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4K VIERA発表。「高画質だけでない、4Kの新しい体験を」

「4Kの可能性をテレビだけで終わらせない」

4K対応スマートビエラ「TH-L65WT600」

 パナソニックは、65型の4K対応スマートビエラ「TH-L65WT600」を10月中旬から発売する。市場想定価格は75万円前後。4Kコンテンツの視聴に加え、2013年4月に発売したスマートビエラで搭載した各種のスマート機能を、3,840×2,160の4K表示に対応。HDMI 2.0のほか、テレビとして世界で初めてDisplayPort 1.2a入力を装備することで、PCと接続して4K/60pのゲームなどが楽しめる。

 製品の詳細は別記事で紹介しているので、ここでは国内発表会の模様をお届けする。

高画質だけでない4Kのスマート体験。HDMI 2.0で「長く使える4Kテレビ」

パナソニック AVCネットワークス社テレビ事業部・楠見雄規事業部長

 9月5日に、大阪市内で会見したパナソニック AVCネットワークス社テレビ事業部・楠見雄規事業部長は、「パナソニックは、4Kに関する技術的な準備をしっかりと進めてきた。だが、製品化に関しては、高解像度、高画質というだけでなく、ユーザー体験に結びつけることに注力してきた点が他社とは異なる。新たな体験を提案できるテレビとして、満を持して投入したものである」とし、「4Kを使うとなにが違うのかといったユーザー体験を具体化するには、テレビ視聴以外の提案が必要。また、4K映像を出力するために用いられるHDMI 2.0がようやく採用できるようになったことで、長く使ってもらえる4K対応テレビを投入できた。他社に出遅れたという感じはない。やっと出すべきものを出せた」とする。

4K技術には早い段階から取り組んできた
背面にあるDisplayPort(左)と、HDMI2.0の端子
TH-L65WT600は、3つのポイントから特徴を訴求

 また、スマートテレビとしての機能を強化したことで、「テレビを超える、新世代のテレビとしての第2弾」としての位置づけも明確にした。

 TH-L65WT600では、4K表示での動画、ブラウザ、番組表、ゲーム利用を行なう「楽しさ、便利さ拡がる」、4Kフレームクリエーションや4Kファインリマスターエンジンによる「かつてない高画質」、4K60pによる「将来性」の3点を訴求ポイントにあげる。

 「楽しさ、便利さ拡がる」では、スマート機能の4K対応をあげ、「マイホーム」機能の4K表示のほか、世界で初めてブラウザ機能を4K表示対応としたことで、表示領域が拡大。4K画質で公開されているオンライン動画を高画質で楽しむことができるという。

ブラウザやマイホーム機能も4K対応とした
ネットやUSBを通じた4Kコンテンツの視聴を提案
4Kゲームも重要なコンテンツのひとつだ

 同社では、「今回の『マイホーム』機能は、4K向けに新たに開発したもので、従来はサイトのイメージの一部を表示するだけだった『ブックマーク表示』も、ほぼサイト全体を表示することが可能となった。ブラウザ機能も4K対応となったことで、4K表示に対応した地図などのウェブサイトを見やすく表示できる」という。

 楠見事業部長も、「マイホーム上に表示されるウェブサイトは、まるでタブレットの画面が表示されているように高精細である」と自信をみせる。

マイホームでは、ウェブの表示もまるでタブレットで表示しているようだ
地図も鮮明な画像で表示できる

 さらに、地上デジタル放送の全チャンネルを24時間表示できる番組ガイドを搭載。メディアプレーヤーでの4Kコンテンツの再生も可能としている。

番組表も細かく表示できる。文字は識別しにくいが、録画予約の色分けなどは一目でわかる
ビデオメッセージを寄せたスクウェア・エニックスの吉田直樹氏

 また、DisplayPort 1.2aに準拠。4K画質で制作されたPC用ゲームが、オリジナルの高精細画質のまま、迫力ある映像で楽しめるほか、モニターモードによって、遅延の少ない色鮮やかな映像でゲームがプレイできるという。

 会見では、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼア」のプロデューサー兼ディレクター コーポレートエグゼクティブの吉田直樹氏がビデオでコメントを寄せ、「ファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼアでは、数100人のプレーヤーが同時に画面に映り込むことになる。4Kの大画面、高解像度によって、見たことがないエクスペリエンスを感じてもらえるだろう。こだわった人には、特別な体験をしてもらえる」などと、今回の製品を評価した。

「4Kフレームクリエーション」および「4Kファインリマスターエンジン」を搭載

 「かつてない高画質」という観点では、パナソニック独自の4K高画質技術「4Kフレームクリエーション」および「4Kファインリマスターエンジン」を搭載。1秒60コマで構成される動画の映像を解析し、動きを予測して新しいコマを補間。さらに、バックライト領域を分割して、映像にあわせてブロックごとのバックライトを順次オフにすることで、黒を挿入した形で発光。残像感を大幅に低減し、動きの速い映像も細部まで描写できる。これにより16倍速相当の映像表示が可能になったという。残像を抑えた滑らかな動きを再現するとともに、超解像技術によりデジタル放送やブルーレイソフトも、高精細な4K画質で視聴できるという。

4Kフレームクリエーションの仕組み
4Kリマスターエンジン

 「4K映像コンテンツが少ない現時点では、デジタル放送やブルーレイソフトなどの既存コンテンツを4Kの高解像度映像で楽しんでもらうことが必要であり、そのためには画質補正は重要なポイント。今回の製品では、入力された映像信号を、内蔵している12万通りの映像データベースと照合し、画質補正を行なう『リマスター超解像』と、映像の質感を高める『ディテール超解像』を組み合わせた『4Kファインリマスター』により、フルHDやSD画像を高精細な4K映像にアップコンバートできる。補正に使用されるデータベースはデジタル放送用、ブルーレイソフト用などソースごとに用意されているため、高い精度での補正を行なうことができる」としている。

