3Dサラウンドメニューから「聴感特性データの変更」項目で、スマホアプリに登録しているアカウントを選択し、聴感特性データをダウンロードすることで、個人最適化された立体音響が再生できるようになる。

スマホアプリで自分の耳をスキャン
ブラビアXR側でワイヤレストランスミッターの項目を選び
聴感特性データの変更
対応のアカウントを選択して先ほどアプリで作成したデータをダウンロードすれば最適化される

また、ブラビアXRとの組み合わせでは、地上波のテレビやYouTubeの動画などの2chコンテンツをアップサンプリングして立体音響で楽しむこともできる。こちらもブラビアXRのメニューから3Dサウンドを入にすることで利用できるほか、個人最適化にも対応する。

SRS-NS7本体はBluetooth 5.0準拠で、SBC、AACに加え、LDACにも対応しており、対応のスマホ、ウォークマンなどと接続すればワイヤレスでハイレゾ相当の音質で楽しめる。360RAにも対応し、スマホ/ウォークマンから上記の聴覚特性データを使用して、個人最適化された立体音響で、対応の音楽ストリーミングサービスなどから楽しめる。

本体は人間工学に基づいた設計で、身体への接地面を考慮し、重さを分散することで、長時間でも快適に装着できるとしている。そのほか、マイクも搭載するため、ハンズフリー通話などでも利用できる。

最大連続再生時間は12時間。充電時間は4時間。約10分の充電で約60分再生できる急速充電にも対応する。充電端子はUSB-C。

音量ボタン
電源ボタンとマイクミュートボタン
USB-C端子

外形寸法は約244×185×53mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約318g。ワイヤレストランスミッターのほか、光デジタルケーブル、USB-Cケーブル×2が付属する。

トランスミッター単体販売も。ブラビアXR×ヘッドフォンで立体音響

ワイヤレストランスミッター「WLA-NS7」は、単体でも販売する。発売日はSRS-NS7と同日の10月29日。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は7,000円前後。

SRS-NS7を持っていなくても、WLA-NS7をブラビアXRと接続することで、ソニーの対応ヘッドフォンを利用して立体音響が体験できる。対応のヘッドフォン/イヤフォンは以下の通り。

  • ワイヤレスヘッドフォン
    WH-1000XM4、WH-1000XM3
    WH-XB910N、WH-XB900N、WH-XB700
    WH-H910N、WH-H810
  • 完全ワイヤレスイヤフォン
    WF-1000XM4、WF-1000XM3
    WF-C500
  • ワイヤレスイヤフォン
    WI-1000XM2

ネックスピーカーの立体音響を体験。個人最適化でボーカルがくっきり

短時間だが、SRS-NS7をブラビアXRと接続して立体音響を体験できたので、ファーストインプレッションをお届けする。

首にかけた感覚は、軽量なため肩の上に何かあるという感覚はすぐになれて感じなくなった。首の後ろにくるバンド部分も柔軟に動くため、身体を動かしてもズレることなく安定して装着できる。

まず、3Dサラウンド「切」の状態で動画を再生すると、耳の前下から耳元にかけて辺りから音が聴こえる印象。やはり耳が塞がっていないので、音が遠くの方へ抜けていくように感じられる。トランペットの音や楽器の音などがとくに気持ちよく抜けていく印象。

次に3Dサラウンド「入」にしてみる。まずは平均的な耳の形状の聴感データを利用する初期のモードで試聴。筆者の場合は、この状態でもDolby Atmosのコンテンツを再生すると頭上の方からの音が感じられるくらいに音場が拡がり、雨や雷の音が非常にリアルに感じられた。楽器の音が様々な場所から鳴るシーンも、音が鳴る方向がしっかりと移り変わる様子が感じられ、この時点でもかなり立体感を感じられた。

スマホアプリを利用し、両耳をスキャン。そのデータをブラビアXRへ反映した上で、同じDolby Atmosコンテンツを再生すると、音の高さや音場の拡がりに差はなかったのだが、音がよりシャープになってリアルさが増し、雨や雷の音が実際に現実で聴いているかのように感じられて驚いた。

ステレオのコンテンツも試すため、YouTubeで「六等星の夜/Aimer」のライブ映像を再生。ピアノとボーカルだけのシンプルな構成なのだが、3Dサラウンド「切」の状態では、ピアノの音とボーカルが重なってしまい、あまりボーカルが目立たない印象で再生されていたのだが、3Dサラウンドを「入」にするとその印象がガラッと変わる。

音の方向は耳の前下辺りだったのが、しっかりと前方のテレビから鳴っているように感じられたほか、ボーカルがしっかりと前に出てきて歌詞も聴き取りやすくなり、その後ろでピアノの音もしっかりと響きわたるため、部屋全体に音が響いているように感じられた。

耳の形状によって、個人最適化した際の音の変化は変わるようだが、ネックスピーカーでここまで立体音響が楽しめるのは予想外だった。