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LTA、出力トランスを搭載せず、静電型ヘッドフォンも駆動できるアンプ

「秋のヘッドフォン祭2023」で展示された「Z10e」

完実電気は、10月から取り扱いを開始したLinear Tube Audio(LTA)の新製品として、静電型ヘッドフォンも駆動でき、スピーカーも鳴らせるアンプ「Z10e」を発売する。価格は110万円。

「Z10e」

LTAは、2015年に米ワシントンD.C.郊外で設立。創業者のMark Schneider氏が、「音楽の持つ生命を取り戻されるような再生」を掲げ、ヘッドフォンアンプ、プリメインアンプ、パワーアンプ、プリアンプなどを手掛けている。

同社テクノロジーのコアとなっているのが「ZOTL Technology」。David Berning’s complex designの特許技術で、David Berning氏が1996年に開発し、ZOTL Impedance Converterを採用した技術。FET抵抗によるインピーダンス変換方式によるインピーダンスコンバーターと高出力真空管アンプを組み合わせ、出力トランスの特性に左右されない、優れたリニアリティーとワイドレンジ(6Hz~60kHz, +0,-0.5dB, 8Ω)再生を実現するというもの。

この技術は生産が非常に難しく、現在でも、Mark氏自身が生産に携わっているだけではなく、David Berning氏も初期ロットの品質保証検査に立ち合い、製品の品質を自らも確認しているとのこと。

Z10eも出力トランスを搭載しないため、出力トランスの特性や、相互変調歪の影響を受けない利点がある。NOS(New Old Stock)真空管「12AT7」×2、「12AU7」×4をプリ段に、「EL84」×4をパワー段に搭載。高電圧低電流で動作するため、優れたダイナミクスとドライブパワーが実現する一方で、真空管の寿命も安定(通常設定される電圧は2倍以上、電流は1/3以下に設定)するという。

様々なヘッドフォン、スピーカーを安定してドライブできるというローインピーダンス回路を採用。インピーダンス変換方式により、入力信号を250kHzまで変調させ、独自開発されたローパスフィルターを通すことで、歪の改善とノイズシェイピングを実現している。

8bitデジタル・ステップ・アッテネーターをボリュームに採用。ダイナミックレンジ-128dBを実現した。デフォルトで100steps、ハイレゾで199stepsのボリュームセッティングが可能(リモコン)。

安定したコントロール電源の供給を実現するため、電源ユニットには大型トロイダルトランスを採用。スイッチングパワーサプライ回路をマイコン等のコントロール回路とオーディオ回路にそれぞれに割り当てている。

電源ユニットは別筐体になっており、熱伝導がよく、基板上の干渉にも優れ、低膨張率のセラミック基板を採用。筐体内での温度上昇や干渉を抑え、安定したパフォーマンスを実現するという。

入力は3系統で、RCA×2、XLR×1。出力も3系統で、標準×2(HIGH/LOW)、静電型(580v)×1、スピーカー用ターミナル×1を備える。

外形寸法と重量は、本体が40.6×40.6×13cm(幅×奥行き×高さ)で7.5kg、電源部が20×18.3×9.5cm(同)で4kg。