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e☆イヤホン、初のオリジナルヘッドフォンを開発

18,900円のモニター「SW-HP11」。ポタフェス展示

SW-HP11

 イヤフォン・ヘッドフォンの専門店である「e☆イヤホン」は、初のオリジナルブランドヘッドフォン「SW-HP11」を12月21日に発売する。価格は18,900円。直販サイトで予約を受け付けているほか、店頭でも販売。店頭では試聴機も用意している。また、12月21日と22日に秋葉原のベルサール秋葉原で開催される同店のイベント「ポタフェス」でも展示し、そこでも試聴できるという。

 製造は城下工業が担当。長野県上田市に本社があり、各社のオーディオ機器のOEMを引き受けているほか、自社部ブランドSOUND WARRIORでもヘッドフォンなどを手がけている。今回の「SW-HP11」は、SOUND WARRIORが販売しているモニターヘッドフォン「SW-HP10」がベースになっている。

SW-HP11
右のハウジングにはマリモレコーズの赤いマークが

 e☆イヤホンが、これまで取り扱ってきた多数のヘッドフォンの経験や、ユーザーからの要望などをメーカーに伝え、製品に反映。さらに、音決めのアドバイザーを、マリモレコーズの江夏正晃氏が担当。e☆イヤホン、マリモレコーズ、城下工業の3社がコラボレーションしたオリジナルモデルとなる。

 ベースとなるSW-HP10は、モニターヘッドフォンとしての音質や耐久性にこだわったモデルで密閉型。イヤーパッドには下部が広がったような独特の形状を採用している。

赤いラインとパッドの縫い目を合わせると、パッドの位置が正しく調整できる

 「SW-HP11」は、そのイヤーパッドを楕円形の肉厚なものに変更。装着感や耳の収まりを良くしている。さらに、イヤーパッドを着脱した時にパッドの位置を正しく戻せるように、パッドの縫い目と、ヘッドフォンのアーム部分の印を合わせる配慮がなされている。このパッドは多数の試作品から選び抜いたという。

 一方で、モニターヘッドフォンでは、ユニットからの音をダイレクトに届けるため、イヤーパッドを薄くして耳とドライバの距離を近くするが、前述のように遮音性や装着感を高めるため、イヤーパッドは厚めなものを採用している。この構造でも、ドライバーからの音がイヤーパッドなどで減衰せず、ダイレクトに耳に届けられるよう、「SW-HP11」ではパッドを外したバッフル面の、ユニットの周囲に配置するウレタンリングの高さと厚みを工夫している。

 こうしたイヤーパッドとウレタンリングの工夫により、ドライバとパッドの間に余分な空間ができなくなり、音が吸われたり、反響するような事が無くなり、「よりダイレクトな音が聴き取れるようになった」(e☆イヤホン 岡田卓也氏)という。

肉厚なイヤーパッドを採用
バッフル面に取り付けたウレタンリング

 ケーブルは、片出しだった「SW-HP10」から変更、両出しで着脱可能になり、MMCXコネクタを採用している。端子は抜けにくく、接続が強固にできるものを採用した。

 ケーブル自体も変更。50種類以上のケーブルをテストし、OCCケーブルを新たに用意。「一般的なモニターヘッドフォンでは難しかった、低音域のモニタリングと、それにマスキングされることのない中音域を再現する」という。ケーブルの長さは1.5m。端子はステレオミニで、標準への変換プラグも同梱する。

ケーブル交換が可能。端子はMMCXを採用している

聴いてみる

 短時間ではあるが「SW-HP11」の音を聴いてみた。

試聴してみた

 ライヴ版の「イーグルス/ホテル・カリフォルニア」を再生すると、冒頭のギターの弦が震える様子が、モニターヘッドフォンらしい細かさで、驚くほどシャープに描写されてゾクゾクする。

 同時に、ギターの響きやパーカッションなど、中低域の量感もキッチリ出ており、モニターライクでありながら、迫力と“ゆったり感”もある。特筆すべきは、その中低域も、高域に負けない分解能の高さがあり、タイトでハイスピード。全体として低域から高域まで、フォーカスがカチッと合った、目が覚めるようなサウンドに仕上がっている。

 面白いのは、密閉型ヘッドフォンでハウジングは小さめであるにも関わらず、音場が非常に広い点だ。ハウジングでの反響がほとんど感じられず、音がどこまでも広がっていくので、開放型ヘッドフォンを聴いているような気分になる。しかし音像まで遠くはならず、シャープな音がキッチリを耳に入り、低域にも量感がある。相反しそうな要素が両立できている。

 外観はまさにモニターヘッドフォンという質実剛健さだが、装着感は肉厚なイヤーパッドのおかげでソフトで快適。音質面でもモニターライクな解像度がありながら、高域寄りなり過ぎない、バランスの良さも実現しているため、コンシューマユーザーが音楽鑑賞を楽しむにもマッチした音になっている。「18,900円のヘッドフォンの音とは思えない」というのが第一印象。無骨な見た目に気圧されず、試聴して欲しい要注目モデルだ。

(山崎健太郎)