ミニレビュー

アンカー「Soundcore Liberty 5」試聴してきた。NC進化は強烈、音質はやや“クセつよ”

「Soundcore Liberty 5」(ミッドナイトブラック)

アンカー・ジャパンが5月22日に発表・発売した完全ワイヤレスイヤフォンの新モデル「Soundcore Liberty 5」を、短時間ながら試聴してきたのでミニレビューをお届けする。ノイズキャンセリング(NC)性能の大きな進化を実感できる一方で、音質面はやや“クセつよ”な印象も抱いた。

Soundcore Liberty 5は、2020年10月の発売以来、日本国内でシリーズ累計販売台数が150万台を突破した「Soundcore Liberty 4」シリーズの後継機。前モデルからノイズキャンセリング性能や音質、機能などが全面的に強化されており、「新定番となる一台」と位置づけられている。全5色で、価格は14,990円。

「Soundcore Liberty 5」のイヤフォン

詳細は別記事で紹介しているが、NCは周囲の環境変化やイヤフォンの装着状況に合わせて強度を自動調整する「ウルトラノイズキャンセリング 3.5」になり、主に中高域のNC性能が2倍位上に進化した。音質面ではウールペーパー振動板を採用した9.2mm径ダイナミックドライバーを搭載。同社イヤフォンでは初めてバスレフ構造を採用することで低音の表現力を高めている。

またアンカーによれば「Liberty 4でも音質は好評をいただいておりましたが、一部では高音が刺さるように感じるというご意見もありました。そうした声をもとにLiberty 5では低音、中音、高音のバランスを一から見直し、丁寧に調整。より多くのお客さまに自然でバランスの取れた音に仕上げました」とのこと。

そのほかBluetoothコーデックではSBCとAACに加えLDACをサポート。没入感あふれるオーディオ体験を楽しめるというDolby Audioにも対応し、LDACと併用することもできる。2台同時接続のマルチポイント接続やIP55の防塵防水仕様も盛り込まれた。バッテリー持続時間はNC ON時でイヤフォン単体8時間、ケース併用で32時間。

ミッドナイトブラック
パールホワイト
ディープブルー
アプリコットピンク
シャンパンゴールド

NCの進化は強烈。サウンド面は低音大迫力、高域にはピーキーさも

試聴の前にまずはNC性能をチェックした。関係者やメディア、インフルエンサーなどが多く集まる発表会場での試聴だったので、会場はかなり騒がわしい状況だったが、NCをONにすると、そういった騒音はしっかりカットされる。

従来のSoundcore Liberty 4では、NCをONにしていても話し声などは耳に届くような印象だったが、Soundcore Liberty 5では周りで誰かが話しているのは分かっても、話の内容までは聞き取れない程度まで騒音がカットされる。もちろん、音楽を再生してしまえば、話し声はまったく気にならなくなる。

外音取り込みも、「サーッ」というホワイトノイズがほとんどなく、自然な聞こえ方で利用できる。ただNCから外音取り込み、外音取り込みからNCなど、モードを切り替えた際、実際に機能が有効になるまで少しラグがあるのが気になった。

肝心の音質についてはiPhoneとペアリングして、Amazon Musicを音源としてチェックした。一聴してまず印象的なのは低音の迫力。従来のSoundcore Liberty 4シリーズでも迫力ある低音が特徴だったが、Soundcore Liberty 5ではバスレフ構造を採用したこともあり、よりパワフルに。「米津玄師/KICK BACK」では「ズゴォォオン!」と頭の芯に響く低音に飲まれるような感覚を味わえる。

低音に適度な締まり感もあるため、低音がボワボワと広がってボーカルが聴き取りづらいということもなく、「KICK BACK」は疾走感たっぷりに味わうことができた。

ただ「サカナクション/怪獣」など、そこまで低音の迫力が必要ないような楽曲も“ド派手”に再生されるので、このあたりは好みが分かれるところだろう。個人的にはアプリのイコライザー(EQ)で低域を少し弱めにしても良いなと感じた。

また、個人的に前モデルのほうが良かったなと感じてしまったのは中高域の表現力。アンカーは前モデルでの「高音が刺さる」という声を受けてバランスを見直したとしているが、「YOASOBI/アイドル」では歌い出しからボーカル・ikuraの声が刺々しく感じられる。特に“サ行”は刺さるような印象が強かった。

同じYOASOBIでも「夜に駆ける」では、比較的刺々しさが弱まる印象だったが、それでも少しピーキーな印象。このあたりは使い続けてエイジングしていけば馴染んでくるかもしれないが、特に女性ボーカル楽曲を頻繁に聴くという人はEQで調整したほうが良いかもしれない。

ちなみにDolby AudioはアプリからON/OFFと3つのモード(音楽/Podcast/ムービー)を切り替え可能。「YOASOBI/夜に駆ける」を聴きながらON/OFFを試してみると、ONにするとボーカルがやや前面に浮かび上がり、その背後から楽器の音色が聞こえてくる、サラウンド感のある音を楽しむことができた。

酒井隆文