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BS8K/22.2ch音声対応のマルチchアンプ登場。ZR1のAtmos変換デモも

マルチチャンネルアンプ「PA-1853」

オーディオ・ビジュアル関連の展示会「OTOTEN2022」が、有楽町にある東京国際フォーラムにて開幕した。2019年以来のリアル開催となり、今年は6月11日・12日の2日間に渡って開催される。

国内外50社超のメーカーが出展。各ブースでは、新製品の展示やセミナー、試聴会が多数行なわれている。主催は日本オーディオ協会で、入場は無料(要事前登録)。セミナーの模様は、コルグのLive Extremeを使いハイレゾ・ライブ配信(無料)されている。

本記事では、ロビーギャラリーと5階フロア(一部)の注目展示を中心にレポートする。

アストロ、32ch対応のマルチチャンネルアンプ「PA-1853」

地下1階のロビーギャラリーでは、アストロが先日発表した32chマルチチャンネルパワーアンプ「PA-1853」が展示されている。価格は275万円。

PA-1853は、32本のパッシブスピーカーを駆動できる32chマルチチャンネルパワーアンプ。24個のMPEG4-AAC 22.2chデコーダーを内蔵しており、NHK BS8K放送の22.2ch音声に1台で対応できるのも特徴。HDMI2.1入力×2、HDMI2.1出力×1(eARC)に加え、PCM最大64chをサポートするMADI/Dante入出力も備える。

PA-1853の前面

独自のバイノーラルミックス機能も搭載。自社の高速信号処理技術を使い、最大96kHz、4,096taps×32ch×LRを約25GHzで畳み込み演算。すべてを時間軸で処理することで、低遅延、音色の変化を最小限にすることができるという。

またヘッドフォンでのバイノーラル再生に加え、前方スピーカーだけで仮想的にサラウンド音場の再現が可能。HRTF(sofa/wav)ファイルの読み込みにも対応し、個人最適化も実現した。ほかにも、最大32系統の独立したミックスが作成できる音声ミックス機能、外部マイクを使って自動音場補正が行なえるスピーカー調整機能も容易。

機能だけでなく、音質にも注力。日本製低ESR電解コンデンサ、フィルムコンデンサを採用しており、チャンネル毎に大型キャパシタを搭載することでスピーカーを強力にドライブできるとする。専用リモートボックス(RB-1853)も付属する。

専用リモートボックス(RB-1853)

外形寸法/重量は、本体:430×380×177mm(幅×奥行き×高さ)/14kg、リモートボックス:252××133×34mm/0.8kg。

リアル22.2ch音声の8K放送デモ。ZR1のAtmos変換も実演

NHKのブースでは、NHK BS8Kの8K映像と22.2ch音響が体感できるデモを開催している。

8Kリビングシアターでは、シャープの8KテレビとKEFの22.2chスピーカーシステムを使い、「ウィーン・フィル演奏会」や「「長岡の大花火」、「ゴスペラーズの響歌」といった実際の8K番組を上映。

8Kリビングシアター

さらに、昨年発売されたパナソニックの4K BDレコーダー「DMR-ZR1」を利用したマニアックなデモも実施。

具体的には、ZR1の「22.2ch→Dolby Atmos変換機能」を使い、5.1chで通常再生した場合と、会場設置のAtmos環境(ヤマハSPシステムで4.1.4ch)で変換再生した場合のサラウンド感を比較できるというもの。8Kドラマ「スパイの妻」を試聴すると、5.1chでは気が付かなかった、ハイト方向の情報量の多さに驚くほどで、Atmos変換のメリットを多分に感じることが出来るものだった。

ZR1の「22.2ch→Dolby Atmos変換」デモも
センターレスの4.1.4chで再生

ブース内では、アストロデザインが開発した22.2chスピーカー搭載チェア「TamaToon」、そして11.2chスピーカー搭載チェア「VRS-1」も展示。

TamaToonのデモでは、前述のマルチチャンネルパワーアンプ「PA-1853」が使われており、システム総額は600万円超えという、贅沢なプライベートシアターが味わえるようになっていた。

22.2chスピーカー搭載チェア「TamaToon」
内部
11.2chスピーカー搭載チェア「VRS-1」
内部

dtsは「IMAX Enhanced」「DTS Play-Fi」を訴求

dtsブースでは、一部配信サービスで採用されている「IMAX Enhanced」と、「DTS Play-Fi」のデモを披露。

IMAX独自の映像、サウンド、スケールを家庭で楽しめるというIMAX Enhancedは、デジタルリマスターされた4K HDRコンテンツとDTSオーディオテクノロジーを、高品位なAV製品と配信サービスを組み合わせたプログラム。またPlay-Fiは、ワイヤレスネットワークと対応テレビ、そして対応スピーカーのコンビで実現できるdtsのワイヤレスサラウンドで、無線LAN環境においても、サラウンド音声をロスレスオーディオ(最大192kHz/24bit)で対応機器に出力できる特徴を持つ。

dts:X対応のAVアンプも展示

会場ではIMAX EnhancedとDTS Play-Fiの体験会を交互に実施。2日目には、オーディオ評論家の麻倉怜士氏によるIMAX Enhancedの魅力を語るトークショーも予定されている。

ソニー360RA対応アプリ「WOWOW Lab」。「ωプレイヤー」上映も

WOWOWブースでは、2つのアプリ「WOWOW Lab」と「ωプレイヤー」のデモが体験できる。

WOWOW Labアプリは2021年12月にリリースしたスマホ向けの実験用アプリで、大橋トリオ、T-SQUAREなどのアーティストが出演する音楽番組をソニー360RAの立体音響で視聴できるというもの。

一方のωプレイヤーは、高音質な動画配信サービスを再生するためのアプリ。具体的には、MacまたはiPhoneで利用可能で、WOWOWのハイレゾ・3Dオーディオ(Auro-3D/HPL+MQA)コンテンツをオンデマンドか生配信で視聴できる。

会場では、ωプレイヤーを外部DACに接続し、Auro-3Dの陣形にセッティングしたGENELECスピーカーを使ってハイレゾ・3Dオーディオが体験できるデモを実施していた。

会場入口には、1952年開催の第1回全日本オーディオフェア(現在のOTOTEN)で行なわれたという「中波ラジオ放送2波を使ったステレオ放送実験」の再現も。NHKラジオ第一放送から流れるLチャンネルと、第二放送から流れるRチャンネルを、2台のラジオを使ってそれぞれ受信。来場者に対し、ステレオ体験させるデモを行なっていたという