 さらに、古いSD映像のドラマを、すっきり見やすい映像にする「ランダムノイズリダクション」、映像のきらめき感を復元する「キラメキ復元効果」、劣化の激しいネット動画を見やすく変換する「ネット超解像」などの機能も搭載。「ネット超解像」では、わずかに残っている情報を、近くにある特徴の似た絵柄同士で補い合うことで、元の輪郭を推定する独自のアルゴリズムを搭載。ブロックノイズなどの画質劣化レベルも判断して補正し、インターネット画像を滑らかで見やすい画像に変換する。同時に、動画の中に含まれる字幕などの文字を、輪郭の形状に合わせて平滑化と強調を行い文字を読みやすくする「クリアフォント」も採用している。

4K60p入力に対応。4:4:4対応によって色再現性を向上

 「将来性」としては、世界初となるHDMI 2.0に準拠。4K60p映像信号入力に対応し、1秒間に60枚のフレームを表示することから、速い動きもブレが少なく、安定したなめらかな映像を楽しめるのに加え、色信号を圧縮しない4:4:4入力にも対応していることから色再現性も大幅に高まるという。新搭載のシネマプロモードでは、ブルーレイDIGAによって「クロマアップコンバート」された映像信号が楽しめる。

 一方、付属するマイク内蔵リモコンを利用して、音声でネット検索やテレビの基本操作、番組検索が行えるようにしたほか、リモコンに搭載したタッチパッドにより、カーソル移動やクリックなどの操作も簡単に行える。また、テレビ本体に内蔵したカメラがユーザーの顔を認識。個人ごとに設定したホーム画面を表示し、アプリにも素早くアクセスできる。

 さらに、スマートフォン用アプリ「Panasonic TV Remote 2」により、スマートフォンとのコンテンツ共有や、スマートフォンをリモコンとして使用できるほか、スマートフォンで撮影した動画や写真などを転送する「スワイプ&シェア」機能も新たに搭載した。4K映像データの「スワイプ&シェア」も可能だという。そのほか、インターネットサービスの「ディモーラ」および「ミモーラ」にも対応している。

 NHKが9月2日からサービスを開始したハイブリッドキャストにも対応。なお、発売済みのVT60シリーズ、FT60シリーズにも、ソフトウェアダウンロードでハイブリッドキャストに順次対応する。

 本体デザインには、1枚ガラスとメタリックベゼルが浮遊感を演出する高品位デザインを実現。視聴環境や使用状況に応じて自動的に本体や周辺機器を制御し、節電するエコナビ機能の搭載。4K表示でありながら、251kWh/年を実現し、現在発売されている4K対応液晶テレビにおいて、省エネナンバーワンを達成していることを強調した。

エコナビによって、4K対応テレビとしてはナンバーワンの省エネを達成
可能な限り画面だけのイメージに近づけたメタル狭額縁とメタルフレームペデスタルで浮遊感を演出した
内蔵しているカメラ。液晶テレビとしては初めての搭載になる

「4Kの可能性をテレビだけで終わらせない」

パナソニック コンシューマーマーケティングジャパン本部AVCグループ・宮地晋治グループマネージャー

 パナソニック コンシューマーマーケティングジャパン本部AVCグループ・宮地晋治グループマネージャーは、「50型以上のテレビ市場は年々拡大傾向にあり、今年度は台数ベースで10%、金額ベースで32%を占めると予測されている。そうしたなかでパナソニックは、2013年度上期の50型以上のテレビにおける販売伸び率は、他社を上回っている。2013年度下期は消費増税の効果もあり、とくに50型以上の成長が期待される。しかも、4K対応テレビは、4K映像が少ないなか、予想以上の立ち上がりとなっている。ネット上に数多くの4Kコンテンツがあることもこれを後押ししている。大画面、高解像度のニーズは応えたのがこの製品」とした。

2013年度上期は大画面化が促進された
2013年度下期にはさらに大画面モデルに注目が集まると予測
4K対応テレビの予想上回る速度で普及している

 「4Kの可能性をテレビだけで終わらせるな」を、コミュニケーションメッセージとして、4Kならではの画質を様々なコンテンツで利用できることを示す考えだ。

 同社では、来年2月のソチオリンピックの開催まで、日本企業唯一のオリンピックワールドワイドスポンサーとしての強みを生かして、4K対応テレビの訴求に力を入れる計画も明らかにした。

「4Kの可能性をテレビだけで終わらせるな」がコミュニケーションメッセージ
ソチオリンピックを視野に入れた訴求も展開する

 なお、今年春に発売したスマートビエラのマイホーム機能を巡って、民放各局が同製品のテレビCMの放映を行なわなかったことに関しては、「スマート機能については春の製品と大きな差はない」(パナソニック AVCネットワークス社テレビ事業部・楠見雄規事業部長)とし、引き続き、マイホーム機能を搭載していることを示した。

 また、4Kテレビ放送開始時の方式対応については、「まだ方式が決定していないなかでは、このテレビで4K放送が視聴できるとは断言できないが、スカパーの場合はセットトップボックスでの受信が一般的であるため、それも視野にHDMI 2.0対応を図っている」(パナソニック楠見事業部長)と語った。

(大河原 克行)