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FIIO、HDMI ARC対応の最上位デスクトップオーディオ「K19」

「K19」

エミライは、FIIOのデスクトップオーディオシステム「Kシリーズ」より、HDMI ARCに対応した「ES9039SPRO」デュアル構成のフラッグシップモデル「K19」を、5月31日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は247,500円前後。カラーはBlackとSilverの2色。

ESS製の次世代フラッグシップDACチップ「ES9039SPRO」をデュアル構成で採用し、最大768kHz/32bitまでのPCM、DSD 512のネイティブ再生に対応する。ES9039SPROは1基あたり8ch分のDAC回路を搭載し、最新のHyperstream IVアーキテクチャによって、さらなる高音質化を図った最高峰チップ。

K19では、その性能を最大限に活かすため、左右のチャンネルに1基ずつ使用することで、「極めて情報量豊かで歪みのないオーディオ再生を実現した」という。

信号の増幅時に発生する歪みを補正する高品質なフィードフォワード技術を備え、あらゆる能率のヘッドフォン再生において、理想的なディテールとダイナミクスを提供するべく、FIIOとTHXが共同で開発したアンプ回路技術「THX-AAA 788+」アーキテクチャを採用。片チャンネルに計4基のアンプ回路を搭載し、チャンネルあたり最大8,000mW(32Ω負荷時)の高出力を実現した。

オーディオ回路は、DACからI/V変換、ローパスフィルタ、ヘッドフォンアンプに至るまで、左右のチャンネルで分けられた回路に差動信号の入力を徹底するフルバランス設計を採用する。主要ブロックには「OPA2211」や「OPA1602」といった高精度のオーディオグレードオペアンプを投入し、高ダイナミックレンジと低クロストークを実現、信号忠実性に優れた高品位なオーディオ再生を可能とした。

31バンドの高精度ロスレスPEQ(パラメトリックEQ)機能を実装するため、ADI製「ADSP-21565」DSPチップを搭載する。この「ADSP-21565」は、「SHARC+コア」を内蔵することで、64ビットの浮動小数点演算に対応し、最大800MHzの動作クロックを実現する、オーディオ用途向けの高速演算プロセッサだという。

このDSPチップを搭載することで、サンプリングレート変換を一切行なわずにPCM44.1~192kHzまでのオーディオ信号をダイレクトに調整可能。DEL(Dual Engine Limiter)テクノロジーも搭載しており、独自アルゴリズムによるダイナミックレンジの圧縮や拡大、クリッピングを回避するためのリミッターなど、さまざまな機能を有効にできる。PEQ設定はインポート/エクスポート可能なため、ユーザー間でおすすめの設定を簡単に共有できるとのこと。

「K19」(Silver)

DAC内蔵ヘッドフォンアンプのフラッグシップモデルにふさわしいジッター対策を施すため、ジッターをフェムト秒(1000兆分の1秒)クラスまで抑制できるAccusilicon製「AS318-B」超低位相雑音クロックジェネレーターを2基搭載する。45.1584MHzと49.1520MHz、2系統のクロックから、入力されたソースに応じて最適なクロックを用いることで、入力されたオーディオデータを正確に復元し、録音に極めて忠実なD/Aコンバートを行なう。

デジタルデータ処理の要として、FIIO製品として初めてクアッドコアのFPGAを採用。USB、RCA同軸、光デジタル、Bluetooth、ARC、そしてDSPチップから入力されたデジタルデータの高品質な処理を行なう。入力されたデータは、FPGA内でデジタルオーディオ信号としてDACがもっとも真価を発揮しやすいよう緻密に処理され、2基の「ES9039SPRO」DACチップにI2S伝送される。

このFPGAを用いたデジタルデータ処理によって、K19は「データ処理の過程で発生してしまう歪みや損失を極限まで抑制する」とのこと。

デジタル回路とアナログ回路を完全に絶縁するために、各回路をふたつの異なる基盤上に配置することで、相互干渉を排除。DSPモジュール部とデジタルデータ処理部をアルミニウム合金によって分離しているほか、DAC部、DSPモジュール部、ヘッドフォンアンプ部といった主要な回路ブロックにはシールドを施すことで、クロストークや外部ノイズの干渉を極限まで抑制している。

「K19」(Black)

電源は、低ノイズ、高効率、長寿命を誇る産業用レベルの新型40W電源を搭載するほか、外部DC電源からの給電にも対応。高性能DCパワーサプライと組み合わせてのアップグレードもできる。デジタル回路とアナログ回路への電源を分離して供給する設計となっており、こちらも音質に悪影響を及ぼす相互干渉やクロストークを抑制している。

またアナログ回路への電源供給は各回路ブロックごとに、細かく、段階的に行なう設計で、各回路ブロックへの電源供給に高精度LDOレギュレータを用いることで、クリーンで安定した電源供給を行なう。

HDMI入力とARC対応のHDMI出力を各1系統搭載。映像コンテンツの音声を高音質化することができる。そのほか入力はUSB Type-C×2、Bluetooth、同軸デジタル、光デジタル。USBコントローラーはXMOS製「XU316」を採用する。

BluetoothチップはQualcomm製「QCC5125」で、Bluetooth 5.1に対応。SBC、AAC、aptX、aptX LL、aptX HD、atpX Adaptive、LDACの受信に対応する。

出力は4ピンXLR、6.3mm標準、4.4mmバランスを本体前面に、同軸デジタル、光デジタル、RCAライン、3ピンXLRバランスラインを本体背面に搭載。出力モードとして前面/背面の音声出力と音量調整が有効になる「PO+PRE OUT」、前面のヘッドフォン出力と音量調整が有効になる「PO」、背面の音声出力と音量調整が有効になる「PRE OUT」、背面の音声出力が有効になり音量調整は無効(最大音量で固定)となる「LO」の4種類を搭載。

本体前面にはディスプレイや2個のノブ/ボタンを装備

本体前面には1.3型のTFTディスプレイと、メニュー用とボリューム用の計ふたつのノブ/ボタンを備える。

筐体はハニカムメッシュデザイン

筐体はアルミダイキャスト鋳造で成形されたシャーシをCNCマシンで磨き上げた、高精度な一体成形フレームを採用。薄さと制振性、耐久性を兼ね備えており、「視覚的にもフラッグシップモデルに相応しい質感を表現する」という。付属スタンドを使えば縦置きも可能。

放熱構造は、回路上のICチップに直接触れる熱伝導材と、アルミニウム合金製の外部フレームにより構成。素子の発熱を外部フレームまで効果的に伝導し、独特なハニカムメッシュデザインが対流による放熱を促す。この放熱構造により、ユーザーは加熱によるパフォーマンスの低下を気にせず、音楽に集中できる。

外形寸法は約250x225x36.7mm、重さは約1,800g。各種ケーブルやスタンド、インシュレーター、縦置き時に使えるヘッドフォンハンガーなどが付属する。