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宇宙戦艦ヤマト 2205 後章トークイベント「『3199』の舞台は2207年から」

左から岡秀樹、安田賢司、福井晴敏

3月10日まで劇場上映が行なわれる「宇宙戦艦ヤマト 2205 新たなる旅立ち 後章 -STASHA-」。2日に新宿ピカデリーで開催されたトークイベント・ヤマトーク付き上映会のレポートが到着した。

トークイベントには安田賢司監督、シリーズ構成・脚本の福井晴敏、MCとして脚本の岡秀樹が登壇し、「2205」を振り返った。

まずは、安田が手掛けた絵コンテを元に、その演出のこだわりを紹介。最初に紹介されたのは、第二話の新人クルー訓練シーン。

音楽に合わせて展開することが決まっていた本シーンについて、原作の印象的なシーンを盛り込みながら、情報量の多いシナリオを絵コンテに落とし込むことに苦労したと語る安田。「描きたくても短い時間になってしまい、それに要素も多いのですが、皆さんに何度も見ていただけるだろうという期待も込めて進めました」と振り返る。

次に、本作で印象的なキャラクターの視線にまつわる演出について、安田は「短い尺の中では段取りの説明に時間がかけられませんでした。『ヤマト』では理屈よりも感情を優先した方がいいと思い、段取りは観ている方に感じ取ってもらおうという理由で、視線の演出を使っています」と解説。

岡は「脚本段階では映像をイメージできていないから、絵コンテを見て驚きがあった。シナリオに対して足したり引いたりが、いくつも自然に積み重なっていますよね」と振り返った。

福井は「メカの進行方向や向きにはヤマト側と敵側でセオリーがある。例えば第一話で、土門にとって敵として映るヤマトを、どちらの向きで描くか悩んでいた時に、安田監督は向きを切り替えるという手段をとった。メカも人間の視線に合わせて動かしていいんだ、と勉強になりました」と当時の驚きを語った。

また安田は、もっと入れたかった演出として、第六話で古代が落とした帽子の埃を払うシーンに代表されるような“無言の芝居”を挙げた。「展開の多いシーンとのメリハリがつけられる。薮や土門のように、内省することが多いキャラクターに使いたかったです」と付け加えた。

「2205」での安田の印象について、福井は、コロナ禍もあり混乱した制作環境の中でも芯の通った人だったと評し、また「展開が分かりきっているシーンは省略して、その隙間にストーリーを詰め込んでいくというような、演出の哲学を感じました」と学ぶことも多かったという。

岡も「安田監督の手腕のお陰で、“『ヤマト』は群像劇”ということを再確認できる作品になったと思います」と語った。

初期のメカデザイン案も紹介。中には、安田が描いた自動惑星ゴルバのブリッジの美術イメージも。「メカっぽさを出さず、舞台のようなイメージ。不気味な雰囲気にしたかった」と説明した。美術スタッフに発注する際に、演出意図を伝えるために自らイメージ画を描くのは、たびたび行なうことだという。

最後に安田は「『ヤマト』の勉強からのスタートでした。通常のテレビシリーズにはないボリューム感で、試行錯誤を重ねながらも、喜んでいただけるものに仕上がった。良い経験になりました」とコメント。

福井は「作品は時代に引っ張られるんだなと思いました。シナリオを書いた段階ではコロナの片鱗もなかったが、完成したものを見ると、ストーリーの切迫感や、どうしていいのか分からないというキャラクターの心境はシンクロするものがあり、それが“人の心に残る作品”というものに繋がったと思います」と述べたほか、次回作『ヤマトよ永遠に REBEL3199』について、「『2205』に盛り込めなかった揚羽武や、北野哲也の兄も登場するでしょう。そして、『3199』の舞台は2207年からスタートします」とこぼした。