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テレビで楽しむ「NHKプラス」の魅力。夏からは利用に仮登録
2022年4月26日 08:00
NHKは、ネット配信サービス「NHKプラス」の説明会を開催。4月1日から楽しめるようになったテレビアプリ版(試行アプリ)の特徴や、'22年度から拡充したサービスの概要を改めて紹介した。
NHKプラスは、総合テレビおよびEテレの一部番組をインターネットで同時配信する「常時同時配信」と、放送後約1週間アーカイブ配信する「見逃し番組配信」を組み合わせた、受信契約者向けのサービス。登録すれば、受信契約者は追加料金を払うことなく利用でき、チューナーを持たないPC、スマホ、タブレットでもNHKの番組を楽しむことができるのが特徴。
2020年春のサービス開始から3年目を迎え、ID登録者数が250万件を超えたというNHKプラスだが、今春、利用者からの要望を踏まえ大幅リニューアルを実施。Android TV/Fire OS搭載テレビや外付けデバイス向けにもアプリの提供を始めたほか、総合テレビにおける同時配信の24時間化や地域番組の拡大、そして登録手続きの簡素化を行なった。
“大画面” “高画質” “みんなで”楽しめるテレビアプリ
なかでも最大のトピックが、テレビアプリ版の提供開始。
従来のPC、スマホ、タブレットに加え、アクオスやブラビア、レグザのAndroid TV搭載テレビや、Fire TV Stick、Chromecast with Google TVといったストリーミングデバイスに対応。テレビのような大きな画面で、NHKの見逃し番組を表示できるようになった(同時配信は不可)。
「NHKプラス」ついにテレビ視聴可能に。6月30日までログイン不要
Android TV ※OSバージョンは9または10
・2019年以降に発売したAndroid TV機能搭載 シャープ アクオス
・2019年以降に発売したAndroid TV機能搭載 ソニー ブラビア
・2021年以降に発売したAndroid TV機能搭載 東芝テレビ「レグザ」
Amazon Fire TV ※Fire OSは6または7
・Amazon Fire TV Cube(第2世代)
・Amazon Fire TV Stick 4K
・Fire TV Stick 4K Max
・Fire TV Stick(第3世代)
・Amazon Fire TV(第3世代)
Google Chromecast ※OSバージョンは9または10
・Chromecast with Google TV
司会を務めた中山果奈アナウンサーは、「(サービス開始後)『放送と同じような高精細な映像で観たい』『テレビの大画面で配信が観られないか』という声が多く寄せられていた。今回のテレビアプリはそうした声に答えたもので、従来のスマホアプリと比べ、“大画面”かつ“高画質”で、“みんなで”楽しめるという3つの特徴を持っている。テレビの大画面に映すことで、映画やドラマなどもよりじっくり楽しめる」と、テレビアプリの特徴を説明する。
テレビアプリで提供される見逃し配信番組自体は、PC、スマホ、タブレット向けと共通。ただし、PC・スマホ向けでは最大960×540/1.5Mbps(H.264形式)だった品質を、テレビアプリでは最大1,920×1,080/6Mbpsまで引き上げ、高画質化している(音声品質AACは共通)。
テレビアプリ向けに開発した「操作で迷わない、分かりやすくシンプルでレスポンスのよいメニュー」(担当者)を実現。テレビの大きな表示スペースを生かしたレイアウトを採用し、[検索][プレイリスト]などの各種項目を左側に集約した。
テレビアプリ版ならではの機能としては、マイリスト内の[登録番組]および[番組表]を用意。登録番組は自身の好きな番組・気になる番組を登録しておくと、該当する番組を一覧表示してくれるもの。レコーダーの“録画リスト”的な使い方ができるようになっている。また、番組表では前後10日間の総合・Eテレの番組表をラテ欄形式で表示。番組名を選択すれば、そのまま過去の放送回を再生することができる。
テレビアプリ版が提供開始されて間もないが、スマホなどとは異なる利用傾向も見られるという。その例に挙げたのが、プレイリスト内の「#こどもとたのしむ」。
プレイリストは再生回数などをもとにNHK側が用意するもの。例えば「#こどもとたのしむ」では、「おかあさんといっしょ」や「いないいないばあっ!」などの幼児番組がグルーピングされているが、「スマホなどと比べ、テレビアプリでは幼児番組が多く観られる」傾向にあるという。具体的には、4月11日の週の再生視聴数上位50を見たとき、スマホ・パソコンでは幼児番組が1番組も入らないが、テレビアプリでは11番組もランクインしたという。
