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野村ケンジ監修、平面駆動 + BAで19800円のイヤフォン「月 - Moon - 」

「月 - Moon - 」

ベタベタは、野村ケンジ氏監修イヤフォン第二弾「月 - Moon - 」を9日に自社サイトInitail A storeで販売する。標準モデルの価格は19,800円。野村氏協力のもと、音にこだわったものづくりに挑戦していくコミュニティ「#オトモノ」を運営するベタベタの自社ブランドイヤフォン。

平面駆動型ドライバーとバランスドアーマチュアを搭載したハイブリッド構成。2023年5月31日に終了したクラウドファンディングでは、204名から2,797,580円の支援額が集まった。「クラウドファンディングモデルでいただいたご指摘などを改善しているモデル。今回ORB社のケーブルセットモデルは、音質も良くみなさまに喜んでいただけると思います」としている。

ラインナップとして以下を用意する。

  • 標準モデル:19,800円
  • 標準モデル+Clear force Light MMCXケーブル 3.5φ:26,180円
  • 標準モデル+Clear force Light MMCXケーブル 4.4φ:26,180円
  • 標準モデル+Celestial force C4 MMCXケーブル4.4φ:48,180円
ORBのCelestial force MMCX C4 MMCX 4.4φと月 - Moon -のセット品
内部構造
野村ケンジ氏による製品レビュー

実はイニシャルAブランドのファーストモデルになるはずだった「月 -MOON-」がいよいよ登場します。こちらに採用されている10mm口径のプラナードライバーは、ジェントルな音色傾向と音場的な広がりがスムーズな素性のよいキャラクターを持ち合わせていて、フルレンジドライバーとしても充分に活用できますが、BAドライバーの組み合わせによって更なるクオリティアップを果たしています。

まず、ヴォーカルは程よい距離感で、声がとても自然な印象です。宇多田ヒカルはちょっとだけ鼻にかかった甘やかな、安月名莉子は特徴的な歌い回しのよさがしっかりと伝わる伸びやかな歌を楽しませてくれます。米津玄師も僅かにハスキーな、落ち着きある歌声を聴かせてくれます。

いっぽう、帯域バランスはフラット志向ながら、低域がローエンドまでしっかり伸び、かつ量感も充分に確保されているので、Jポップ系を聴いても迫力が損なわれることはありません。なかなか絶妙なバランスに纏まったと思います。

もうひとつ、「月 -MOON-」ならではの特徴といえるのが、プレーヤーやアンプの特徴がストレートに反映されることです。付属品レベルのDACケーブルでも小気味よく清々しいサウンドを奏でてくれますが、SNのよいプレーヤーや駆動力のあるアンプと組み合わせることで仾変し、活き活きとした、それでいて繊細なニュアンス表現がしっかり伝わる、魅力的なサウンドを聴かせてくれるようになります。懐の深い実力の持ち主、といえばいいのでしょうか。幅広い製品で楽しむことができる製品だと思います。とはいえ、AK「SP3000」やLUXURY & PRECISION「P6Pro」との組み合わせは格別なので、皆さんもチャンスがあったらぜひ聴いてみてください。

ケーブルは、製品としては付属している銀コート線にてトータルバランスをとっているものの、ORBケーブルとのセットによって更にクオリティアップしたサウンドが楽しめます。

「Clear force Light」との組み合わせでは、ぐっとフォーカス感の高まってくれるため、ダイレクト感の高い明瞭なサウンドに生まれ変わります。おかげで、ヴォーカルそれぞれの歌声の魅力がしっかりと伝わってくれます。低域も充分な量感を保ちつつもキレがよくなり、いちだんとリズミカルな演奏に感じられます。手持ちのシステムにもよりますが、SNのよさから4.4mmバランスをオススメしたいところです。

ORB「Celestial force C4」との組み合わせでは、さらに音色傾向が変わります。ひとことで表すならば“ジェントルな音色とバランス”。丁寧なディテール表現、量感タップリだけど聴き心地よい低域、整った帯域バランスと、「月 -MOON-」ならではの音の魅力を最大限引き出してくれます。「月 -MOON-」本体よりもケーブルのほうが高価というアンバランスなセットのため万人にお勧めできるものではありませんが、「月 -MOON-」のコスパの高さを改めて実感させられる組み合わせだともいえます。

イヤーチップは、付属するADV.の楕円タイプ「Eartune Fidelity U」は相性抜群ですが、水月雨(MOONDROP)の「清泉 -Spring Tips」やAZLAの「SednaEarfit MAX」あたりもオススメです。是非、こちらもチャレンジしてみてください。

最後に。「月 -MOON-」の音については、発売が遅れてしまうくらい色々と口出しさせていただきました。結果として、人によっては大いに気に入ってもらえるだろう(もちろん好みに合わない人も少なからずいると思います)、いい意味で既存のイヤフォンとは一線を画す外観とサウンドを持つ製品に仕上がってくれたと思います。機会があったら体験してみてください。

高純度チタニウムを使った経緯について

軽くて丈夫な素材のチタンですが、イヤフォンのハウジングとして採用されるケースはこれまでもありました。私たちは、チタンを加工すると玉虫色に色が変化する特性を使ったイヤフォンが市場にほとんどない(おそらく無い)と思い、透明なレジンでチタン部分を挟むようなデザインで一部チタン部分が見えるようなデザインにこだわりました。

左の写真は、チタン本来の色 中央はチタンブルーになった状態 右は採用した加工
商品化までと販売価格を変更した経緯

商品化するにあたり、クラウドファンディングを2023年3月21日から5月31日まで実施しました。原価計算をしていたのが2023年1月だったのですが、ドルが130円前後で当時はまた円高に進んでいくだろうと思っており、12,800円を最安の価格でクラウドファンディングを実施し一般販売価格も16,800円で良いだろうと思っておりました。ところがどんどん円安に進み当初予定よりも約1.2倍ほど原価が高くなってしまい。今回価格を19,800円とさせていただきました。また円高に進み130円を下回ったあたりで価格改定をしたいとは思います。

また、商品自体も今回クラウドファンディングモデルから改善させていただきました。透明の樹脂ですと接着剤の糊後が目立っていると取り扱いを断られてしまった為、急遽糊と樹脂を改善し再生産して今回の販売となりました。

今後のイヤフォンラインナップ予定と売上目標に関して

2月から新たにインナーイヤー型のハイブリッドイヤフォン「秋 - Aki - 」のクラウドファンディングでの先行予約販売を予定しております。詳細は追ってご連絡いたしますが、 Inital A初のダイナミックドライバーとバランスドアーマチュアのハイブリッド構成となっております。

また、14mmの平面駆動ドライバー搭載の結が好評でしたので結のインイヤーモニタータイプやモデルチェンジも現在試作品を作っています。Initial Aとして2024年は結、月、THE韻、秋と4モデルのラインナップとなり、新商品もいくつか控えておりますので、売上目標として年間1000万円を目標にしております。