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「イノセンス」と「メアリ」のUHD BDが実はHDR10+対応だった。モバイルなど機器拡大へ

パナソニックは、欧州において有機ELテレビの最上位機種「GZ2000シリーズ」を夏に発売するほか、UHD BDプレーヤーのスタンダードシリーズ「UB450」と「UB150」を2月から発売。日本発売は未定だが、いずれも「HDR10+」に対応する。「CES 2019」の同社ブースにおいて、HDR10+の普及や現状について、パナソニック アプライアンス社の次世代AVアライアンス担当部長 柏木吉一郎氏に話を聞いた。

有機ELテレビの最上位機種「GZ2000シリーズ」

HDR10+導入は59社に増加。AVアンプやプロジェクター、モバイルにも拡大へ

既報の通り、HDR10+は、シーンごとに付加するダイナミックメタデータを採用し、最適なコントラスト表現を可能にするHDR方式。テレビ側でシーンごとに最適なトーンマッピングを可能にしており、コンテンツの全てのシーンにおいて優れたHDR視聴体験が得られるという。

UHD BDプレーヤーのDP-UB450(左)とDP-UB150(右)は普及機ながらHDR10+対応。UB450はDolby Visionにも対応している

対応するプレーヤーとテレビ、UHD BDや配信コンテンツなどの組み合わせで楽しめるもので、'18年6月20日のライセンス開始から約半年の現在、導入している企業は59社まで増加。また、認証テストを行なう企業はこれまで日本のアリオンと韓国のTTAのみだったが、北米と中国の企業も認証テストに参入し、アリオンが欧州に進出するなど、対応機器普及に向けて拡大しているという。

対象タイトルも、20世紀フォックスが映画作品でリリース予定のほか、ワーナーからはDolby VisionとHDR10+の両方に対応したタイトルが'19年に登場するという。

さらに、ライセンス対象とするカテゴリの拡大も検討しており、テレビやコンテンツ制作者、SoCベンダーなどに加え、新たにプロジェクターや、AVアンプ、モバイル機器にもライセンスを行なうため準備しているという。エコシステムの拡充により、HDRを身近にして、ハード/ソフト両方の普及を図る。

実は「HDR10+」対応だった「イノセンス」と「メアリ」のUHD BD

今回の取材の中での驚きだったのは「実は既発売UHD BDタイトルにHDR10+作品が存在していた」という事実。

押井守監督の「イノセンス」('18年6月22日発売)と、米林宏昌監督の「メアリと魔女の花」(同3月20日発売)は、発売時点では発表していなかったが、実際はディスクにHDR10+のメタデータが記録されており、対応機器の組み合わせによってより高画質に作品が楽しめるという。

いずれもディズニーから発売されているタイトルで、パッケージにもHDR10+ロゴの記載は無いが、今回「HDR10+対応である」という情報が解禁された。思いがけない形で国内初のHDR10+タイトルが発表された形だが、両作品を購入した人や、HDR10+対応製品のユーザーにとって、その画質をいち早く楽しめるうれしいニュースといえる。

柏木氏は「メアリと魔女の花」などのUHD BD化も担当していた(写真は昨年のBD発表時)

パナソニックUHD BDプレーヤーとJVCプロジェクターのHDR連携で画質向上も

HDR10+ではないが、パナソニックのUHD BDプレーヤー「DP-UB9000」のHDR機能について、新たな情報も得られた。それは、UB9000でHDR10トーンマッピング処理する際に、接続したJVC製プロジェクターの輝度レンジに合わせて映像を出力するという機能。プロジェクター側でHDRトーンマッピング処理をする必要がないため、不要な画質劣化を防げるという。

UHD BDプレーヤー「DP-UB9000」

柏木氏によれば「HDR10で出力して、プロジェクター側でトーンマッピングを掛けるケースとは画質が全然違う」とのこと。UB9000側でアップデートなどの操作は不要とのことで、対象となるプロジェクターの機種については今後発表されるとのことだ。