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Technics、新開発モーターとΔΣドライブ採用ターンテーブル「SL-1300G」

「SL-1300G」(シルバー)

パナソニックは、Technics(テクニクス)ブランドより、新開発のツインローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーターを採用したターンテーブル「SL-1300G」を、10月下旬に発売する。価格は396,000円。カラーはシルバーとブラックを用意する。

新技術によって実現した高音質と、洗練されたデザイン・操作感を両立させ、デザインと音質の両方にこだわりのあるユーザーへ向けて開発したというモデル。

微小振動の徹底的な排除を目的にモーター設計を見直して、ツインローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーターを新たに開発。コイルを取り付ける基板にリファレンスクラスのターンテーブル「SL-1000R」と同様の両面基板を採用し、補強パターンを備えることで剛性を高めている。

シルバー
ブラック

モーターの回転制御は、Blu-rayディスク機器の開発で培った最新のモーター制御技術を応用したといい、起動時の強いトルクが必要な区間と、速度が定速に達し慣性回転を利用する区間で、異なる駆動モードに切り換えることで一定の速度を保ち、強いトルクと高安定性を実現した。

回転数の検出には、ニッケルと銅のクラッド材料を用いて、エッチングで生成した高精度なスリットを持つ光学式エンコーダーを採用し、高精度な回転数検出を実現。スリットの加工精度のバラつきは1台1台学習・補正することで、さらに正確な回転を実現したとのこと。

フルデジタルアンプ開発で培ってきた高音質技術を応用したモーター駆動技術「ΔΣ-Drive」も採用。従来からΔΣ変調の次数を上げることで、モーターの振動を低減する効果をさらに高めている。

コアレス・ダイレクトドライブ・モーター

レコードを載せるプラッターは、アルミダイカストと真鍮製ウェイトを強固に一体化し、不要共振を排除するデッドニングラバーを裏面全体に貼り付けた3層構造で、高い剛性と優れた振動減衰特性を両立。固有振動の異なる異素材を組み合わせた重量級のプラッターとなっており、既発売の「SL-1200GR2」と比べ、重さは1.4倍、イナーシャ(慣性重量)は1.6倍だという。

プラッターは、高精度な専用バランス調整機を使って一品一品バランス調整し、調整済みを示す「BALANCED」のシールが貼り付けられた状態で出荷される。

基板

これらダイレクトドライブ・モーターやプラッターを支え、さらに外部からの振動も軽減するシャーシも大幅な高剛性化が行なわれた。

BMC(バルク・モールディング・コンパウンド)とアルミダイカストシャーシを強固に一体化した2層構造で、アルミダイカストシャーシは、モーター/トーンアーム部の間に補強のリブも追加され、剛性が高められている。これにより「モーターが発する微振動のトーンアーム部への影響を低減している」とのこと。

筐体を支えるインシュレーターは、高い振動減衰特性と長期の信頼性を兼ね備えた特殊シリコンラバーを採用。高剛性一体加工ボルトとともに成型された構造で縦方向の振動を、マイクロセルポリマーによる円筒型のチューブで横方向の振動を抑制する。これらの部品は、強化樹脂製ハウジングに収納される。特殊シリコンラバーの硬度は、本体重量に合わせて専用チューニングされている。

本体デザインは、シンプルで快適な操作ができるというTechnics伝統のレイアウトはそのままに、シンプルモダンなデザインを採用。シルバーとブラックの2色を展開し、トーンアームベース周囲の要素をベースカラーで統一することで、品位の高い仕上がりにしたという。

トーンアームは、Technics伝統のスタティックバランス型のユニバーサルS字形トーンアームを継承。トーンアームパイプの素材には軽量で剛性に優れたアルミニウムパイプを採用した。ジンバルサスペンション構造のトーンアーム軸受け部には、切削加工のハウジングを使用した高精度ベアリングも使用。

また、レコードの盤面に刻まれた信号を読み取るトーンアームでは、わずかな動きにも敏感に反応する感度の高さが重要だとして、トーンアームは熟練した職人の手によって組み立て・調整を行なうことで、高い初動感度を実現している。アーム有効長は230mm、オーバーハングは15mm。

組み合わせるカートリッジに合わせて水平バランスを調整するためのウェイトは、標準に加えて、補助ウェイト大・小の2種類が付属。補助ウェイト小使用時の適用カートリッジ重量は18.7~25.1g(付属ヘッドシェル含む)、補助ウェイト大使用時の適用カートリッジ重量は23.0~28.5g(同)で、幅広いカートリッジに対応する。なお、製品にカートリッジは付属しない。

出力はケーブルの着脱が可能なPHONO端子を採用。端子部には音質劣化が少ない金メッキを施した。端子部のケース内は金属シールド構造となっており、外来ノイズ混入の影響を低減している。そのほかPHONOアース端子も備える。

回転数は33 1/3、45、78回転。消費電力は電源ON時で10W。外形寸法は453×372×173mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約13kg。

端子部