中山アナは「『Eテレ番組を一週間遡ってテレビで見られるのは強い』『録画容量を消費せずに済む』『タブレットだと、小さい画面にかじりついて踊れなかった』など、ユーザーから好意見が寄せられていて、テレビアプリと幼児番組の親和性が高いことがわかる。また幼児番組だけでなく、子どもと一緒に大画面で楽しむという意味で教育番組も人気がある。家事や育児など、視聴できる時間は家庭それぞれなので、お子さんのいる家庭にはぜひテレビアプリの利用をオススメしたい」と話す。
ちなみに、中村アナのオススメ番組は「魂のタキ火」とのこと。「[#心のデトックス]というプレイリストでは、『すてきにハンドメイド』『趣味の園芸』など穏やかな時間が流れる番組が並ぶが、その中に、ただ焚き火の映像だけを見る『魂のタキ火』がある。放送時間は朝4時5分で、アプリでなければ絶対に出会えなかった番組。テレビの大画面で、そしてお酒があれば、よりリラックスできる番組ではないかと思う。放送だけでは気が付かないコンテンツに出会えるのも、NHKプラスならでは」とサービスの魅力を話す。
なお、現在提供中のテレビアプリは、動作検証を目的とした“試行アプリ”となっている。そのため、6月30日まではログイン不要・メッセージなしで番組を観ることができるが、7月1日からは正式版アプリが改めて配布されるとともにログイン認証が求められるようになる。正式版アプリでは、ログインしない場合でもメッセージ付きの映像が確認できるのか、またはそもそもメニューも開けないのか、等の具体的な動作に関しては「どのようにするのか、現在開発中」(担当者)とのことだった。
また、今後のテレビアプリ対応機種についても言及。「Android TVやFire OSの対応バージョンを拡大する、あるいは動作確認の機種を広げるなどを順次拡大していく。Android OS以外の機種、例えばビエラやLinuxのレグザなどの機種については、個別に協議しながら開発を進めている」という。
総合テレビの同時配信が24時間化
春のサービスリニューアルに合わせ、4月1日からは総合テレビの同時配信が24時間に拡大。Eテレとあわせ原則、すべての地上波の番組を同時配信・見逃し番組配信できるようになった。
同社担当は「サービス開始時に比べ、配信への理解も高まり、権利の確保のハードルが比較的容易になった。現在総合では放送している番組の9割5分まで、配信できるようになった。ただ、権利が取れず一部映像を切り替えるフタかぶせを行なう場合もある。大きなところでは、春や夏の『センバツ高校野球』が権利許諾の関係で現在配信できていないが、相談は続けている」と話す。
また地域放送局のニュース番組(午後6時台のニュース番組)の配信も拡大。現在配信中の東京、大阪、名古屋、福岡のニュースに加え、4月4日からは、札幌、仙台、広島、松山のニュースもNHKプラス内の[ご当地プラス]枠で観られるようになった。その他の地域放送局のニュースに関しても秋以降、順次配信を開始するという。
広島出身で広島放送局に務めていたという中山アナは、「地元のニュースを見るのはもちろん、コロナでなかなか帰省できない状況の中、家族がいまどのような状況なのか把握しやすく、会話する際の話題にもなる」と地域情報が気軽に見られるメリットを話す。
確認コード廃止。夏以降は契約情報の登録も
ユーザーの利便性向上を目的に、NHKプラス利用時に必要となる登録の簡素化も行なう。
これまでNHKプラスの登録を完了するためには、ユーザーがID登録申請を行なった後、NHK側が受信契約確認をし、「確認コード」記載のハガキを送付。ハガキを受け取ったユーザーはNHKプラスの画面からハガキ記載のコードを入力する必要があった。
NHKは3月末に、確認コードのハガキ送付を廃止。4月からはNHK側で受信契約確認ができた時点で登録完了とし、その旨をハガキまたはメールで伝える方法に切り替えた。
ID登録のパスワード要件も変更。3月末までは「文字種3種以上・文字数10文字以上64文字以下」だったが、4月からは「文字種2種以上・文字数8文字以上64文字以下」とした。今後は、メールアドレスのID利用やパスワードを忘れた際の秘密の質問を任意にするなどの変更も予定しているという。
また'22年夏以降は、NHKプラスの利用にあたり「仮登録」を新たに設置。
NHKプラスを利用するには、メールアドレス、ID、パスワードに加え、住所・氏名などの受信契約者情報の登録を求めるようにする。IDを兼ねたメールアドレスとパスワードを先に入力すれば、すぐに仮登録ユーザーとして、NHKプラスの各機能を利用できるようにする。
仮登録の有効期間は1カ月。期間中の番組視聴にあたっては、再生開始時等に15秒程度、受信契約情報の入力を求めるメッセージを表示する。仮登録の開始は、後日ホームページで案内する予定という。