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Netflixが「HDR10+」配信開始。年末までに全HDRタイトルで提供へ

Netflixは、25日更新のTech Blogにて、「HDR10+」フォーマットのコンテンツをAV1対応デバイス向けに提供開始したことを明らかにした。より多くの利用者が動的メタデータ付きのHDRコンテンツにアクセスしやすくなるのに加え、視聴体験の向上とコンテンツクリエイターの創作意図が維持される、という。同社は、今年末までにすべてのHDRタイトルでHDR10+形式も提供する予定。

Netflixは、2018年にドラマ「マルコ・ポーロ」でHDR配信(HDR10、Dolby Visionフォーマット)を開始。過去5年間でHDR配信は300%以上増加し、NetflixのHDR配信が楽しめるデバイスの数も2倍以上に拡大した。現在では11,000時間以上のHDRタイトルをラインナップしている。

今回新たに追加されるHDR10+は、2017年にパナソニック、サムスン、20世紀フォックスが起ち上げたHDR規格のひとつで、Dolby Visionと同様、動的メタデータを持つのが特徴。

コンテンツ全体に対して一つのメタデータしかない静的メタデータ(HDR10)と異なり、動的メタデータは、シーンごとに輝度の統計情報を持っている。これにより、輝度が全く異なるシーンが前後にある場合でも、ディスプレイが統計情報を活用し最適なトーンマッピングを実行。結果、コンテンツの全てのシーンにおいて、ディスプレイが最適なコントラストで映像を描写できるようになる。

静的メタデータ「HDR10」の場合
動的メタデータ「HDR10+」の場合。懐中電灯の部分が露出オーバーにならず、ディテールが再現されている

Netflixでは、このHDR10+を高効率な圧縮コーデック「AV1」で提供。新作と既存の人気HDRタイトルの両方にHDR10+フォーマットを追加しており、現在、AV1-HDR10+は対象視聴時間の50%を占めているという。

コンテンツを視聴するには、「Netflixプレミアムプランに加入していること」、「タイトルがHDR10+形式で提供されていること」、「テレビやストリーミングデバイスがAV1コーデックとHDR10+フォーマットの両方をサポートしていること」が必要。

HDR10+は、パナソニック・ビエラやレグザ、ハイセンス、TCLの一部4Kテレビやビクタープロジェクターなどがサポート。またストリーミングデバイスでは、Apple TV 4K(第3世代)やFire TV Stick 4K、Google TV StreamerなどがHDR10+に対応している。

なお、Netflixへの納品素材に関しては、引き続きDolby Visionマスターのみを受け入れる。また利用者への配信フォーマットは、HDR10+に加えて、HDR10とDolby Visionも引き続き提供するという。