ミニレビュー

「NHKプラス」ついにテレビ視聴可能に。6月30日までログイン不要

テレビ向けアプリの「NHKプラス」を起動したところ

NHKのネット配信サービス「NHKプラス」が、4月1日からAndroid TVやFire TV、Google Chromecastに対応した。つまり、テレビでNHKプラスが楽しめるようになった。編集部が1日朝に確認したところ、アプリが配信されているのを確認したので、さっそくインストールしてみた。

NHKプラスは簡単に言うと、NHKの地上放送テレビ番組(総合テレビやEテレ)を、インターネットで同時配信する「常時同時配信」と、配信したそれらの番組を放送後1週間いつでも見ることができる「見逃し番組配信」を組み合わせたもの。これまではパソコンのWebブラウザや、スマートフォン、タブレットで利用できたが、4月からテレビでも楽しめるようになる。ただ、詳細は後述するが、テレビ向けのアプリでは見逃し配信のみの視聴となり、サービス内容に違いがある。

テレビ向けのアプリが利用できるのは、OSとしてAndroid TV OS 9/10、Fire OS 6/7を採用したテレビ、もしくは外付けデバイスだ。NHKが発表している「動作確認機種」は以下の通り。

  • Amazon Fire TV
    Amazon Fire TV Cube(第2世代)
    Amazon Fire TV Stick 4K
    Fire TV Stick 4K Max
    Fire TV Stick(第3世代)
    Amazon Fire TV(第3世代)
  • Google Chromecast
    Chromecast with Google TV
  • Android TV
    2019年以降に発売したAndroid TV機能搭載アクオス
    2019年以降に発売したAndroid TV機能搭載ブラビア
    2021年以降に発売したAndroid TV機能搭載レグザ
左からChromecast with Google TV、Amazon Fire TV Cube(第2世代)
Amazon Fire TV Cube(第2世代)のアプリインストール画面

今回編集部では、Amazon Fire TV Cube(第2世代)と、Chromecast with Google TVにNHKプラスのアプリをインストールしてみた。

アプリを立ち上げるとまず、このテレビ向けアプリが「動作検証のために公開している」という趣旨のメッセージが表示され、6月30日までログインせずに利用できると案内される。パソコンやスマホ版で同サービスを利用している人にはすでにお馴染みだが、NHKプラスの利用には利用登録やログインが必要となるが、6月30日まではそれらが不要で、単にアプリをインストールして起動すれば、サービスが使えるという状況だ。

一方で、今回のアプリは動作検証用のため、このアプリを使ったユーザーからの意見を反映した正式版アプリが改めて配布され、その正式版アプリではログイン認証が求められる予定だ。

6月30日までログインせずに利用できる

利用規約やプライバシーノーティスに同意すると、ホーム画面が表示される。左側に「検索」「ホーム」「マイリスト」「プレイリスト」「ご当地プラス」「番組表」というメニューが並び、それらを選択した際のコンテンツが右側に表示されるというレイアウトだ。

ホーム画面

起動してすぐ気がつくのは、パソコンやスマホ版では現在放送中の番組が一番最初に表示されるのに対して、テレビ向けアプリではおすすめの番組が表示される事。これは前述の通り、テレビ向けのアプリでは見逃し配信のみの提供となり、現在放送中の番組のリアルタイム配信は視聴できないため。“リアルタイムの番組はテレビのチューナーで見てください”ということだろう。

この考え方は「番組表」を選んでも貫かれているのがわかる。総合とEテレの番組表が表示されるのだが、再生できるのは放送が終わった番組だけで、現在放送中の番組を選択すると「放送終了後に配信します」というメッセージが表示される。

「番組表」画面。現在放送中の番組を選択すると「放送終了後に配信します」というメッセージが表示される

ホーム画面では、多くの人に視聴されている番組や、連続テレビ小説「#カムカムエヴリバディ」、ニュースの「#ウクライナ情勢」といった、テーマにマッチする番組をまとめたプレイリストが並ぶ。

個々の番組を選択すると、再生開始や、番組登録ボタンが登場。再生ボタンで、その番組の見逃し配信が冒頭から視聴できる。番組を登録すると、それがマイリストに追加されていくというカタチだ。

番組の詳細画面
番組を再生しているところ
番組を登録したところ

マイリスト内にある「マイキーワード」は、登録したキーワードにマッチする番組を検索し、自動的に登録してくれるもの。

試しに「チコちゃん」と登録すると
チコちゃんに叱られる! が登録された

「ご当地プラス」は、北海道エリア、東北エリアと、他の地域で放送されている番組の見逃し配信を集めたメニューだ。

これらの機能を使って見逃し配信番組を探していくのが基本的な使い方だが、「検索」メニューでは、文字入力で目当ての番組を探す事もできる。Fire TV Cube(第2世代)とChromecast with Google TVのリモコンから、音声入力での検索も可能だった。

レスポンスは良好だが、操作性にはやや難あり

実際に大河ドラマなどを再生してみたが、選択から再生開始までのレスポンスなどは良好。ニュースなどをスマホやパソコンでサッと確認するのも便利だが、やはりドラマなどはテレビの大きな画面で鑑賞すると面白さもアップする。

一方で、操作していて気になる部分もあった。番組を全画面で表示中に、リモコンのカーソルボタンの右ボタンや左ボタンを押すとスキップするのだが、長押ししても早送り/巻き戻しにならない。

カーソルの下ボタンを押すと、番組詳細画面になるのだが、その画面で右や左を押すとシークバーが表示され、早送りや巻き戻しができる。要するに、「大きく早送りしたい時は詳細画面に戻ってから早送り」という操作になっており、やや面倒だ。

大きく早送り、巻き戻しする場合は番組詳細画面から行なう

また、詳細画面から設定に移動すると、音声切り替えや字幕表示などを切り替えられるのだが、この設定画面に倍速設定も含まれており、0.75倍速、1.25倍速、1.5倍速、2倍速再生から切り替えられる。機能があるのは嬉しい事だが、詳細画面に戻らなくても再生速度を切り替えられるようにして欲しい。こうしたポイントは、正式版のアプリで改善して欲しいところだ。

設定画面に倍速設定も含まれており、0.75倍速、1.25倍速、1.5倍速、2倍速再生から切り替えられる

いずれにせよ、テレビでもNHKの番組の見逃し配信が気軽に楽しめるようになったのは大きい。今までの“手軽に楽しめるNHKプラス”が、“テレビの前でじっくり楽しめるNHKプラス”に変化しそうだ。

山崎健太郎