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NHK受信料値下げ「今秋までに発表」。“ネット受信料”「考えていない」

NHKの前田晃伸会長は、6月2日の会見において、テレビを見ない・ほとんど見ない人向けに、ネットを使って情報を提供する“社会実証”の結果や、受信料の値下げについてコメント。来年度からの受信料値下げについては、「今秋ぐらいまでに、詳細を詰めた上で発表させていただく」とした。

既報の通り、NHKが実施した社会実証は、テレビを見ない・ほとんど見ない人を対象に、文字情報や映像をネットで提供したもの。NHKのニュースサイトや動画コンテンツ、フェイクアラート機能、災害マップなどのサービスを対象者に提供し、高い評価が得られたことや、対象がテレビ利用の少ない層であっても、NHKがサービス提供することの必然性について「一定の理解と支持が得られた」とのレポートを6月2日に公開している。

NHKの“テレビ見ない人”向け配信。「一定の理解と支持得た」

前田会長はこの結果を踏まえ、「秋には社会実証の第二期を行ない、情報の社会的基盤としての役割をこれまで以上に果たす『新しいNHK』につなげていくことが必要だと思いますし、それを目指して参ります」とコメント。

さらに、テレビだけではなく、情報の入手手段が多様化する中で「一言でテレビ離れが進んだと言われていますが、本当にそれで良いのか、それで片づけて良いのか、ということです。若い方々は、私の孫もそうですが、『テレビを見たくない』ということではなく、より簡易な方法で見たいということで、スマートフォンで見たりしています。テレビでなければ見られないという、いまの制度的な制約で、本当に十分な情報提供ができるのでしょうか。公共放送として、いろいろな手段で伝える方法を開発していかないと、見てもらえなくなります」。

「見てもらえなければ情報も伝わらないわけですから、それで本当に良いのかということが確認されたということです。ですから、先ほど申し上げたように、これはNHKの努力不足でもあるということです。民放以上にNHKにとってかなり大きな問題だと思います。民放の方が若者の支持も多いですし、なぜNHKだけが支持されないのかを冷静に考えなければいけないということです」とした。

NHKの肥大化への懸念については、「収支がプラスになって剰余金が貯まる状態が続く場合には、基本的に受信料の値下げという形で還元する仕組みを、先ほど改正放送法を審議する参議院総務委員会でも説明してきました。その仕組みを入れると自動的に肥大化することにはなりません。ある意味では歯止めがかかる仕組みです。その状況で逆に値上げすることはものすごく難しいということを十分認識していますので、肥大化と言われる状態になることはもうないと思います」と説明。

さらに、「日本全体で世帯数が減る状況で、NHKだけが伸びるということはあり得ないわけですし、民放との二元体制の中で、肥大化の批判ということにはならないと思います」と語った。

ネットサービス拡充により、“インターネットを利用できる環境にある人が受信料を支払わなければならなくなるのでは”という不安の声がある事については、「受信料制度については、我々が勝手に決められる問題ではありません。現在、インターネットだけを見ている人から受信料をいただくことは考えていません。(今後、視野に入ってくるかと問われ)いえ。考えていないので視野にも入っておりません。社会実証をして何かお金を取りたいと言っているわけではなく、社会実証は、実態がどうなっているかを調べようということです。お金をいただくのが目的ではありませんし、全然違う話だと思います」とした。